与田さん
与田さんは、節約家で。堅実的だった。
アリとキリギリスの逆だ。
与田さんは、凄い人。
推薦8名プラス、追加4名が加わり、抽選会がスタートした。
最初からクジを引いて、1から12までの数字を引当ててもらう。最初に、筆頭のメイトを決める順番を決める抽選です。
メインのメイドとサブのメイド2人を、家に常駐させる事が出来る。
他の子でも、家主がOKしたら住むことが可能だけど、家の大きさと、食費が関係してくる。
老害達は、自分の表に出せないお金を、ここで浪費してもらい、老虎組がマネーロンダリングして、僕の口座へと流れる。
追加の4名は、『リアル過ぎる』から選ばれた者たちで。こちらも、一癖も、二癖も、ある人物みたいだ。
皆が、1番を取れると思い込んでいる。
各々が、好きな獣人を側に置きたいはずだ。
そんな時、与田さんが声を上げた。
「何方か、3番の札を買わないか」
「与田様、そう言う事は………」
「100万出す」
「150」「200」「230」「243」
僕は、一度止めようとしたが、進行した方が早いと思い、与田さんの提案に乗った。
「246万で、ハンマープライス」
8番が3番に変わり、与田さんが最後まで、移動した。
地球のユーチューブで頑張った、『リアル過ぎる』のメンバーは、筆頭を得ていて。その他の獣人たちも、満足している様子だ。
家は、5LDKとなっていて、家主が選んだメイドには、鍵付きの部屋が与えられ、食事も面倒見なければならない。
獣人の女性側は、殆どがWelcomeだった。
依存する女性のように、求めてくる。
逆に、僕が拒否をしていた。
最後に与田さんが、また、おかしな事を発した。
「あまり、食費のかからない子はいますか」
浪費しない、ケチなタイプなのか。
獣人の誰も、名乗らなかったが。
逆に、獣人から質問が飛んだ。
「お庭に、菜園を作ることは可能ですか」
小さな体に、大きな尻尾を持ったリスのマーモヌが、声を上げた。
「申し訳ございません。手入れした芝を荒らすのは止めて下さい。却下です」
僕の提案で、芝を生やしたのに。わざわざ地球から取り寄せてまで、庭に敷き詰めたのに。
「畑を借りることは可能か」
与田さんが、また暴走した。
「可能ですが。畑仕事をなさるのですか」
僕は、与太さんの資料をめくった。
数カ国の大使を歴任後、解雇。
影村会長が選んだ推薦人だ。
「こう見えても、百姓の倅だ。老後の土いじりでもしてみよう」
「与太さん、実家は農家だったのか」
「どうりで、馬が合わない訳だ」
「美味しそうなのが生えたら、購入してやる」
また、外野がざわつき。
「では、そのように、手配いたします」
リスのモーリヌが、与太さんの横へ移動して。
「本日は、誠に有難うございました。では、解散いたします」
僕は、順番道理に、1組ずつエルグランドを走らせて。
ナマケモノのグターニと、エルグランド2台で、ニュータウンへの移動を迅速にした。
ここで、筆頭に選ばれ無かった、獣人たちの行動は2つ。
車を待つ老害と同行して、売店でオネダリをするか。
先回りをして、ニュータウンのコンビニで、合流するか。
獣人たちが求めるのは様々だが。
ゴワゴワの毛を整えてくれる、洗髪用品だけは、欲しかった。
これは、男性の獣人も欲しがるやつはいる。
匂いを、嫌う者もいたが、洗うと気持ちが良かった。
アイスや冷凍食品が、直ぐに完売した。
雑誌コーナーを少なくして、冷凍食品を増やしたのだが。
獣人たちが奪い合うように、冷凍食品に群がり、またたくまに消えた。
「助けて下さい、直孝さん。レジが間に合いません」
映画館の売店は、お祖父ちゃんとマユタナさんの手を借りている。
助けを求めたのは、ラグマべだ。
僕は、運転を1人でして、ナマケモノのグターニを、コンビニに向かわせた。
グターニは、レジ打ちの研修中だ。
「グターニ、ラグマべからの要請だ。コンビニのレジを頼む」
「だけど、大丈夫ですか、旦那。聞いていた以上に、わがままな老人ですよ」
「後3人、往復するだけだ問題ない。3回往復したら、僕も、応援にはいる」
「あまり慣れてないので、急いてきてくださいね」
「ゆっくり、急ぐよ」
直孝は、二組をいっぺんに運ぼうとしたが、拒否された。
売店でも、獣人たちが甘えて。
一組なのに、何人も乗り込んできた。
「8人乗りですよ」
「硬いこと言うな、ここは異世界だ」
獣人たちは、老害に気に入られる為に、11人乗り込んだ。
冷暖房に屋根があり、地球の食事を与えてくれる。
部屋住みと、無しではすごい差が付いた。
冷蔵庫には、先に常備してあった食材がある。
本人の好物で、無くてはならないものだ。
キャビアやフォアグラは勿論、大事なワインも、冷蔵庫物は、持ち出し厳禁となっている。
取り出しを防ぐために、納豆やくさやを置き、様子を見る老害もいる。
極めつけは、シュールストレミングを、罠に使う老害もいた。
普通に、家具は付いていたが。気に入られないと、外に捨てられて。
好みの調度品が、地球から届いた。
だが、皆が、欲しがったのは、冷凍庫だ。
冷凍食品だけで、中型トラック分を、1週間で消費する。
「この、大きな冷凍庫の物は、食べても良いんですよね」
「その冷凍庫の中身は、北条くんのサービスらしい。みんなで分けて下さい」
「ヤッター、ビザに、チャーパンを取ります」
「私は、餃子と小籠包とアイス」
「迷うな〜、大きなピザを1枚貰います」
老害は、自分用と自由に使える冷凍庫に分けた。
だが、獣人たちは、女性だけで80人近くいる。
80人分の食費を、老害たちが出している。
想定外は、与田さんだけだ。
畑をしながら、ピーピングラビットと言う、臆病なウサギを飼い、繁殖に成功させて。
米を作ろうとしたら、マカすっぽんが、苗を食べに集まって、田んぼを囲うと、繁殖した。
そんな時に、与田さんに呼ばれた。
水源は、川に水車を置いて、電源も確保していた。
畑の隅に、シャワー室を設けて、畑の土を落としていた。
「直孝くん。コンビニのシャンプーが高いから。業務用を取り寄せて貰えないか」
マモーヌも、裸になり。与田さんの体を洗っている。
僕と、2人の間には、衝立が1枚有るだけだった。
僕が、目を背けると。
「なんだ、若いの」
与田さんは、ついたてを外し。マモーヌも、隠す素振りを見せなかった。
夜は、酒池肉林らしい。
「あっ、もう。また、すっぽんを殺したの」
与田さんの下半身は、現役だった。
違う。与田さんだけでは無い。
与田さんのすっぽんとエルフの回復役で、皆若返っている。
毎晩しても、元気らしい。
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