3Weeksエルフの旅(前)
アルクサンダーを、異世界に招いた。
ニュータウンの住人は、人数を減らしていると伝えると。客を紹介したいと言ってきた。
スーリピが、地球に住み始めて、アルクサンダーからのメールが大量に届く。
スーリピには、『無視して良い』とは言っているが、大量に投げ銭もしているので、対応に困っているのが、現状だった。
そこで、アルクサンダーを、パチンコ屋に呼び出した。
リトアニアの大使は暇なのか、こちらの指定を全て飲んで対応した。
時間に場所、服装に至るまで、こちらの指示どうりに揃えて、指定した番号の台で、パチンコを打ってもらった。
僕は、西島権蔵の代理人として、アルクサンダーと対峙した。
「アルクサンダーさんに、お願いしたい事は、『一人の女性の戸籍を作って頂きたい』と、お思っています」
「その方は、パスポートを作る事は可能ですが、その女性は、テロリストですか」
「テロリストでは無いです。不法移民の類で。戸籍が無く困っています」
「こちらからの条件は、知っていますよね」
「分かっています。ヒツジのスーリピに、会わせて欲しい」
「分かりました、少し場所を変えましょう」
僕は、アルクサンダーと共に、駐車場に用意したエルグランドへ向かい。後部座席に、アルクサンダーを押し込んで、鍵をかけた。
エルグランドの後部座席は、厚手の弾幕が張られて、外の光が入ってこなかった。
アルクサンダーは、手探りで椅子に座り。短パンのポケットからスマホを取り出して、スマホの灯りを頼りに、エルグランドの中を確認している。
エンジンは、最初から掛かっていた。
クーラーが全開に効いた後部座席で、徐々に落ち着きを取り戻したのか、スマホの画面でゲームを始めた。
後部座席のテレビが突然光り。動画が流れ始めた。
スーリピからの、専用動画だ。
「初めまして、アルクサンダー様。私は、知っていますよね。スーリピです。どうしても、私と会いたのですか」
スーリピは、一糸まとわぬ裸で、動画を撮っていた。
「私の事が好きなら、ご存分に鑑賞して下さい」
一番うしろの席が揺れて、スーリピが動き出した。
「よいしょ」
「フ〜」
「見えていないので、時間かけますね」
アルクサンダーは、近寄るスーリピに対して、スマホのライトを当てて、リアルな獣人を眺めていた。
スーリピの方は、スマホの光が眩しすぎるので、下の方ばかりを見ていた。
「凄いな。獣人は、存在するのだな」
「はい。私は生きていますよ。手を、出してもらえますか」
アルクサンダーは、スマホのライトでスーリピの秘部を照らし続けながら、右手を伸ばした。
「有難うございます。アルクサンダーさんの肌は、皆さんと違って、白いのですね」
アルクサンダーの手が、ライトに当たる距離に来た。
「そうだね。僕は、イエローではないね」
「スーリピさんは、綺麗好きなのかな。ヒツジって、もっと、こう、毛が汚れているイメージじゃないですか」
「地球に来てからは、毎日お風呂に入っていますし、無駄毛は処理するように、言われてましたから」
「キャ」
座っているアルクサンダーが、スーリピを強引に引っ張り。膝の上に落とした。
「重たいですよ」
スーリピは、膝の上から移動を試みたが、アルクサンダーが、強引に抱きしめてきた。
「事故だ。許せ」
動いてもいない車内で、強引にスーリピの体を触り。スーリピが実在する事を、確認させた。
我慢ができなかったのか。ポロシャツを脱ぎ、短パンのベルトを外そうとした時に、後部座席のドアからノックする音が聞こえた。
「お時間です。アルクサンダー様」
スーリピが、足を伸ばして車体を蹴った。
これが合図となり、後部座席のドアが外から開いた。
そこは、異世界ニュータウンの前だった。
エルグランドは、パチンコ屋の駐車場から、異世界へ跳んでいた。
異世界の出口は、ニュータウンの入り口に直結していた為、動かなくても、ニュータウンには直ぐに来れる。
ニュータウンの大通りには、女性の獣人がズラリと並び、アルクサンダーを誘惑しようとしていた。
「ここは何処だ」
目が慣れてきたアルクサンダーは、恥ずかしくなり、スーリピを膝の上から下ろした。
「異世界でございます」
スーリピが、カーテンを捲り。人口が密集した都会から、のどかな田舎に移動したことを知った。
アルクサンダーは、ピンクのポロシャツを着て、エルグランド辛い世界へ降り立った。
そのまま、2歩進み。スーリピをエルグランドに残したまま。後部座席のドアが閉まった。
「どうかしたのか」
「何でもありません。スーリピは、ニュータウンへの出入りを禁止されておりますので。ここでお別れです。ささ、ご案内いたします」
直孝は、新たに建てられた新築の家に、アルクサンダーを案内した。
左右から、獣人の誘惑は続き。裸になる者たちに、胸だけを見せる者、その場で自分の尻をムチで叩く者もいた。
「気に入った子が居られましたら、手を付けて宜しいですよ」
アルクサンダーは、じっくりと獣人を観察していた。
そして、新築の家の前に来て、門を潜ると、更に粒ぞろいの獣人たちが出迎えた。
道幅は狭まり、裸の獣人が手を伸ばして、アルクサンダーを触ってくる。
アルクサンダーは、誰も触らずに、新築の玄関前まで来た。
僕は、チャイムを鳴らし。5秒後に戸を開けた。
そこには、頭を下げた西島権蔵とお腹のおおきなマユタナさんが、頭を下げていた。
「こちらの女性に、パスポートをいただけませんか。よろしくお願いします」
「成る程。初めまして、権蔵・西島さん。良いお孫さんをお持ちですね」
「「よろしくお願いします」」
お祖父ちゃんとマユタナさんが、アルクサンダーもう一度頭を下げた。
「これは、簡単ではありませんね。ここは、何の施設なのですか」
「老人ホームとして、使われていますが。お客さんは減りつつあります」
「へぇ〜。面白い事を考えますね。私の知り合いを、5人程、幽閉したいのですが。可能ですか」
「問題ありません。パスポートの為でしたら、住居料はタダにしても宜しいですよ」
「この施設の良さを知りたい。このまま、一晩滞在しても宜しいかな」
「こちらは構いませんが。お時間は宜しいのですか」
「問題ない。問題が有れば、電話が掛かってくる」
「スマホを見てもらえますか」
「何だ、何の冗談だ」
「ここでは、スマホは無意味です。ですので、お時間を気にして下さい。地球とは、昼夜逆転しておりますので」
お祖父ちゃんとマユタナさんが、僕らの背中を通り抜けて、家へと帰って行った。
「どの子を呼びますか。さそれとも、もう一度、道を歩きますか」
「それはいらん。スーリピをここへ呼べ」
「もう一度、お答えを聞かせてもらえますか」
「スーリピだ。早くしろ」
「スーリピは、ここへ呼びますと。他の子を返しても宜しいですか。他の子が、スーリピと衝突してしまいます」
「かまわん、スーリピをここへ呼べ」
獣人たちは、蜘蛛の子を散らすように消えて。僕は、スーリピをニュータウンへ入れて。この家から出ないように伝えた。
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