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異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
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初体験

誰も知らないレシピ。ハルルベリーのお酒。

お酒を、混ぜるのでは無く。発酵させたお酒。

直孝一押しのお酒。




 僕は、前原優子と共に、エルグランドの後部座席に座っていた。

 勿論、何もしてないし、するつもりも無い。

 純粋に、僕の舌を馬鹿にされたから、悔しくて、秘蔵酒を、ご馳走しようとしただけだった。


 「これから向かう場所は、昼夜逆転している世界で、文明はかなり遅れています」


 「100年くらいですか」


 「よくは、知らないが。鉄砲のない時代だ。500年以上昔で、貴族階級が残ている」


 「かなり、文明は劣ってますね」


 「だが、エルフと獣人がいる世界だ」


 「獣人も、いるのですか。どんなのがいます」


 「前原さんは、『リアル過ぎる』をご存じですか。あれが、本物の獣人です。まだ、動画は残っていたはずだが。コレですコレ」


 僕は、スマホを取り出し。『リアル過ぎる』の動画を流した。


 「コレなら、見た事あります。物議を醸したヤツですよね」


 「そうだね、いっぱい叩かれたし、応援もしてもらった。異世界を続けるキッカケにもなった」


 沢山の思い出が、そこにはあったが。


 「今は、寝た方が良い。寝れる時に寝る。僕は、先に体を休めるよ」


 無防備を晒し、椅子を限界まで倒して眠りについた。


 異世界タウンに到着すると、大女優の前原優子でも、30分以上のボディチェックを受けてもらい。ゲートの中へ入ることが許された。


 「申し分ない、パスを作らすようにします」


 「本当にですよ。女性同士とはいえ、あんなに辱められるとは、思ってもみませんでした。パスとすっぽんとフグを頂かないと、気が済みません」


 「ご希望に添えられるよう、善処します」


 エルグランドは、そのまま軽トラの方へ向かい。

 連結した後で、消えた。


 異世界へ到着すると。

 「そのまま、ハルルの市場の方へお願いします」


 僕らには、少しの猶予しか残されてなかった。

 市場へ到着すると、前原優子を連れて。ハルルベリーのおばちゃんの所へ向かった。


 「こんにちは、おばちゃん。オヤツは、まだ有るかい」


 「おや。今日は、ベッピンさんをお連れだね。私は、アンタが、ヒツジを連れてるより、その子を連れてる方が良いと思うよ」


 「有難う、おばちゃん。僕も、そう思うが。急いで来たんだけど、今日のオヤツは終わっのかな。おばちゃんのオヤツを求めて、この子を連れてきた」


 「有るよ。人のオヤツを横取りするのは、悪い癖だよ。女の子に嫌われるよ」


 「ごめんなさい。アタシが無理に、お願いしたから」


 「あんたのせいじゃないよ、この男は、いつも、顔を出すと。私のオヤツを、横取りするのさ」


 「人聞きの悪い、ちゃんと金貨1枚払っているよ。僕は」


 「そうだったかね。楽しみが、金貨に変わる。今日のオヤツは何にす、る、か、な」


 おばちゃんは、嫌味を言いながら、オヤツを渡してくれた。


 おばちゃんの顔は、垂れるほどニヤけている。

 コレの扱いは、慣れている。

 少し、硬い皮を剥くと、薄い皮だけになる。


 薄い皮の中は、自然発酵したお酒になっている。

 ハルルでも、おばちゃんしか知らない。

 僕が、一番美味しいと思うお酒。


 「プニプニの皮に包まれた、ハルルベリーのお酒です。コレを飲んで、美味しくないのなら、僕の負けです。バカ舌です。認めましょう」


 僕は、そう言い。おばちゃんのテーブルからプラスチックのストローを取り。前原優子に渡した。


 僕は、左手に持った、ハルルベリーを突き刺す動きをすると。


 前原優子は、プニプニのハルルベリーに、先の尖ったストローを刺した。


 力加減、出来ずに、ストローと周りから、果樹が溢れ。

 慌てた、前原優子は、ストローの先を咥えた。


 何とも言えない、芳醇な桃のお酒。酸味も押し寄せが来る。甘酸っぱいお酒。


 前原優子は、ストローを咥えながら。

 どうして良いのかが分からない。

 取り敢えず、独占はマズイと思い。

 僕に、渡そうとしてきた。


 「前原さんが、堪能して下さい。その為に連れて来たのですから」


 溢れてくる勢いが止まり、前原優子は、息を整えた。


 「何コレ。初めての味なんだけど。切った実を、そのまま、熟成させた訳じゃないよね」


 「その通り。木にぶら下がっている時に。実に、切り込みを入れるんだ。刺激で、ぶら下がったまま、熟成が始まる。黄色いうちに、傷付けるのが、ベストで。1週間で、赤くなる。柔らかくなったら、のみ頃だ」


