逆鱗
影村会長を召喚した。
影村会長は、京也に少し甘く感じた。
ニュータウンから、追い出す事は出来なかった。
影村会長が、異世界にやって来た。
呼んたのは僕だ。
「スーリピが、居ますので。獣人たちはここで、待機をしてて下さい」
僕は、影村会長と、複数人の組員で京也の家に乗り込んだ。
影村会長が、激怒しており。
今のヤクザが、近所に迷惑を掛けるなど有ってはならない。
『ピンポーン』
お天道様は、天高く昇っている。
いい加減、起きていないといけない時間だ。
「京也さん。またまた、苦情が出てますので、影村会長を呼びました。本日は、ニュータウンからの、退去をお願いします」
『ピンポーン』
「死んでますか。スーリピを殺しましたか。この臭さは、死臭ですか」
『ピンポーン』
「早く出てきて下さい。間違えました。早く出てって下さい」
「バルサン炊きますよ。宜しいですか」
『ピンポーン』
「だぁ~、ルッセぇなぁ。毎日、毎日、家に来やがって。いいかげんに、しやがれ」
「お早うございます。いいかげんに、家を明け渡して下さい。京也さん」
「何やっている。この馬鹿、服ぐらい着て出て来い。恥はないのか、恥は」
「お爺ちゃんを、呼ぶなよ。反則だろ」
スーリピが、頭を深く下げるが。服を着ようとしない。
「この馬鹿。反省しろ」
「痛い、痛いって。お爺ちゃん。僕が、いったい何をしたの」
京也は、耳を引っ張られながら、外に出された。
「おい。家の中を掃除しろ」
影村会長は、トーンを低く変えて、ドスを効かせた。
僕らは、京也が外に出た事により、家の中に入れた。
「お前は、先に服を着て来い。何日、裸でいるつもりだ」
僕は、スーリピに、服を着るように命じた。
一番ヤバそうな寝室を、スーリピに任せて。ゴミの片付けから始まった。
ゴミを出す度に。京屋の顔が、ボコボコなって行く。
とうとう、影村会長の杖が折れた。
京也のか頭から、出血しだした。
だが、ゴミ出しは止まらない。
半分は、拭き掃除に回っている。
寝室の異臭は、中々取れそうもない。
スーリピが、何度も壁に鼻を当てて、雑巾で擦っている。
長時間そこに居て、麻痺しているはずなのに、臭うのだから。異臭なのだろう。
10人の大人が、5時間働いて、やっと人の住む家に戻った。
軽トラの荷台に、ベニヤと角材で補強された、煽りを立てて。ゴミを、大量に積み重ねた。
軽トラの天井の高さを超えて、追加のベニヤを立てた。
とっからどう見ても、積載オーバーの軽トラ。
ここから、石材現場まで運ぶ。
京也は、フルチンの正座で、頭からは出血している。
「影村会長、京也さんをどうするつもりですか」
「待て。京也も、この通り反省させた。終わりでいいだろ。一件落着だ」
「何を、言っているんですか。スーリピの解放ですよ。僕の要求は」
「大丈夫だ。今、反省させたから、問題ない」
「京也さんが、スーリピを手放して。他の獣人を受け入れたら、済む話ですよ。獣人たちの食費も、僕が持ちますから。スーリピの解放を」
「クドいぞ。スーリピは、そのままだ。ハベルの利権を、3%に落としてやるから、ここは大目に見ろ」
「そう言う問題では有りません。異臭、匂いです。獣人たちが、居るんですよニュータウンには。ご理解して、貰えないようですので。言っても、意味ないですね。それでは、今回だけですからね」
ここで、僕は、京也の説得を諦めてしまった。
一人で、ニュータウンを後にした。
僕は、自分の行動に異変を覚えた。
母親への、普通の対応。
京也の説得。
影村会長を、怒らせた。
僕は、久しぶりに、サーモグラフィーを使った。
僕に、エルフが付いていた。
影村会長と険悪なムードにして、僕に罪を擦り付けるつもりなのか。
だけど、あらゆる所に、センサーが付いているはずだが。
僕は、映画館のパソコンの警備から調べた。
意図的に、スイッチが切られている。
影村会長の指示か。
京也の単独犯か。
第三の勢力も有るのか。
「おい。もうバレてるぞ。感情を押さえれ良いのだろう。下がらないと、エルフ全員を追い出すぞ」
エルフは、光学迷彩を解き。ドアを開けて出て行った。
僕は、映画館の中に飛び込んだ。
真っ暗な世界で、スクリーンの灯りと。非常灯のグリーンしか、付いていない。
サーモグラフィーを当てながら、エルフを探した。
結構潜っている。12人のエルフを見つけた。
バベルのセキュリティは、問題無かった。
やはり、ターゲットは僕なのか。
ニュータウンのコンビニも、異常はない。
だが、影村会長は、バベルの売り上げを、3%にしても良いと、言った。
結構な額だ。孫に、甘いだけなのか。
エルフのお陰で、お母さんとの会話は普通にやり過ごせた。
まぁ、そのうち、誰かがアクションを、起こすだろう。
そう考えていると。お腹が空いた。
僕は、最近与田さんが出した店へと向かった。
異世界のピーピングラビットの肉を使った、唐揚げ屋さんだ。
少し前まで、醤油漬けの肉として、販売をしていたのだが。
カジノのメンバーが、KFCが食べたいと言うので。ピーピングラビットの肉を、唐揚げで出した。
チキンとウサギは、似ていると、誰かが言ったが。唐揚げとKFCは、違うと思う。
だが、空揚げを求めて、バベルのメンバーが、与田の畑に並んだ。
そこから火がついた。
空揚げを、爪楊枝で突きながら、シャフルするのが気になって。貴族が求めて。
与太さんが、業務用のフライヤーを購入したいと言い出した。
連日、誰かが唐揚げ屋さんにいる。
雨が降っていても、メイドが並んでいる。
醤油味のウサギの空揚げ屋さん。
「スーリピ以外の子を、側に付けたらどうだい。そろそろ、次のステップに行けよ」
「違いますよ。そんなんじゃないです。スーリピとの関係は。そもそも」
「気にしていないのなら、尚更だろ」
小さな小屋で、フライヤーの前に立つ与太さんが、声をかけている。
エルフの回復薬、様々だ。
汗だくになりながら、扇風機で凌いでいる。
「取り敢えず、空揚げの弁当を一つ下さい」
「何だよ。少し怒ったのか」
「別に、怒ってませんよ。与田さんは、いつもこうですから。僕も、そうしているだけです」
「何だ、怒っているじゃねぇか」
「違いますよ。呆れていれるんです」
「そんなモノか」
「ええ。そんなモノです」
いつものやり取りをして、空揚げの弁当を頂いた。
醤油漬けの肉は、パサパサ感が否めなかったが。
空揚げは、肉汁が溢れてくる感じだ。
お米が進んだ。
やはり、KFCとは違う。
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