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異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
32/42

立入禁止

影村京也が、馬鹿な事をやらかした。

貴族に喧嘩を売った。貴族を、馬鹿にした。

どう考えても、京也が悪い。




 その日は、影村会長も異世界へ来ていた。

 ゴーティーさんと、森へ入ったとも連絡を受けている。


 僕は、エルフたちを連れて、羽田へ向かっていた。毎週、火曜の仕事だ。


 休憩をしながら、ゆっくり5時間かけて、5時間戻る。

 地球で、1泊して、異世界へ。

 何気ない、1日の事だったはずだ。



 「この役立たず。なんの為に、ここで、暮らしているんだ。北条のアキレス腱を探すためだろ。この女は違う。北条のアキレス腱では無い。他を探せ」


 「何の事だよ。北条のアキレス腱って。僕に、何させたいの」


 「あ゙〜。使えないな。北条の痛いところを探しておけ。いいな」


 「オヤジ、北条なんてガキ。獣人や村の人を盾にしたら、何でも言う事を聞きますよ」


 「それがダメなんだよ。あいつは、平気なんだよ。目の前で、人が死んでも。オレに意見するくらいだぞ」


 「言っている意味が、分かんないっす。今まで通りで、良くないっすか」


 「駄目だ。ここはオレが貰う。関西を手にする前に、ここを取る」


 「ここは、もう、うちの島ですよ。北条が邪魔なのですか」


 「もう少し、様子を見て、時間をかけるか」



 「京也、7代目諦めろ。向いてないよ、お前は」


 「お父さん。何でも言うこと聞くから、捨てないで」


 「北条が嫌がる事をしろ。分かったな。お爺ちゃんには、内緒だぞ」


 「おい。帰るぞ」


 「「「「お疲れ様です。六代目」」」」


 影村寅次、現老虎組組長兼、関東のトップである。


 僕の留守の時に、偵察していたらしい。



 「京也、坊っちゃん。それは違いますよ。ここは駄目です」


 「るせぇなぁ、お前も死ぬかぁ。六代目が、ここを欲しがっているんだよ」


 「だから、その考えが間違っているです。まともになって下さい」


 「なんだぁ、ヤんのか、おい」


 「待ってくださいって。何でそうなるのですか」


 「取り敢えず、死ね」


 老虎組の組員が刺された。

 バベルの正面玄関で、事件が発生した。


 そのまま、バベルの中へ入る京也。

 貴族が集まる場所だ、ソファーや家具も、良い物を揃えている。


 朱色のマットを、奥へと進み。正面の大きな戸を開けた。

 日頃は、開く事の無い扉。

 皆、チップと両替をして、会場へ入るから。ここは使われない。

 大扉の鍵の開け方さえ、分からない方が多い。


 会場の貴族たちは、少し驚いていた。


 刃物は、入り口で没収される。老虎組の組員が、丁寧に管理する筈だが。

 京也の手には、ドスが握られている。

 ドスには、血が付着していて。少し垂れている。



 「スーリピ。ちょっと来い」


 「お客様、困ります。バベルは、獣人を立入禁止にしています。お帰り下さい」


 「硬いこと言うなよ。どうせ、お前たちも、ニュータウンで、獣人と、しこたまヤッているんだろ。バレバレだぞ」


 「おい。老虎組の人を読んで下さい」


 「バーカ。俺も、老虎組だ。1回勝負したら帰るよ。黙って見てろ」


 「ポーカーだ。何をヤッている。お前が来ないと始まらないだろう。スーリピ」


 「お願いですから、京也坊っちゃん。ニュータウンへ戻って下さい」


 「トロいな。お前は」

 京也は、スーリピの頬を叩き。

 倒れたスーリピの首に手を回した。


 「ゲームに遅れるだろ」

 京也は、スーリピの首から、大玉の真珠のネックレスを取り。

 ポーカーの卓上へ置いた。



 「お客様。物品でのゲーム参加は受け付けておりません。入り口横の質屋へ預けては如何ですか」


 これが、貴族の逆鱗に触れた。


 見た事の無い、大玉の真珠の粒が全て揃い。綺麗な輝きを放っている。


 ご夫人方は、扇子を広げて、ざわざわと話を始めた。

 貴族たちも、怒りを抑えるのに必死だった。


 見た事の無いモノを、ゲスな獣人が身に着けている。不愉快だ。

 ましてや、社交の場のテーブルに置くとは。言語道断、許されない事だ。


 「君は、この場に相応しくない。帰りたまえ」

 「無礼だぞ。刃物なんぞ出して」

 「この事は、北条さんは知っているのか」

 「北条を出せ。抗議してやる」


 「北条。北条。北条って。あいつが、そんなに偉いのか」

 「俺を、馬鹿にしやがって」

 「帰るぞ、スーリピ」


 嵐は、過ぎ去った。

 いや、大きな渦を生んだ。


 貴族たちが、暴動を起こした。


 屈辱だ。冒涜だ。あの男を出せ。火炙りだ。ギロチンだ。絞首刑にしろ。


 ニュータウンの前で、貴族たちが、暴動を起こしている。


 コレを止めているのも、老虎組員だった。


 異変を知らせてくれたのは、軽トラの係りをしている。ハシビロコウのプッテユだった。


 軽トラで、地球へ転移して、事の一部始終を話してくれた。


 僕は、ホテルをキャンセルして、異世界タウンへ入った。


 「異世界は、どんな状況だった」


 「手が付けられません。正に、暴動です」


 「京也を出せと、しつこく迫っています。どうしますか」


 「取り敢えず、貴族たちに謝って時間を稼ごう。影村会長にも連絡を取れ」


 僕は、軽トラに乗り込み。異世界へ跳んだ。


 暴動の眼の前に着いた。


 「話は、聞きました。ですが、本人を納得させる為に、3日下さい。3日後に、皆様の納得する答えを出します。お願いします」


 僕は、貴族たちの前で。土下座をした。罵倒やツバを吐きかけられ。屈辱に耐えた。


 「これだから、平民は困る」

 「3日だな。3日後に、アヤツを殺してやる」

 「これは、聖戦だぞ。無礼では済まん。アヤツの首を捧げよ」


 僕は、罵られながら、泥をかけられ。ヒールのかかとで手を踏まれた。


 耐えた。貴族たちが帰るまで耐えた。


 皆が消えて、静まり返る頃。僕は、気を失っていた。

 暴動は、エスカレートを極めて行き。

 蹴るのが、当たり前なっていた。


 生きているのが、不思議だった。


 僕に、エルフの回復薬を使ったのも、老虎組の組員だ。


 「影村会長と、話はできたか」


 「未だです。何度も、音の花火を上げてますが。森から出てきません」


 参ったな。影村会長の罠か。確認も出来ない。


 「京也の所へ行くぞ」


 僕は、頭を振り。直ぐに立ち上がった。


 「大事件だ。どうしたら、収まるのか。貴族を納得させられるかだ」


 「京也、坊っちゃんには、触れさせません。お帰り下さい」


 ここでも、バリケードが張られていた。


 「見ただろ。事件が起きたんだぞ。お前たちの仲間が死んだんだぞ。無駄な血が流れた。全ては、京也が悪いんだぞ。しっているだろ」


 「ですが、京也坊っちゃんは、7代目になる御方です。ここは譲れません。お引き取り下さい」


 「戦争が起こるぞ。見たよな。京也が悪いんだぞ。責任も取らせないのか。老虎組は。京也のエンコじゃ済まんぞ。分かっているのか。お前ら」


 京也とも話もできない。困った。


読んでいただき。有難うございます。

高評価、星とブックマークを、宜しくお願いします。

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