表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
40/42

僕の部屋

直孝は、前原優子に、全てを打ち明けた。

前原優子も、直孝を受け止めて、将来を誓ってくれた。

直孝は、打ち明けた事により、前向きに歩み始めた。





 ヤッてしまった事を、後悔するよりも。前原優子の事を気にかけながら、東京へと向かっている。


 「どうしましょう。お父さんが、赤飯炊いていたら。直孝さんは、どう思いますか」


 「だから、謝罪をしに向かっているのです」


 「お父さんは、謝罪をしに東京へ向かっているそうです」


 「だから、何故お腹に語りかけているのですか」


 「着床、しましたから」


 「待って下さい。着床って、少し、リアル過ぎますって」


 僕は、開いたパソコンに、ここれまでに

起きた事、これから起こるであろう事を、なぐり書きしながら、前原優子の相手をしている。


 「できた」


 僕は、右に座る前原優子を、見つめながら。


 「朝熊へ。100億円さし上げますから、娘さんにヒットマンを差し向けて下さい」


 「もう、真面目にやって。フレイも、お父さんを叱ってるよ」


 『僕は、これまでの事を、全て前原優子に、話した。雪女の事、タイムマシーンを作るであろう事、僕は、30代後半で亡くなる事、前原優子さんが、タイムマシーンで、僕の童貞を奪いに来る事、長女がフレイ。次女がビクトリア。長男がブラーインになる予定。不思議な指輪。』


 全てを話したら、泣いていた。

 自分で、抱えたいた何かが、音を立てて崩れ、解放された。

 僕は、目の前の前原優子を愛し。子供を授かり、早くして、生涯を終える。


 残された、前原優子と3人の子供たちの為に、異世界を立て直し、異世界タウンを発展させないと、いけなかった。


 『これが僕の業であり。運命だ』



 僕と言う人間を受け止めてくれた、前原優子に、大変に感謝をしている。


 こう言っては何だが、余命を告げられた感じだ。

 自分を、さらけ出して、幸せを感じる事で、死ぬ事の怖さを知った。


 個人では無い事に、幸せを感じ。分け合う事で、幸せを感じ。生きている事で、幸せを感じ。また、個人で無い事を知る。


 何気ない日常が、僕の幸せとなる。


 僕は、右手を伸ばして、前原優子のお腹に手を当てた。


 「フレイは、まだまだお腹で、待機しててね。お父さんとお母さんの、楽しい時間が有るから。もう少しだけ待ってて」


 「もう、楽しい時間は、後で」


 前原優子は、僕の右手を握り返して、肘置きに移動をさせ。

 左の肘置きに、体重を移動させて、僕に、顔を近づけた。


 僕も、右の肘置きに、体重をかけて、目を瞑り、前原優子にキスをした。


 「でも、京都へ行かなくても良かったの」


 「大丈夫です。体調不良って事にしましたから。本日は、お休みです。それより大事な事を、しなければならないのです。2人に取って、未来の為に、すべき事です」


 僕らは、東京へ向かう途中で、高速を降りた。


 「大事な事だけど、今なの。今日じゃなきゃ駄目なのかな」


 「善は急げ。アタシは、物覚えが酷いですから」


 「それは、言い訳なの、口実なの」


 「両方です。大至急、すべき事です」


 「実家の俺の部屋を、確認する事が」


 「中学生の直孝さんを、合法的にヤル。夫婦なのです。時間の差は、あるでしょうけど、公認です。アタシが、ショタだったら、燃えてると思います」


 「十分ショタを、していた感じするよ」


 「それでもです。場所の確認は大事です」


 「そんなに、京都に行きたくないの」


 「違います。まともに歩けないのです。直孝さんが、激し過ぎたから」


 「はい、はい。僕が悪いです。理性が保てなかった、僕のせいです」


 「もう。大好き。アタシを責めない直孝さんが好き。直孝さんは、アタシの事好きですか」


 「僕も、好きです」


 「え〜。愛が足、り、な、い」


 「面倒くさい、女になってますよ」


 「やだ、やだ。いっぱい好きって、言ってよ」


 「大きな、オッパイを揺らして、せがまないで下さい」


 「次の、配役がこれなので。『頭の悪い巨乳が、世界を救う』の、メインヒロインの牛野ミルク役です。奇抜過ぎる服を着せられているので、抵抗は有りますが、主人公が、馬鹿な役なので、セリフが覚えやすくて、助かります」


 「色々と大変なのですね」


 「大変ですよ。今日は、内股で歩けないので、お休みです」


 「また、ここに戻るのですか。僕が悪者です。ごめんなさい」


 「直ぐ謝れて偉い」


 そうこうしている間に、実家のマンションに着いた。


 僕が、先に車を降りて、ゆっくり、わざとぎこちなく歩く、前原さんに合わせて、手を差し出す。


 「有難う」


 油断を誘うような、笑顔に顔が緩む。

 車を、降りてからも、腕を組み、胸を押しつかられながら、エルグランドを見送った。


 大丈夫。誰もいない。皆、仕事に出ているはずだ。

 学生気分のような、気持ちは無い。

 説明が面倒だから、鉢合わせたく無い。


 年の為に、エントランスで、インターホンを鳴らしてみる。


 『ピンポーン』『ピポ、ピンポーン』


 途中、連続で押してみた。


 『留守のようだ』


 財布から、懐かしいカードキーを取りだして、自動ドアを開けた。


 そのまま、正面のエレベーターに乗り込み。5階へと向かった。


 「ドキドキしてきた。誰も、居ないみたいだったね」


 「皆、仕事に行っているんだろ」


 「今日、家に誰もいないんだ」

 「駄目よ、映画見るだけって」

 「そのつもりで、家に来たんだろ」

 「そんなつもり」


 「一人芝居すな。お前は、高校生か」


 「良いじゃない。普通に学生出来なかったから。こんなシチュエーション夢見ても」


 「それでも、ベタ過ぎるだろ」


 「ベタが良いの。この良さを知らないなんて、お子様だな、直孝さんは」


 『チン』


 僕は、言いかけた言葉を飲み込んだ。

 緊張と大女優を連れている事で、騒ぎを起こしたくなかった。


 静かに、廊下を歩き。人が増える前に、現場を確認させて、退散して。朝熊さんに、謝罪をしなければならない。


 ここを出る時は、こんなにジャラジャラと鍵は付いて無かった。


 家の鍵だけだったのに。お祖父ちゃんの家の鍵が付き、異世界の家の鍵が付き、徐々に一つずつ増えて、重たくなっている。


 久しぶりに、家に帰ると。物で溢れていた。


 「ただいま~」


 誰の返事も無い。


 靴を脱ぎ、ゆっくり中へ入った。

 そのまま、奥へ行き。左の2番目の扉の前で止まった。


 「ここが、僕の部屋」

 ゆっくりドアを開けると、ここにも大量荷物が捨てられている。


 「完全に、物置だね」


 「物置に、変えられちゃってるね」


 懐かしさも、思い出も無かった。


 「アタシは、ベッドで横に並んで、アルバムを観るのを想像して、楽しみにしていたのに」


 「今日は、時間無いから。アルバムは今度。探すの大変そうだし」


 僕は、冷蔵庫にハルルベリーを置いて、家を出た。


 『ただいま』と、だけ、持ってきた紙袋に書き残し。テーブルの上に置いた。

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