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異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
33/42

スーリピの首

僕は、京也の身代わりを探していた。

何処の誰でも、良かった訳では無いが。似ているだけで良かった。




 僕は、車を飛ばして、大阪の西成にいた。


 目的は、沢山あるが西成にすべてが揃っている気がして、名古屋を通り過ぎて。大阪まで足を伸ばした。


 第一の目的は、京也に似た男を探す事。

 顔を整形する人を探している。

 最後は、何も考えられ無くなる薬を求めた。


 真ん中は、どうでも良かった。

 似たヤツの顔を潰せば良いのだ。

 絞首刑でも、何も語らない奴が欲しい。


 色々と考えていると、看板を見つけた。

 三角看板に、チョークでなぐり書きされている。

 『整形屋さん。はじめました』


 僕は、恐る恐る中を覗くと。


 「いらっしゃいませ」


 定番のように、後ろから驚かされた。


 「どういった、ご要件ですか」


 「急いで、整形したいと、言ったら。対応してくれますか」


 「問題ないです。ですが、検査はした方が良いですよ。年の為に」


 「その点は、問題有りません。それと、ハイになっちゃうお薬は有りますか」


 「ウチには無いけどね。その辺の角で手に入るよ」


 「有難うございます。希望の光が見えました」


 「それじゃあ。頑張ってね」


 僕は、角へ行き、適当に声をかけた。


 「10万出せよ。天国見せてやるよ。その代わり、地獄も待ってるよ」


 「いいねぇ。君、いい具合の茶髪だね」


 「身長も最&高だよ」


 「それじゃあ、10万円でお願いします」


 エルフに頼んで、洗脳してもらった。


 「問題無い。次に行くぞ」


 僕は、整形をお願いしに、ヤブ医者の下へ向かった。


 「急患です。大至急、この顔にお願いできますか。この顔がタイプで、どうしても、この顔が良いんです。お願いします」


 「さっきも言ったけど。急に来て、顔がそのようにはならないの。そうだな、1週間は、顔が腫れるよ、それでも良いの」


 「願ったり、叶ったりです。パンパンに腫らして行こう。お時間と金額をお願いします」


 「急患だから、300万円で。時間は、5時間貰えるかな」


 「前に200万円で、後で300出すから。逃げるな。逃がすなだ」


 「OK。ノープロブレム。年収稼いだよ」


 僕は、初めてパチンコをした。

 音がやたらとうるさくて、小さな画面に釘付けになる。

 ここでも、やらかしたのか。周りや機械が、数字が揃う度に盛り上がる。

 僕は、理解が出来た。

 エルフが後ろから、機械に対して、何かをしているようだ。

 ループしているのか。理解した。


 『僕は、エルフに洗脳されていた。幼少の頃からずっと。だから、一度だけしか種を取りに来なかった。逆だ。エルフたちが、タイムマシーンを奪ったから、来れなかった』


 「エルフたちは、僕の側で、タイムマシーンが、完成するのを、ずっと待っていたんだ」


 『まだまだ仮説の段階だ』


 僕は、パチンコをしながら、タイムマシーンの事を考えていた。


 雪女が、前原優子の場合は、僕の人生は、30歳の後半から40歳の前半。

 前原優子と僕は、同い年だ。

 エルフの薬で、若さを保つのなら、子供は授からない。

 あの光る指輪、謎だったが。鮮明に思い出している。


 エルフの記憶が、僕に、入り込んでいるのか。

 そうだな、僕の視点で僕は見れない。

 幽体離脱では無い。お前は、あの場にいたエルフだろ。


 スマホのアラームが鳴った。


 気が付くと、僕の周りにパチンコの玉の山が出来ていた。


 「すみません。帰ります。どうしたらいいですか」


 僕は、狭い席で、大きく手を振り。助けを求めた。


 「兄ちゃん、帰るのけぇ。この台、私が座ってもいいかの」


 「良いよ。おばちゃん頑張って」


 派手なヒョウ柄のパーマのおばちゃんに、パチンコ玉ごと渡した。


 「行くぞ」

 独り言のように、声を出した。


 パチンコ屋さんで、時間を有意義に使った。

 サーモグラフィーで、エルフが付いて来ているかを確認しながら、整形外科医の所へ向かった。


 僕の想像を超えて、彼の顔は腫れていた。

 スマホを取り出して、防犯カメラの映像を確認しながら、腫れた顔を見ている。


 スマホの画面を、並べたり。引いたり。近づけたり。問題ないのか。


 カバンから、追加の300万を取り出して。ヤブ医者に渡した。


 「お世話になった。明日の朝は、これ以上腫れているのだな」


 「はい。これから腫れ上がるのです。答えが出るのは、1週間後です」


 「そうか。まぁ、何とかなるだろう。お世話になりました。追加の料金です。急ぎますので、失礼します」


 僕は、麻酔の効いている茶髪の彼を車に乗せて、異世界タウンへ向かった。


 逸る気持ちを落ち着かせるように、高速道路でも、制限速度ギリギリを守り。

 これからの事を、シュミレーションした。



 「ゴーティーさん、そっちにフロタカマージパイソンが、そっちに向かったぞ」


 「えぇ、こっちも見えてます。そのまま、B地点に追い込みます」


 「分かった。こっちも、ジリジリ追い込むとするか」


 「それでは、後で」


 『パン、パン、パンパン』


 「うるさいな。それどころでは無い」

 「これは、仕留めないと。村にも被害が出るぞ」

 「この大きさは、ヤバそうですね」


 影村会長たちは、かなり大きなヘビに夢中で、退避命令を聞いてくれない。


 音だけの花火は、何度も上げている。

 マロウだって、気付いているはずなのに。



 最後の難関が訪れた。

 出口の様子が分からない。

 こればかりは、出たとこ勝負だ。


 僕は、エルグランドに10人の獣人を乗せて、異世界へ跳んだ。


 異世界では、貴族たちが交代で、ニュータウンの前を見張っている。


 後部座席のドアを開け放ち、左右3人ずつ、計六人で茶髪の彼を担ぎ。残りの2人は、両手を広げるシンガリを任せた。


 最初に、僕が車を降りて、入り口で謝罪をした。


 「この度は、地球の馬鹿が、申し訳ない事をしました。揺らせない事ですが。明日の朝まで待ってください」


 「何を言っている。生優しい問題じゃないぞ」

 「今直ぐに出せ。私の剣の錆にしてくれる」

 「駄目よ、苦しめて殺さないと。首を跳ねるなんて、優しすぎる」


 「それは、そうかも知れません。彼も人の子で、親御さんに挨拶をさせてやりたいだけです。『先立つ不幸を、お許しください』と声を交わすだけです。許していただけませんか。親御さんは、コチラに向かっています。何卒、しばしの時間の猶予を頂きたく思います」


 暴動の目は、僕に向いている。


 「今だ。行くぞ」


 八人はそのまま、ニュータウンの道を走り抜けた。


 貴族たちが気付き、暴動のベクトルを茶髪に向いた。


 僕は、矢面に立つように、間に入り。


 「問題有りません。明日の朝には、彼を皆様の前に差し出しますから。今は、目を瞑って下さい。この通りです」


 また、僕は土下座をした。




 翌日の昼過ぎ。無も知らない。茶髪の男の首と、ヒツジのスーリピの首が晒されていた。


 貴族たちは、首を見て納得し。矛を収めた。

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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