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異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
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ハルル・バレーへ

地球に戻った直孝は、T-Rexを隠蔽するために、トラクターを取りに、家へと向かった。

解体は、思いの外時間がかかり。日が昇り、明るくなってからの帰宅だった。

直孝は、異世界を思い返すでもなく、縁側で疲れ果てて、眠りについた。




 直孝は、地球に戻って来て、見慣れた景色を目ている。

 辺りは、日が昇り始めていて、田舎の農家の朝は早い。


 僕がたどり着いたのは、お祖父ちゃんの畑の中で。軽トラは、斜めに傾き、細かな荷物が散乱している。


 僕が、ドアを開けようとすると。

 ドアの重さで、引っ張られるように開き。僕は外に放り出された。

 お祖父ちゃんの畑は、みっちりと雑草が生えていて。2ヶ月は、放置されているから、当たり前ではあるが。


 恐る恐る、軽トラの後方を確認すると、T-Rexが倒れている。

 鼻息は無く、肺も腹も動きを止めている。死んでいるようだ。

 直孝は、急いで軽トラの鍵を抜き取り、家へと向かった。

 マラソンも、100m走も日頃からしてない体に、ムチを打ち、脇腹を抱えて走った。


 途中で休むことも許されず、ひたむきに走った。

 家に着くと、今度は外に放り投げていたトラクターに、肥料と腐葉土それに、土壌を分解する為に購入した、微生物を増やす袋を積んだ。


 喉は、カラカラに渇いていたが、時間が欲しかったが。自販機を見つけて、スポーツドリンクを購入した。


 次は、ノロノロと走るトラクターの上で、小刻みにジャンプして、少しでも軽くしようと努力した。


 他所から見たら、トイレを我慢しているようにしか見えない。

 ポルシェのエンジンとは行かなくとも、トラックのエンジンにでも、載せ替えとけば良かった。何て事を考えていた。


 ヤラなきゃならない事が多く、トラクターが畑に着くと、T-Rexの前に運んで。軽トラに絡まったワイヤーを、締付機の部分で外した。

 軽トラは真横に倒れて、支えていた運転席のドアも閉まらないほどに変形した。

 軽トラの絡まったワイヤーを取り外して、輪っかを作って、肥料の上に置いた。

 ここからが大仕事だ。


 お腹の辺りから、トラクターの刃を下ろした。

 害獣である、イノシシや鹿などでもしたことが無い感覚だった。

 一度、刃が入ると、骨に当たるまで粉砕をやめない。

 骨格や皮膚、色々なモノを、サンプルとして提供したいのだが。これで、目立つのはごめんだ。


 骨に当たると、スコップを片手に内蔵を分けながら、スコップの刃を入れた。

 非力で体重の軽い僕が、スコップを手にして、T-Rexの関節を外せることなど無く、すぐに諦めて。


 怒りのままに、スコップを遠くへ投げたが。思ったより飛んでいない。

 ワイヤーを、トラクターにかけて、T-Rexの体に手を入れて、骨にワイヤーを通した。

 後はトラクターの力で引くだけだが。簡単では無かった。

 解体するのに、チェーンソーが欲しくなった。

 内蔵の解体の時に、腸や死体の衣服が引っかかり、糞や返り血を浴びて、過去に行く為の上等な服が臭くなったので、畑に捨てて。

 ひ弱な体を晒して、作業を続けた。

 それでも、不自然な山のような形はなったが。めどを付けた。 

 睡魔が襲い、体力の厳戒を迎えている。

 近所の農家が気付く前に、大量の肥料と腐葉土を撒き散らして。匂いもごまかそうとした。

 足りない分は、畑の土を盛り隠蔽したつもりだ。


 その後は、トラクターを畑に放置して、軽トラも傾いたまま、家路に向かった。


 直孝の体力は限界だった。目まぐるしい程の体験をして、脳の処理が追いつかず。