 前原優子は、東南アジアみたいに、ビニール袋からストローを出して、ハルルベリーのお酒を、堪能していた。


 ここで、問題が起こった。

 前原優子のブサイクメイクが崩れた。

 ハルルベリーのお酒をかぶり、顔のメイクごと拭き取った。


 この時点で、80%前原優子だった。


 だが、他人のそら似で、押し通し。市場を散策していると。


 ガーハタグ男爵に遭遇した。


 「落ち着いて下さい。絶対に、顔を上げないで下さい。貴族ですので、逆らうと厄介です」


 市場の皆は、手を止めて、道の端に寄り、膝を付き、頭を下げた。


 貴族は、市場などに来ない。

 だが、こいつは違う。


 ヘイリス男爵領なのに、市場で問題を起こして、平民からお金を取る、ケチな貴族だ。


 ハベルでも有名で、こいつだけ換金していた。

 ディーラーたちが、何度も馬鹿にされ、苦情も上がっていた。

 だが、今のバベルは、客がなく。大勝ちも出来なくなった。


 そして、市場に場所を変えて、庶民を虐めている。


 「久しいな、直孝殿。ハベルを失い、逃亡したかと思ったぞ」


 「少々、体調が悪く、歩き回るのも困難で。本日はこれで、お許しください」


 直孝は、ハンカチを取り出して、中の金貨を広げて見せた。


 「良い心がけだ。皆も、見習うように」


 ガーハタグ男爵は、ハンカチの金貨5枚をすべて奪い、視線に気付いた。


 「ソナタ、優子に似ておるの」


 前原優子は、やり取りの全てを見ていた。

 優子の名を出されて、我に返り、俯いたが、後の祭りだった。


 「ガーハタグ男爵様、見間違いではないですか」


 僕は、違う方のポケットから、10枚入りのハンカチを取り出した。


 「直孝殿、なんだその手は。邪魔だ、手をどけろ」 


 「出来ません。この方は、当方のお客人です。無礼が有ってはなりませんので。どうか、これで、この場を抑えて頂けませんか」


 「駄目だ、そんな、はした金など要らぬ。手を退けよ」


 「出来ません。この身に変えましても、この方に、指一本、傷一つ付ける訳にはまいりません。ここは、僕の顔を立ててくれませんか」


 「ソナタ、顔を上げよ。儂の6番目の側室にならないか。好きな物を買ってやるぞ。どうじゃ」


 「お断りさせて頂きます」


 前原優子は、立ち上がり。ガーハタグ男爵にお断りを入れた。


 「何じゃと。儂は、ガーハタグ男爵だぞ。頭が高い控えろ」


 「姫様、なりませぬ。お控え下さい」


 直孝は、馬鹿な真似をした。

 違う。操っているのは、エルフだ。

 面白おかしく、ガーハタグ男爵も、操っているのだろう。


 「姫様だと。直孝殿、本当の事か」

 ガーハタグ男爵、ビビっている。


 「姫様に、指一本、傷一つ付けたら、僕が、この国を滅ぼします。国から、兵を引き連れて、この国の隅から隅で、蹂躙します」


 「そうならない為に、ここは、これで勘弁して下さい」


 僕は、ガーハタグ男爵に対して、頭を下げた。


 「今日のところは、これで、勘弁してやる」


 ガーハタグ男爵は、僕の手から金貨10枚を取り。去って行った。


 ここで、歓声が上がったが。

 僕は、膝から崩れ落ちた。


 前原優子は、力尽きた僕の前に回り込み。

 熱いキスをした。


 そこで、更に歓声が上がった。留まる事を知らない、湧き上がる、地鳴りのようなモノを感じた。


 僕は、やはり情けなく。前原優子が、支えてくれて、立ち上がることが出来た。


 そして、鳴り止まぬ歓声の中、市場を去り。ニュータウンへ逃げ込んだ。


 前原優子に、金貨20枚を預けて、誰も使っていない家へ案内させた。

 警備の獣人を20人配置に付かせて、警備をさせた。

 僕も、使われて無い、家に向かった。


 スーリピが、アルクサンダーを葬った家だ。

 焼きごて何かを使うから、匂いがナカナカ取れない。

 捨てる事も、焼き払う事も出来ずに、たまに使っている。


 僕は、大変な1日で疲れていたのに。

 前原優子は、獣人から、情報を聞き出していた。


 まず、金貨で大量のアルコールを、獣人たちに買わせて。

 酒と摘みを餌に、両替された銀貨を使い、情報を得ようとしていた。


 異世界の常識。ぱるるの村の事。獣人。エルフ。ハルルの住人。貴族。映画館。北条直孝。西島権蔵。マユタナ。

 得られる情報は全て買い取り。100人以上の獣人のメスに。金貨20枚分を配った。



 僕は、夜這いに遭った。


 寝袋で寝ていると、誰か、入ってきた。

 また、キスをされて、起こされた。

 後頭部を強打は、していない。


 「お慕いしてます。直孝さん」


 前原優子の声だった。名前呼びしたのが恥ずかしかったのか。照れ笑いも感じた。

 興奮もしていて、鼻息も荒い。


 僕の服を、脱がしにかかっている。


 「駄目ですよ。酔っているのですか」


 僕は、寝ぼけながらも、前原優子を退かそうと手を伸ばした。


 凄い肉感だった。服に触れていない。


 「優しくして下さいね」


 もう一度、デープなキスをした。


 そして、前原優子は、隠し持っていたモノを出した。


 最初に出したのは、紙切れだった。


 「ねぇ。直孝さん。これ読んで」


 前原優子は、スマホのライトを紙切れに当てて。読むように指示した。


 僕は、寝ぼけていたのか、文字が小さ過ぎたのか。紙切れに、顔を近づけた。


 「何ですかこれは」


 「SEXの同意書です」


 違う、僕が聞きたかったのは、別だった。

 騙された。そんな手の込んだ事をする奴は、誰だ。


 この紙は、フェイクだった。獣人のフェロモンの匂いがした。

 顔を近付けて、思いっきり嗅いだ。


 理性が飛びそうになる。

 助けたのは、前原優子だった。


 口移しで、マカすっぽんの血を飲ませてきた。

 僕は、抵抗を辞めて、野獣になってしまった。


 目が覚めると、ペニスに血が付着していた。

 前原優子の股間からも、出血が有り。

 生理では無いと言う。



 僕が、前原優子を、傷付けてしまった。

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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