新たな、移住者
影村会長は、映画館まで来て、無理難題を押し付けた。
スーリピを、京也の筆頭にすると言い出した。
直孝は、必至に止めようとるが。
「北条君。ニュータウンに空家はあるかい」
いきなりの提案だった。
「この京也が、ここに住みたいと言っているんだよ。空いていたら、貸してもらえないかな」
「宜しいですよ。貴族たちが家を建て始めて、バイトを募集しても、足りないから、地球から人を呼んでいるんですよ。だから、移住者が増えてしまって。まぁ、お互いに、干渉しなければ、問題無いと、思いますよ」
「少し、ニュータウンへ行ってくるから。ここを頼む」
僕は、映画館にスーリピを残そうとした。
「えっ、何で。連れて行けば良いじゃん」
「すみません。このヒツジは、ニュータウン出入り禁止なんです。他の子たちに、嫌われてまして。目下、反省中です。では、コチラ」
「何でよ。この子が良いから、ここに住むの。この子じゃなきゃ駄目なの」
「えー。京也さんは、スーリピをお望みですか。悪い事は言いません、他の子が良いと思いますよ。ズラーッと、獣人を並べますから、少々お待ち下さい」
僕は、この場を少し離れようとして。
「おい。僕が、この子と言ったら、この子なの。分かった。返事は」
「少々、お待ち下さい。影村会長と、お話をしてからでも宜しいですか」
京也と離れて、2人で話そうとした。
「僕の気持ちは、変わらないよ」
それでも無視して、売店の端で会長と話した。
「本当に、宜しいのですか。マロウは、知っているのですよね」
「マロウちゃんは、関係無い。京也が、スーリピを気に入ったんだから、しょうがない」
「しょうがないで、片付けられますか。与田さんの事件と、アルクサンダーの件。大変ですよ。僕は、賛同しかねます」
「大丈夫。大丈夫。あれでも、老虎組の7代目なんだから」
「甘やかし過ぎてませんか。老虎組の将来は、危ういですよ」
「黙れ。誰に意見している。馬鹿たれ」
「分かりました。どうなっても、責任取ってもらいますから。宜しいですね。僕は、忠告しましたよ」
「スーリピ、ついて来い」
スーリピの表情が歪んだ。
別に、僕らの関係は、あの1回以外に無い。
スーリピに対して、特別な感情などは、無くて良い。
「京也さん、スーリピに付いてですが。この子は、問題児です。ですので、家から出さないだ下さい。散歩も、駄目です。買い物も、駄目です。老虎組の組員を使って下さい。家の外に、出さなければ、問題無いと思います」
「OK、問題無いね。他にある。スーリピの躾方法」
「ありません。好きにして下さい」
僕は、スーリピを置いて。エルグランドを取りに向かった。
「スーリピちゃん、宜しくね。京也って言うの僕。君のご主人様になっちゃった」
「宜しくお願いします、京也様。不束者ですが、可愛がって下さい」
「いいね。いいね。こう言うの」
エルグランドを、映画館の正面に止め。後部座席のドアを開けて、3人を待った。
影村会長が、映画館から、出て来ると。マロウが、空から降りてきた。
「影村様、ゴーティー様からの伝言で、不戦勝有難う。ワインを楽しみにしているそうです」
「分かった。ニュータウンへ行くから、先に行っていろ」
「ご一緒します」
マロウが、エルグランドに乗り込もうとすると。影村会長が止めた。
「駄目だ、飛んで来い」
影村会長が、乗り込み。次に京也が乗って。最後に、スーリピが乗り込んで、扉がしまった。
『スーリピが、後ろに乗った。影村会長が、私を乗せずに、スーリピを乗せた』
マロウの心に、小さな傷が出来た。
「いまからでも、間に合いますよ。スーリピを下ろして、マロウを乗せたら。信頼は回復すると、思いますよ」
「うるさい。一度決めたんだ、あとに引けるか」
「私、降りて、歩きましょうか」
スーリピが、自らを犠牲にしようとした。
「そうか、分かって」
「何で。スーリピが、歩く必要があるの。マロウは、空が飛べるから、良いじゃない。僕、間違っている」
「私が悪いのです。ここで降ろして下さい」
僕は、車を止めて。運転席から、後部座席のドアを開けた。
少し、タイミングが悪かった。空の情報など読めない。
車が、止まった時点で、マロウが、ドアの正面に降りた。
「何でだよ。何で、スーリピが、歩かないといけないんだよ。間違っている」
「私が、走って、車に追いつきますから。降ろしてください」
スーリピが、外へ出ようとした。
「待てよ。マロウが、飛べは良いんだよ」
「うるさい。車をこのまま出せ。早くしろ」
その言葉で、ドア閉まり。
スーリピは、京也の手で車内に戻された。
マロウは、数秒待機して。ゆっくり翼を広げた。
わずか車で、10分15分の距離だが、小さな事件だ。
僕は、ニュータウンに着くと。後部座席のドアを開けた。
目の前には、聞き回りしたマロウが待機している。
「影村会長、マロウに謝罪してください」
「分かっている。皆まで言うな」
先に、影村会長が、ゆっくりと降りた。
マロウの正面に立ち。言葉が出ない。
謝罪の気持ちはあるが、言葉に出来ない。
邪魔をしないように、スーリピが見守って居たのだが。
「早く降りろよ」
「直ぐに降ります」
スーリピは、急かさるるように、外へ出た。
京也も、外へ出て。大きく延びをした。
「京也さんは、コチラです。付いて来て下さい」
京也の後ろを、スーリピが付いてきた。
何故か、影村会長が、付いてくる。
「はぁ〜。何故、付いてくるのですか。謝罪は済んだの出すか」
「うるさい。どうだって、良いだろ」
影村会長は、完全にタイミングを失った。
「分かってますよ。影村会長は、少し頑固なだけです。気遣い、有難うございます。直孝様」
マロウは、気丈に微笑んでみせた。
「けっ。……」
つまらなそうに、京也が言葉を濁した。
「何か、言ったか」
影村会長の激が飛んだ。
「何でもな〜いで〜す」
そうこうしている間に、新築の家に着いた。
「コチラが、京也さんが使う家になります。ゴミ出しとかは、スーリピが知っているので。京也さんが出すなり。組員が出すなり。して下さい。スーリピを外に出してはダメです。獣人たちは、鼻が良いので、苦情は、京也さんに向かいますよ」
「分かった。分かった。それじゃあ」
京也は、スーリピを連れて家の中に消えた。
「それでは。僕たちも、戻りますか」
帰りは、2人を後部座席に乗せて、ハルルの村まで向かった。
前途多難の幕が上がった。
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