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異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
20/42

3Weeksエルフの旅(前)

アルクサンダーを、異世界に招いた。

ニュータウンの住人は、人数を減らしていると伝えると。客を紹介したいと言ってきた。



 スーリピが、地球に住み始めて、アルクサンダーからのメールが大量に届く。


 スーリピには、『無視して良い』とは言っているが、大量に投げ銭もしているので、対応に困っているのが、現状だった。


 そこで、アルクサンダーを、パチンコ屋に呼び出した。


 リトアニアの大使は暇なのか、こちらの指定を全て飲んで対応した。

 時間に場所、服装に至るまで、こちらの指示どうりに揃えて、指定した番号の台で、パチンコを打ってもらった。


 僕は、西島権蔵の代理人として、アルクサンダーと対峙した。



 「アルクサンダーさんに、お願いしたい事は、『一人の女性の戸籍を作って頂きたい』と、お思っています」


 「その方は、パスポートを作る事は可能ですが、その女性は、テロリストですか」


 「テロリストでは無いです。不法移民の類で。戸籍が無く困っています」


 「こちらからの条件は、知っていますよね」


 「分かっています。ヒツジのスーリピに、会わせて欲しい」


 「分かりました、少し場所を変えましょう」


 僕は、アルクサンダーと共に、駐車場に用意したエルグランドへ向かい。後部座席に、アルクサンダーを押し込んで、鍵をかけた。


 エルグランドの後部座席は、厚手の弾幕が張られて、外の光が入ってこなかった。


 アルクサンダーは、手探りで椅子に座り。短パンのポケットからスマホを取り出して、スマホの灯りを頼りに、エルグランドの中を確認している。


 エンジンは、最初から掛かっていた。

 クーラーが全開に効いた後部座席で、徐々に落ち着きを取り戻したのか、スマホの画面でゲームを始めた。


 後部座席のテレビが突然光り。動画が流れ始めた。


 スーリピからの、専用動画だ。


 「初めまして、アルクサンダー様。私は、知っていますよね。スーリピです。どうしても、私と会いたのですか」


 スーリピは、一糸まとわぬ裸で、動画を撮っていた。


 「私の事が好きなら、ご存分に鑑賞して下さい」


 一番うしろの席が揺れて、スーリピが動き出した。


 「よいしょ」

 「フ〜」


 「見えていないので、時間かけますね」


 アルクサンダーは、近寄るスーリピに対して、スマホのライトを当てて、リアルな獣人を眺めていた。

 スーリピの方は、スマホの光が眩しすぎるので、下の方ばかりを見ていた。


 「凄いな。獣人は、存在するのだな」


 「はい。私は生きていますよ。手を、出してもらえますか」


 アルクサンダーは、スマホのライトでスーリピの秘部を照らし続けながら、右手を伸ばした。


 「有難うございます。アルクサンダーさんの肌は、皆さんと違って、白いのですね」


 アルクサンダーの手が、ライトに当たる距離に来た。


 「そうだね。僕は、イエローではないね」


 「スーリピさんは、綺麗好きなのかな。ヒツジって、もっと、こう、毛が汚れているイメージじゃないですか」


 「地球に来てからは、毎日お風呂に入っていますし、無駄毛は処理するように、言われてましたから」


 「キャ」


 座っているアルクサンダーが、スーリピを強引に引っ張り。膝の上に落とした。


 「重たいですよ」


 スーリピは、膝の上から移動を試みたが、アルクサンダーが、強引に抱きしめてきた。


 「事故だ。許せ」


 動いてもいない車内で、強引にスーリピの体を触り。スーリピが実在する事を、確認させた。


 我慢ができなかったのか。ポロシャツを脱ぎ、短パンのベルトを外そうとした時に、後部座席のドアからノックする音が聞こえた。


 「お時間です。アルクサンダー様」


 スーリピが、足を伸ばして車体を蹴った。

 これが合図となり、後部座席のドアが外から開いた。


 そこは、異世界ニュータウンの前だった。

 エルグランドは、パチンコ屋の駐車場から、異世界へ跳んでいた。


 異世界の出口は、ニュータウンの入り口に直結していた為、動かなくても、ニュータウンには直ぐに来れる。


 ニュータウンの大通りには、女性の獣人がズラリと並び、アルクサンダーを誘惑しようとしていた。


 「ここは何処だ」


 目が慣れてきたアルクサンダーは、恥ずかしくなり、スーリピを膝の上から下ろした。


 「異世界でございます」


 スーリピが、カーテンを捲り。人口が密集した都会から、のどかな田舎に移動したことを知った。


 アルクサンダーは、ピンクのポロシャツを着て、エルグランド辛い世界へ降り立った。


 そのまま、2歩進み。スーリピをエルグランドに残したまま。後部座席のドアが閉まった。


 「どうかしたのか」


 「何でもありません。スーリピは、ニュータウンへの出入りを禁止されておりますので。ここでお別れです。ささ、ご案内いたします」


 直孝は、新たに建てられた新築の家に、アルクサンダーを案内した。

 左右から、獣人の誘惑は続き。裸になる者たちに、胸だけを見せる者、その場で自分の尻をムチで叩く者もいた。


 「気に入った子が居られましたら、手を付けて宜しいですよ」


 アルクサンダーは、じっくりと獣人を観察していた。


 そして、新築の家の前に来て、門を潜ると、更に粒ぞろいの獣人たちが出迎えた。


 道幅は狭まり、裸の獣人が手を伸ばして、アルクサンダーを触ってくる。


 アルクサンダーは、誰も触らずに、新築の玄関前まで来た。


 僕は、チャイムを鳴らし。5秒後に戸を開けた。


 そこには、頭を下げた西島権蔵とお腹のおおきなマユタナさんが、頭を下げていた。


 「こちらの女性に、パスポートをいただけませんか。よろしくお願いします」


 「成る程。初めまして、権蔵・西島さん。良いお孫さんをお持ちですね」


 「「よろしくお願いします」」

 お祖父ちゃんとマユタナさんが、アルクサンダーもう一度頭を下げた。


 「これは、簡単ではありませんね。ここは、何の施設なのですか」


 「老人ホームとして、使われていますが。お客さんは減りつつあります」


 「へぇ〜。面白い事を考えますね。私の知り合いを、5人程、幽閉したいのですが。可能ですか」


 「問題ありません。パスポートの為でしたら、住居料はタダにしても宜しいですよ」


 「この施設の良さを知りたい。このまま、一晩滞在しても宜しいかな」


 「こちらは構いませんが。お時間は宜しいのですか」


 「問題ない。問題が有れば、電話が掛かってくる」


 「スマホを見てもらえますか」


 「何だ、何の冗談だ」


 「ここでは、スマホは無意味です。ですので、お時間を気にして下さい。地球とは、昼夜逆転しておりますので」


 お祖父ちゃんとマユタナさんが、僕らの背中を通り抜けて、家へと帰って行った。


 「どの子を呼びますか。さそれとも、もう一度、道を歩きますか」

 

 「それはいらん。スーリピをここへ呼べ」


 「もう一度、お答えを聞かせてもらえますか」


 「スーリピだ。早くしろ」


 「スーリピは、ここへ呼びますと。他の子を返しても宜しいですか。他の子が、スーリピと衝突してしまいます」


 「かまわん、スーリピをここへ呼べ」


 獣人たちは、蜘蛛の子を散らすように消えて。僕は、スーリピをニュータウンへ入れて。この家から出ないように伝えた。

読んでいただき、有難うございます。

高評価、星とブックマークを宜しくお願い致します。

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