エルフの恋
悲しい恋の話です。年齢は、罪ですか。
2人は、確かに、燃え上がっていたのです。
彼は、走り去ってしまった。
僕は、いつものように、羽田へ行き。エルフを連れて帰るルーティンを繰り返していたのだが。
一人のエルフが恋をした。
「おい。本当に、このおっさんで、良いのか」
「何を言っているの。恋愛に年齢は関係ない」
「そうだぞ。恋愛に年齢は無い」
「こんな、ハゲ散らかした、バーコードの。油ギッシュで、いいのかと聞いている。確認だ」
「可愛いじゃない。汗を垂らし、髪の毛が乱れても、健気に腰を振るの。頑張ってる感が必死なの」
「凄いぞ、エルフちゃんのは、若さを取り戻した気分になる。3回戦だぞ。3回戦。人生のピークだよ」
「「ね〜」」
2人の相性は良いのか。
「何が、『ね〜』だ。いい年こいたおっさんが、恥ずかしくないのか。嫁や子供は、居ないのか。大使の補佐をして長いのだろう」
「はい、離婚します。子供たちも、大きくなりましたし。嫁も、説得します」
「私は、どっちでも良いのだけど。いつも、一緒にいたいから、別れてくれると、助かるけど。本当に良いの」
「俺も、一緒にいたい。真実の愛に目覚めるんだよ」
「可愛い、『ん゙〜チュ』大好き」
洗脳されてるのか。煩悩には、忠実みたいだが。何かが、引っかかる。
「数十年前も、神様の前で誓ったんじゃ無いのか」
「今度は、異世界の神に誓うよ。俺は、エルフちゃんの為に生きる」
「嬉しい。私も、貴方の為に生きる。相思相愛ね、私たち」
「こんな、おっさんの為に生きるだ」
「ちょっと待て。お前、このおっさんが、可愛いのか」
「どっからどう見ても、可愛いわよ」
「気持ち悪い。ヘラヘラするな。それより、このエルフで良いのか、おっさん」
「何を、言っている。こんな若い子が、俺の事を可愛い、可愛いって、言ってくれるのだぞ。添い遂げるしか無いだろ」
「何よ、文句ないでしょ。相思相愛なんだから」
「相思相愛ね。このエルフで、間違いないな。ファイナル・アンサーだな。まだ間に合うかもしれないぞ」
「失礼だな。ファイル・アンサーだよ」
「おい、エルフ。この油ギッシュが、可愛いって、お前の年齢幾つだ」
「レディに、年齢を聞くのは、失礼だぞ」
「お前の為に、聞いているんだけどなぁ。黙っててくれないか」
「そうよ。そうよ。レディに、年を聞くのは、失礼よ、だから、モテないのよ。貴方は」
「僕の事は、どうでもいい。ますます怪しいな。本当に幾つなんだ」
「さひやくはしひゅうひちよ」
「400飛んで2」
男は、驚いてエルフを観察し始めた。
「387歳って、言ったのよ。402歳なわけない」
「愛に、年齢は関係無いって。ファイナルアンサーって。嘘つき」
男は、走って逃げていた。
レディに、年を聞いてはいけないが。例外もある。
僕が、朝熊と会ったのは、異世界タウンでの会食だった。
10人が、10人とも、食事に夢中になる中、朝熊は、食事に手を付けずに話した。
「北条さん、100億を私にお貸しください」
南川が、推薦するだけの男なのか、身なりは立派に見える。
「それは、良いけど。何に使うの」
『無益の書』の利益で、50億と、異世界タウンの利益が、70億以上の利益がある。その他にも、ハルルベリーや映画館の利益もある。
100億は年商で稼げる。
「はい。老虎組の立て直しに使います」
「却下だ」
僕は即答した。
「何故ですか。今は、弱肉強食の時代です。ここで、盛り返さないと、財界で幅を利かせなくなります。老虎組が、立ち直れば、財界と政界に幅を利かせて、バランスを取ることが出来ます。なので、どうしても、100億が必要なのです」
「今更だろう、財界は、好き勝手に政界を牛耳ろうとしている。老虎組の入る隙が有るのか」
「1つだけ有ります。老虎組の所有している株を、チラつかせて、裏からいつものように、一つずつ潰します」
「そんなの、今更、通用するのか。一人ずつ脅して、いつ金が生まれるのか」
「それでも、今やらないと老虎組は、潰れてしまいます」
「老虎組には、些かでわあるが、同情もしているし。助けたい気持ちも有る。だが、頭の考え方は納得できない。潰れる泥船に、財を投じろと言うのか」
「はい。今は、泥舟です。何も言い返せません。このままでは、西の勢力にも飲み込まれるでしょう。そうなると、歯止めが効かなくなります。ここは一つ、助けて頂けませんか」
「この乱世を、平定してバランスを取ると。大きく出たな、朝熊さん。だが、担保も無い。コネも、地位も無い。100億有ったら、勝ち抜ける。泥舟か」
「なぁ、南川さん。この方で、勝負出来るのですか。さっきから黙ってますけど」
「もう、誰も居ません。老虎組の六代目引退から2カ月経ちますが、旗を振る方は居ません。朝熊は一代で、直系まで上り詰めて、財界にも、政界にも、精通してます。今、老虎組7代目を任せられるのは、朝熊だけだと思います」
「分かった。老虎組の7代目に、100億を融資する。だから、僕に政界陣を近づけるな。頼む」
僕は、南川から逃げる為に、100億を捨てた。
自由になる為に、老虎組の復活に力を貸した。
この行動が、運命の出会いを呼んだ。
「またまたアタシ、前原優子です。宜しくお願いします」
私のデビューは、父親である朝熊勝のフロント企業のCMです。
覚えているのは、縁側でスイカを食べるシーンで、3回取り直しました。
父親の朝熊は、優しく接してくれましたし。母も、機嫌が良かったです。
私が、売れるようになると、朝熊は、現場から離れていきました。
母は、売れない女優から、マネージャーへ代わり。
仕事を、バンバン取って来るようになり、学校へは中々通えませんでした。
中学を卒業すると、母は私を捨てるかのように、朝熊の芸能事務所へ入れて、遊び呆けていました。
今の母は、場末でスナックをしています。
ファーストキスは、中学生のころ。
母が、取ってきた仕事でした。
映画のワンシーンで。そんな、トキメク、モノでは無く。呆気なかったです。
恋はしました。17歳の頃に、7歳年上の板前さんです。
ドラマの演技指導に来られた方ですが、丁寧に教えてくれて、素敵だと思いました。
ですが。父親が朝熊だと知ると、距離を置かれました。
それ以来、料理が趣味で、魚も捌けますし、糠床も持ってます。
父親に抗議して、プライベートを持ったら。週刊誌に何度か、載ってしまいました。
子供の頃から、父親のフロント企業とズブズブな私ですが。
父親の名前が、週刊誌に載ったことがありません。揉み消されています。
『次回、運命の出会い』
北条直孝物語の名シーンです。
読んでいただき、有難うございます。
高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。