またまた事件です
またまた事件です。
恋仲の男女が、半年以上同じ家に住んでいたら、そうなりますよね。
与田さんも、困っているみたい。
「直孝さん。今度は、西島さんがお見えです。大事な話があるそうなのでお戻り願えますか」
グターニが、また呼び出しをした。
僕は、また仕事を中断して、映画館へと向かった。
異世界に、老害の人々を入れた時。お祖父ちゃんにはお世話塗っているから、断りづらかった。
「忙しいところ済まない。来てくれて感謝する」
「地球の方たちを、迎えた時にお世話になったから、問題ないよ」
お祖父ちゃんが、少しもどかしく感じた。
「お祖父ちゃんの用事って何なの」
「ここじゃ、少し話しづらい。外で話そう」
誰が聞いている理由でも無い。話しづらいって。
僕は、お祖父ちゃんが話し始めるのを待っていると、口火を切った様に。
「マユタナさんに、子供が出来た」
「はぁ~」
これには、孫である僕も言葉を失った。
「マユタナさんは、産みたいと言っているが、異世界では、厳しいらしい。日本で、子育てもしたいのだが、マユタナさんには、戸籍がない。どうしたら良い」
最近、右往左往して、上へしたへを繰り返している。
『若い時の苦労は』とか言うけど。
正直、最近は、少ししんどい。
どうしようかと考えていると、目の前にハルルベリーが転がっている。
「少し、頑張ってみるよ」
「すまんな、よろしく頼む」
僕は、地球へ渡り。北欧の大使館へハルルベリーを送りつけて。信用を勝ち取るために、徐々に交渉をしようと考えていた。
DVDの返却とレンタルをして、異世界へ戻ると、違う問題が、与田さんの畑で起きていた。
与田さんの畑は、見るも無残な形で、荒らされている。
「何があったのですか」
野菜が、大量に無くなり。無数の足跡が、畑の至る所に残り。八木さんや松野さんが、謝罪をしている。
「昨日の事なのだが。松野さんと八木さんが訪れて、野菜を購入してくれたのだが。その時に、発した言葉が、誤解を生んだんだよ」
2人の後ろで、12人の獣人が謝罪をしていた。
「儂らが、ちゃんと話していれば、良かったんだが。野菜を購入した後で、『好きなだけ、持って行ってくれ』これが、誤解を招いた」
『好きなだけ持ってって良いが。お金は取るよ』
与田さんのこの言葉が、誤解を生んだ。
八木さんと松野さんは、お金を払うと言っているが。マモーヌが、許してくれそうもない、らしい。
八木も松野さんも、与田さんのすっぽんを充てにしている。
「済まない。うちの筆頭もかかわっているし、二度と畑には入らせないように、躾をする。許されるのなら、気持ちを包ませて欲しい」
「私共も、松野さんと相談して、気持ちを包む用意はある。勿論、畑に入るなと言い聞かせる。この通り、許してくれ」
八木さんも、獣人が可愛いのか。畑の地面に額を付けて、謝罪をしている。
「そこまでされたら。私は、何も言い返せません。マモーヌは、私の方から機嫌を取りますので、そちらは、畑に入らぬように、指導をお願いいたしますね」
「有難う。この恩は、いずれ、また」
「謝罪を受け入れてくれて感謝する。山で大物を狩った時には、お持ちします。期待してて下さい」
これにて、与田さんの畑問題は解決したのだが。
八木さんや、松野さんの獣人だけでは無い。
フリーで、家を転々として、食事にあり付こうとする獣人も、参加をしていた。説教は任すとして。
僕の方も、謝罪を考えないといけない。
次の日、八木さん達に、お説教されたのか。
2人の獣人が、与田さんの畑を手伝っている。
アルパカのヌーベルと、犬のサレッポだ。
最初こそ、マモーヌも、戸惑っていたが。2日経つと、仲良く仕事をこなしていた。
僕は、人数が増えたので、畑をプレゼントした。
何を植えるかは、与田さんが干渉せずに、自主性を尊重したいた。
業務用の洗剤を畑に運ぶと。
四人で裸になり、体を洗っていた。
『わざと、狙ってやってますよね』
僕は、用事も済ませたので、地球へと戻り。ベスパの改造を行なっていた。
塗装もそうだが、エンジンを125ccから、お祖父ちゃんの原付の50ccへ、パワーダウンをしている。
膝や肘、当ても購入して。フルフェイスは、ベスパと同じ、白で統一した。
地球に来たので、パソコンを確認して、ハルルベリーの売れ行きを、確認したのだが。
リトアニアの大使からメールが届いていた。
『権蔵ファームの社長さんへ。
この度は、大変高価なものを頂き、有難うございます。
リアル過ぎるにも、興味がございます。
大事な話があると言っていましたが。口は硬い方なので、お気軽に、ご相談下さい。アルクサンダーより』
僕は、直ぐに相談せずに、いくつかの質問を投げかけた。
その中には、パスポートを作る事は、可能かの質問も入れた。
マユタナさんのパスポートが手に入るのなら、お祖父ちゃんとの、籍を入れてもらい。
日本で、住む事も、出産する事も可能だ。
問題は、お母さんだ。僕が、これだけショックを受けたんだから。お母さんは、何て言うのだろう。
反対は、しないと思うが。マユタナさんが、自分よりも、若い事に、文句もあるだろう。
お祖母ちゃんを、捨てたと言うのか。
僕は、マスクをして。駐車場に物干し台を立てて。ベスパのカウルが吊るして、2回目の塗装を行っている。
この為に、コンプレッサーとエアブラシを、購入して。ムラを出さないように、白いペンキを吹き掛けている。
その後に、お祖母ちゃんのお墓へ行き、線香とお花を添えて、報告をした。
僕が、家に着くと、見知らぬ外人が、家の前に居た。
「権蔵・西島さんは、居られますが」
聞いた事のない言葉だ。英語でも、フランス語でも無かった。
「今は、いません。祖父に、御用ですか」
「直孝・北条に、お願いが有って来ました。聞いて貰えますか」
「聞くだけなら」
「有難うございます。ところで、私達は、何語で話していますか」
家の中には、『無益の書』が、保管されている。
「ご要件は何ですか」
日が暮れて来たので、仮眠を取り。22∶00頃に、異世界へ跳んだ。
映画館では、グッズを数点販売して、プリンセスシリーズや、脇役たちのTシャツも、ネットで集めては、異世界で販売している。
主に、商人たちがハルル記念に、購入して行くのだが。
ぬいぐるみが出ると、争奪戦になる。
それにしても、あの外人、信用しても良いのかな。
まぁ、悪い人では、無さそうだったけど。
人間なんて、よく分からないからな。
騙されたら、報復するか。
トロクセイさん、だったかな。
読んでいただき、有難うございます。
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