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異世界タウン take2  作者: 愛加 あかり
12/42

関東老虎組へ

直孝は、組員に連行されながら眠りについた。

老虎組は、チンケな組ではなかった。

大きな門を抜けても、門が続いていた。




 僕は、一人で後部座席に座り、くだらないやり取りを聞きながら、恐怖を忘れて眠っていた。


 高速道路から見える変わらぬ景色に、疲労が溜まった体が重なり、ウトウトと睡魔が勝り、恐怖が負けた。


 僕は、関東老虎組の本部で起こされた。


 大きなお寺や、葬儀場みたいな造りで、大きな入り口の戸には、虎が描かれていて、額に老虎と彫られている。


 そこに現れたのは、大勢のヤクザとマロウ。一人の老人と、老人の補佐役だった。


 「直孝、ごめん捕まった」


 マロウは裸足で、外出用のスウェットの上下を着用している。頭は、フルフェイスのヘルメットを被されて、バイザーが上がり本人確認が出来た。



 「大丈夫か。変な事されてないか」


 そこへ、影村会長が割って入った。


 「マロウちゃんは、ちゃんと客人扱いしているよ。今の内は…な」


 「拘束もされて無ければ、部屋も与えてもらっている。食事もアイスも出て来た、問題無い」


 「聞いての通りだ」


 南川は、マロウの側に立ち。マロウの言葉を、さえぎる。


 獣人だから、この場から逃げるのは容易いと思うが、彼女にとってここは異世界だ。

 顔や体を見せて、逃げるのは不利だ。

 せめて、夜の闇夜に隠れて逃げるチャンスが欲しいし。

 土地勘もないはずだ、右も左も分からない世界で、静岡の田舎に辿り着けないだろう。


 困った。ピンチ。


 「1つ聞きたい。お前が着てから、マロウちゃんと、会話が出来た。お前何をした」


 影村会長は、マロウを見て驚いている。


 「サッサと答えんか。オヤジが質問しているんだぞ」


 南川の声で、周りのヤクザが上着のボタンを外し、威嚇を始めた。


 「何方か、信用できる方はおられますか」


 直孝は、『無益の書』を懐から出した。


 漫画や映画でやるのを何度か見ている。

 実弾や刃物を止める為に、雑誌を懐に入れてガードするみたいな事を、実際に『無益の書』でしようとしていた。


 「これは、『無益の書』と言いまして。翻訳機です。半径約200mなら、どんな言語も翻訳できます。現にマロウと会話ができています」


 「おい。誰か、町内一周して来い」


 南川が、周りのヤクザに指示を出した。


 「はい、行ってきます」


 一番門の近くにいた男が、何も持たずに走った。

 影村会長は、南川を睨みつけ。

 南川も、額から汗を流して。もう一度指示を出した。


 『影村会長は、稼げない組員を一手に扱っている』


 「そこの北条さんが持っている、『無益の書』を丁重に抱えて、200m以上離れて戻ってこい」


 「ぁ゙、それか」

 「な、何やってんだ、あいつは」

 「わ、分かっていましたけど」


 皆、分かってました。みたいな顔をして、1人が『無益の書』を受け取り。懐に入れて走った。


 直線で200mだから、住宅街で1分ほどで、会話が途切れた。


 これで、『無益の書』の立証ができ。

 『無益の書』は、数億円の価値がある事が、立証された。

 いや、年間一億で貸し出しできるかもしれない。


 世界平和に、使うも良いが。考古学にも使える。

 ビジネスにおいても、話が合えば発展するだろうし。逆に崩れるかもしれない。


 国連、首相官邸、国同士の契約に置いては、必須のアイテムだが。


 僕は、ビール6缶で買えてしまう。

 そこが、異世界の金銭感覚がバグる所なんだよ。 


 今のように、獣人やエルフだけでなく、ツーバルさん達とも話せなくなるから、予備は持っている。


 いや、ビール欲しさに、異世界の商人が置いて行くのが現状で。

 異世界の家には、37冊の『無益の書』が、保管されている。


 「すみません。マロウをどのように扱う予定ですか」


 マロウと、会話が出来なくなり。重たい空気が流れて。

 マロウを、どうすんのか訪ねた。


 「奉る」


 求めていない答えが返ってきた。

 更に、着物の袖から腕を抜き、上半身を裸にして。影村会長は、背中の烏天狗を披露した。


 なるほどね。奉る訳ね。


 マロウほど可愛くないが、烏天狗が彫られている。



 「いや~。私の口は鳥さんじゃない。お面のように、赤くも無いし、あんなデカい鼻もない」


 今は、山伏の格好をしていないが。

 異世界では、山伏の格好をしていて、錫杖と兜巾は、自由に出し入れ出来るらしい。


 背中の黒い羽根は、出し入れ出来ずに、少し膨らんでいて、鳥のように飛ぶことも可能だが。


 『カラスの割に、方向音痴です』

 パムサが言っていたっけ。

 

 「それだけの為に、誘拐したのですか」


 僕の言葉に、疑問を持った影村会長は、部下を怒鳴りつけた。


 「何、誘拐してきたのか」


 影村会長は、杖を両手で持ち、曲げようとしている。


 「オヤジ、仕込み入ってますので危険です。預からせて下さい」


 『フン』

 南川が、影村会長から、強引に杖を奪い取った。


 「丁重に、扱えと言ったはずだが」

 南川が、オヤジの怒りを代弁した。


 「しかし、ですね~。なかなか家から出てこないんですよ」


 「出てくる時は、置き配の荷物を家に入れる時だけで。ゴミ出しもしませんでした」


 「最初は、丁寧にチャイムを鳴らしたのですが。出て来ないもので、つい…」


 2人で、張り込みをしていた奴らが、言い訳を始めた。


「つい、何だ。何をした」


 影村会長は、倒れて。

 南川は、仕込みを抜き放った。


 二人組の背の高い方が、スタンガンを高々と上げて。

 身長の低い小太りは、土下座をした。


 「違います。あっし等は、『マロウを引っ張って来い』って、言われただけです。本当です、頭」

 土下座している奴が、言い訳をした。


 「誰に、言われた」


 伝言ゲームのように、数人が指を差され。最後に南川が指された。


 「お前ら、簡単な伝言ゲームも、できねぇ〜のか」


 40人の兵隊が一斉に土下座をした。


 「誰に対して、頭を下げているんだ。マロウ嬢に対して、深く謝罪して。エンコ詰めろ」


 皆、小指を失っていて。中には、薬指が無いものもいる。


 「それは、辞めてください。指を貰っても、約にはたちません。僕やマロウが、逆恨みされても困りますから。勘弁してください。お願いします」


 マロウは、何かの儀式が始まると思って、興味を示していた。


 「お互いに、誤解が有ったのかもしれませんが、不問と言う訳には行きませんか」


 「宜しいんですか。この馬鹿たちを、許して下さるのですか」

 南川が、即聞き返した。


 「おう。お前ら、北条さんに感謝を伝えろ」

 南川さんは、許して貰えるのを、見越しての発言だった。


 そこから、『リアル過ぎる』は、復活して。

 お祖父ちゃんの家に、24時間駐在の用心棒が居座った。


 影村会長と南川さんは、異世界に別荘を構えて。

 月1で、獣人たちとハーレムパーティをして、異世界にお金を落としている。

読んでいただき有難うございます。

あらすじが変わらないように努めます。

星とブックマークを、よろしくお願いします。

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