 お祖父さんの世話もせずに、汚いまま縁側で眠りについた。

 正直、限界だった。疲労困憊、限界突破、死ぬ寸前、溶けるように、眠りについた。

 この感覚久しぶりだった。

 寝食を忘れて、パソコンを組み立てた時以来かな。


 直孝は、お昼頃にお祖父ちゃんに起こされた。


 「ヘルパーさん、悪いがお昼ご飯はまだかな。わしゃ腹ペコで死にそうだ」


 そう、今の僕は、居候のヘルパーさんなのだ。


 4時間しか寝ていないが。

 僕は、冷蔵庫から冷凍うどんと味の染み込んだ三角のおあげを取り出して、簡単なうどんを作り。

 2人分を、食卓並べた。


 「いただきます」


 お祖父ちゃんは、お祖母ちゃんの味が恋しいのか、「おいしい」と、言ってはくれない。

 今となっては、「おいしい」と、お祖母ちゃんに言わされていたのかもしれない。


 しかし、御椀を口元に運んだ瞬間に、解体の時の匂いがして。直孝は、トイレへと走った。


 ちゃんと手を洗って、調理をしたはずなのに。

 そのまま、風呂場へと向かい。2度頭を洗い、3度体を洗った。

 出てくる時も、体臭を気にしながら、体を拭き。タオルの匂いも確認した。


 食卓に戻ると、お祖父ちゃんは、お腹が空いていたのか。僕の分も平らげて、寝室へと戻っている。


 僕は、食事を摂る感じにはなれずに、自室に戻り布団を敷いた。

 横になりながら、なぜ過去に行けなかったのかを考えた。

 E=mc²の計算が間違っていたのか、80mp/h出す必要があったのか、電力不足なのか、答えは出なかったが。

 一つの仮説が生まれた。


 『軽トラのボディーが、鉄で出来ていたからなんじゃないか』


 ステンレスの車なら、過去に行けたんじゃないか。まだ、仮設の段階だ。

 色々と考えているうちに、直孝は眠りについていた。


 「ヘルパーさん、夕食の時間だよ。起きてくれ」


 お祖父ちゃんは、部屋に入ってきて。僕を擦って起こした。


 「お祖父ちゃん、ごめんね。今、支度するから」


 お祖父ちゃんのお昼ご飯は、簡単に済ませたし。僕も、口に入れていない。お腹は、空いていた。


 宅配で届く、カット野菜を大量に使い、鯖の缶詰と適当な調味料で味付けを終わらせて、野菜炒めを作った。

 目分量で測ったので、似たような味にしかならない。鯖缶は、お祖母ちゃんも、使っていた。


 味噌汁は、インスタントで。お湯を注ぐだけだ。

 2種類用意して、お祖父ちゃんが先に選ぶ。

 今日は、ナスの味噌汁を引いた。お祖父ちゃんのは、アサリが入っている。


 また、お祖父ちゃんのお金を使い。軽トラを購入した。

 中古の軽トラで、グリルとテールに、鉄パイプを溶接して、ロールバーも入れた。

 古い軽トラから、異世界へ行く用のバーツを載せ替えて、壊れているものは修理して。バッテリーも、大きいのを追加した。

 助手席に、予備のバッテリーとジャンプコードも載せて。


 4週間ぶりに、異世界へと旅立った。


 助手席には、お祖父ちゃんも乗っている。

 軽トラが違うだけで、機械自体は変えていない。

 護身用に、クマよけスプレーとスタンガンを持ち。チェーンソーも、ロールバーに掛かっている。


 僕は、再び異世界にたどり着いた。

 やはり、僕が打った年表が、座標になっているのか。同じば場所にたどり着いた。


 T-Rexが折った、木々が倒れたままで、真新しい切り口だ。


 倒れた木に、文字は読めないが、刃物で彫って跡があり。

 追加で矢印がされていて、ハルル・バレーを指しし示しているようだった。


 僕は、ハルル・バレーへと軽トラを進めた。


 きっと、 マイジェイさんが残した跡だろう。


 

読んでいただき、有難うございます。

マイジェイとクリストフは、二度と出ません。

設定上、旅を続けて。ユニーバ教の布教をしています。

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