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異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
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Back to The Earth (前)

直孝は、母親を説得して、1年の猶予を貰った。

納屋に籠もりながら、お祖父ちゃんの世話をして。

1000万の貯金を使い、軽トラをタイムマシーンに変えた。




 「勝手に色々な事を決めないで。僕の人生は、ここにある。お祖父ちゃんと、ここで暮らす」


 直孝は、祖父の面倒を見ながら、ここで生活すると告げたが。


 「そんな事できるわけ無いでしょ。いつもの、わがままみたいに行かないの、川崎に帰るわよ」


 北条孝子は、わがままな僕を説得することなく、連れて帰ろうとしている。


「嫌だ。僕はここじゃなきゃ、外にもでられない」


 ここには、若者がいない。

 心の準備も無しに、川崎に戻ったら。また、引籠りに戻ってしまう。


 「お母さん、お願いだから1年の猶予をください。僕は、1年で変わるから。20歳になったら、家に戻るから」


 母親も、ずっと部屋に籠もられたら困るので、1年の猶予を与えた。

 『ボケ始めた、お祖父ちゃんと3ヶ月も持たないだろう。泣き言を言うに、決まっている』

 孝子は、簡単に考えていた。



 だが、直孝には、別の目的があった。


 49日を済ませ、お祖父ちゃんの貯金を使い。

 直孝は、納屋にある軽トラを改造した。


 お祖父ちゃんとの生活は、僕にも役に立った。

 トイレは、生活習慣で自分でできたが。食事を作る必要がある。

 僕も、集中し過ぎると、食事を摂るのを忘れて、没頭する癖がある。

 それを、お祖父ちゃんは解消してくれた。3食きちんと食べて、お風呂も一緒に入った。

 没頭しても、目覚ましが教えてくれる。

 僕は、一人ではないことを。


 抗議をするための装甲車や、化け物エンジンを積んだわけではない。

 1000万の改造費をかけて、軽トラをタイムマシーンへと改造した。


 軽トラで、80MP/hは無謀すぎる。

 だから、コンマ何秒の世界に亜空間を作り出して、吸い込まれる形をとった。


 瞬きよりも早く消えて、ピンポン玉よりも小さな、亜空間生み出す装置を作り出した。


 それは、僕を過去へと誘い。お祖母ちゃんを、助けて、僕のレールを正す筈だ。


 僕が、お祖母ちゃんを説得して、病院へ連れて行くんだ。

 もう一つは、手紙を書いた。


 『拝啓、北条直孝様


 疑うかもしれませんが、僕は未来から来た君です。

 トイレの水が吸い込まれるのを見て、亜空間装置を思いついた、事を知っています。


 ここからは、お願いがあります。

 中2僕は、まだ工科大学付属へ行く予定のはずです。推薦合格をして下さい。

 御札でも、魔除けでも、買って。雪女を近づけさせないで下さい。


 PS 雪女には、気を付けろ』


 過去の自分に手紙を書くなんて、誰かの歌みたいだ。

 『大丈夫、そのままでいい』みたいな歌詞だったが。僕のは違う。

 19年も生きていないが、最悪な人生だ。


 だが、明日からは違う。

 お祖母ちゃんは、生きていて。僕は、東大生になっているはずだから。


 深夜1時の田舎の農道で、直孝はタイムマシーンのスイッチを入れた。


 時間や物体の概念が無くなり。僕は、眩い光に包まれ。永遠とも思える時間の中に、直孝の乗る軽トラは吸い込まれた。


 眩しさに慣れたのか、直孝は目をこすり。辺りを見渡した。



 僕のタイムマシーンの実験は、失敗に終わった。

 ファースト トライで、上手くいく必要もなかったが。

 僕は、異世界に出てしまった。


 僕は、5年前の農道に、着く予定だったが。

 周りは、木に覆われていて、舗装もされていない林道。

 都会で育った僕には、見覚えのない景色だ。


 そして、目の前で黄色いパーカーに、オーバーオールを履いた獣人らしき者が、膝を付き祈りらしい事をしている。 


 僕は、急いでそれを止めようと、車のドアを開けて、163cmの体を外に出した。

 僕の成長は、ここまでのようだ。

 来月で19歳になるのだが。2年前から、伸びる兆しが見えない。

 色男でも無ければ、力も無く、お金も無い。ガリガリのヒョロヒョロときた。

 おまけに、ヤンキー達には抵抗を持ち。雪女の性で、女性に対してのトラウマを抱えている。



 「やめてください。突然この世界に出たのは謝りますから、祈るのをやめてください」


 狐の頭を持つ獣人は、僕の方を向き。今度は、僕に対して祈り始めた。

 それだけでは無い。肩に乗った、メタルの人形らしきモノも、コチラを向き祈り始めた。


 「言葉が通じないのかな。僕は、北条直孝と言う名の人間です。この世界に、僕と同じ人間は、おられますか」


 直孝は、理解しがたいジェスチャーを取り。会話をしようと努力した。


 「聞こえてますか。僕は神などでは有りません。神など、この世に存在しません」


 「貴方様は、ユニーバ教の神様ではないのですか」


 「残念ながら、普通の人です。驚かれたなら、謝らせてください。すみませんでした」


 「私の方こそ、勘違いをして申し訳ありまさん。見たことのない乗り物だったもので、つい。失礼しました。私の名は、マイジェイ。肩のは、アンドロイドのクリストフです」


 狐の獣人は、膝の土を払いながら立ち上がり。僕を見下ろした。180cmは有りそうだ。

 指は、毛深いが5本あり、肉球は無さそうだ。

 肩のクリストフも、30cmくらいの大きさで。

 頭部は無く。頭部が胴体で。顔に手足が生えている。

 髪の毛は薄く、頭頂部に後退していて。逆立つように爆発している。

 手は、頭頂部の横から出ていて。耳が、可動範囲を邪魔しているようだ。


 「神は、おられます。ユニーバ教の神は、存在いたします。見たことは有りませんが。いくつもの物語の中で、神々は現れています。信じてくれたら、貴方にも祝福が舞い降りるでしょう」


 マイジェイは、『ユニーバ教のメッセンジャーバッグ』から、『ユニーバ教の経典』を取り出した。


 『ユニーバ教のメッセンジャーバッグ』は、有限だが、大量収納になっていて。盗賊達に、よく狙われている。『経典』用の専用ポケットが付いている。


 『ユニーバ教の経典』は、ユニーバ教の教えや、物語が書かれていて。半径200mの者達と会話をする為の、翻訳機能を持っている。

 ユニーバ教の普及には、翻訳機は必需品だ。


 2つとも、エルフが作ったもので、出回ると高値で取引される。

 護身用に、アンドロイドのクリストフが、マイジェイを守っている。


 「北条直孝様も、ユニーバ教へ入信いたしませんか」


 マイジェイは、経典を右手に持ち。左手を、メッセンジャーバッグに入れて。黄色のパーカーを取り出した。


 「コチラは、ユニーバ教の信者が着用するパーカーでして。オーバーオールとセットとして、着る事が、主流とされています。お安くしておきますよ」


 僕は、オーバーオールよりも、『ユニーバ教の経典』に、興味が湧いている。

読んでいただき、有難うございます。

ギリギリ、アウトな作品に仕上がり。後編に続きます。

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