襲撃
直孝は、数人のエルフを連れて、関東老虎組へ乗り込んだ。
影村寅次は、直孝を相手にせず。無視した結果、一月で大敗を期した。
映画館とグッズショプは、再開された。
49日間を喪に服し、リニューアルしての再開だった。
バベルは、警備の人間を増やした。
ディーラーの中には、地球へ戻る者もいたが、異世界で、企業した奴もいた。
ビーフ100%のハンバーガーショプを、唐揚げ屋さんの横で始めた。
3人とも白人で、妻子と一緒にこっちに来た、ナーチスさん一家だ。
奥さんは、地下の下着売り場で、バイトをしていたが。
お客が減り、一家で企業を始めた。
売りは、粗びきパティーと異世界のチーズのハンバーガー。
長蛇の列が出来る繁盛ぶりで、空揚げを選ぶか、ハンバーガーを食べるか。数人が悩んでいる。
老虎組は、完全に異世界から撤退を決めて。今は、残党が仕切っている。
警備も、配達も、半減しているが。それなりに食べて行けている。
獣人たちには、申し訳ない気持ちも有ったが。
獣人たちは、『気にして無かった』は、嘘になるが。
ここ、異世界では、命が軽すぎる。
「運が無かった」
「貴族たちは、もっと酷い」
「立派なお墓が有るだけましね」
「同情するなら」
僕は、少し変わった気がする。
老虎組の縛りが無くなり。自由に暮らしている。
あの後は、ニュータウンのメンバーを数人地球へ呼び。
影村会長のお別れ会を開いた。
特に、狩のメンバーは、大きな蛇を仕留めて、騒ぎたがっていた。
ゴーティーさんは、ロマネ・コンティを2人で空けていた。
獣人も、数人参加していて、マロウを偲んでいた。
翌日、二日酔いで、老虎組にカチコミをかけた。
影村会長に旗を振らせて、車2台で向かった。
前代未聞のカチコミ。
京也と、会長の不始末を、片付けに向かった。
影村寅次は、立ち合ってもくらなかった。
そればかりか、命を助けたのに、京也も出て来ない。
影村会長が、旗を振っているのに、出て来ない。
「良いのか。老虎組を潰すぞ。嘘じゃないぞ」
南川に、啖呵を切ったが、相手にされなかった。
「武闘派の橋子組に、カチコミかけますので。お茶菓子と人間の用意させてて下さい。梯子の組長を使って。また違う組を襲撃しますから。よろしくお願いします」
エルフを使い。次から次へと、寝返る組員だち。
3週間で、関東の三分の一を、牛耳った。
「影村組長、ギブしますか。ギブですか」
「分かりました。ノーです」
また1週間続いた。
「影村組長、引退しますか。続けますか」
「京也は、コチラに付きましたよ」
「分かった。引退して、老虎組は、異世界タウンに、弓を引かないと約束させる。コレで気が済んだか」
「有難うございます。それでは、迷惑料の20億の支払いをお願いしますね」
獣人一人を、二億で計算して、損害賠償の8億を(株)ハルルに、支払って下さい。
これで、異世界のニュータウンは静かになった。
私の名前は、前原優子。直孝さんと同い年の、23歳。9万文字にして、ヒロイン登場かしら。
2歳から、子役として芸能界に属してまして。
蝶よ、花よ、と育てられて。
酸いも、甘いも、噛み分け。
海千、山千、と渡り歩きました。
このアタシ。
目下、直孝さんのお嫁さんになる為に、修行中です。今しばらく、お待ち下さい。
「何を言っているの、お母さん。先週、40歳になったばかりよ」
「あっちゃんは、知孝を、起こさないの。寝たばかりなんだから」
「暖孝お姉ちゃんは、知孝が、好きだからね」
「かっちゃんは、知孝嫌いなの。お母さんショックで泣いちゃう」
「勝孝は、男の子嫌いだもんね」
「男の子が嫌いなんじゃない。馬鹿な子が嫌いなの。気持ち悪いくらい、ちょっかい出してくるの。お母さんどうして」
「お母さんにも、分からない。男の子だからじゃない。お母さんにも有った。グーパンしたら、泣いちゃったの、その子」
「イェ~イ」
ハイタッチする2人。
「お母さん、今日は、どんな話を、聞かさせてくれるの」
「そうね。むか〜し、昔のそのまた昔。今から、17年前かな」
「それ、お父さんと、お母さんの話」
「私、お父さんの話好き」
「駄目なの、お父さん、かっこいいんだけど」
「北条直孝物語の、盛り上がる所なんでしょう」
「お母さんが、お父さんに、トキメク所よ」
「お父さんが、貴族に対して、言うの。『この人に、指一本。傷1つ付けてみろ。僕がこの国を滅ぼすからな』って言うのでしょ」
「あの時の、お父さん、カッコよかったの。あの瞬間から、お父さんのトリコよ。愛の奴隷よ」
「え〜。クライマックス聞いちゃった、じゃない」
「今度はね、エルフの恋を話そうかな」
「もう、こんな時間。ちょっと、買い物してくるから、お留守番しててね。直ぐに帰ってくるから」
『カット〜』
「以上、北条ファミリーでした。クランクアップです」
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
「北条さん亡き今、この映画に関われて、本当に良かったです」
「脚本が良かったですから」
「自画自賛ですか」
「誰にも、書かせたくはありません。この物語に関しては、妥協は罪です。重罪です」
「オギャー。オギャー」
「知孝が、起きたようです。すみません、失礼します」
前原優子は、3人の子供を連れて、現場を後にした。
「チャンネルは、そのまま」
直孝の元に、一本の電波が入った。
「直孝さんに、会わせたい人が居るんです」
「南川代理、どうなさいましたか。お支払いの延長ですか」
「会わせたい人が、居るんですよ。お支払いの件は、後日、日を改めて、お話をさせて下さい」
「誰ですか。また、政界の方ですか。先生。先生。先生。ですか。反吐が出ます」
「政界とのパイプは、大事な事です。ですが、今回は違います。老虎組の跡目です。7代目です。朝熊って男なんですけど。北条さんに会いたいと願い出ているんですよ。有ってもらえませんか。お願いします」
「どうせ、無理矢理に、セッティングするのですから。行きますよ。日時と場所を、教えてください」
「有難うございます。取り敢えずです。まだ日時は決まってません」
「分かった。連絡だけして下さい」
料亭での飲み会。美味しいのは許せるけど。政界の爺に、問題が有る。異世界の老害もそうだが、世界で共通している。
財界もそうだ。タヌキたの、キツネだの。利権を求めたがる。
手放したら楽になるのだが。こっちを立てると、向こうから攻撃される。向こうを立てると、こっちから攻撃される。
簡単には、手放せない。
異世界に籠もって、楽したい。
全てを丸投げしたかったので、朝熊に会った。
後見人は南川が、なると言っている。
金を稼ぐ方のヤクザで、財界とも、政界とも、仲が良いらしい。
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