5 明日はなくとも②
門は、沈黙した。
あっけにとられて動けない一同の中で、アナスタシアがミコに抱かれたまま「なんてムチャなことを……!」とうめく。
交渉の魔法がとぎれ、門の青い光が消えた。破壊神は門から離れると、あたりに散らばる大小の骨を無造作に蹴りよけ、なにかを探しはじめる。笑った。
「ムチャだと思うか? こいつらをよく見ろ。命を抜かれて死んだ骨ばかりじゃねえ。まあ、仲間割れって可能性もないとは言えんが」
「!」
言われて初めて、メイたちもそれに気づいた。
散乱する白骨死体の中に、甲冑もろともたたき割られたらしい頭骨や、古い血痕をとどめた風化寸前の衣服が混じっている。つまり──
ここで戦いがあったのだ。
だが、その観察がなにを意味するのか今ひとつ理解しきれない一同をよそに、破壊神は、恐竜を思わせる巨大な獣骨の下の、数百キロはありそうなバカでかい鉄の斧を蹴った。
びくともしない。
使いようがないと判断したのかあっさりきびすを返し、そのままぶらっと広間を一周、そのへんに転がる剣や槍をちょっと手に取っては捨てていく。
足を止めた。
骨の山の中から、自分の背丈ほどもある錆びた大剣を持ちあげる。
まだ骨になりきっていない、明らかに人間ではない異形の死体が、無念の形相も凄まじく柄を握りしめてぶらさがっていた。
しかし破壊神は気に入ったらしい。
埃でも払うように無関心に死体をたたき落とすと、さっきの斧ほどではないがやはりかなり重いらしい大剣を、がらがらとひきずって門の方へ向き直った。そのとたん、
「!!」
破壊神が武器を選ぶのを待っていたかのように、青銅の門がふたたび青い光に包まれた。
門扉が水面のように波打ち、その一部がアメーバのように分離する。
ガシャン、と床を踏んで門から歩み出たのは、身長二メートルを優に超える、鋼の鎧に全身を固めた騎士たちだった。
剣をたずさえた二体に続いて、長い槍を構えた二体があらわれた。さらにその後ろに、仲間たちの倍近く幅のある鎧騎士が、トラックもまっぷたつにできそうな、信じがたいサイズの大戦斧を手にあらわれる。しかもそれで終わりではなく、最後にぬうっと門を抜けてあらわれたのは、二階建ての建物とほぼ同じサイズの、岩でできた巨人だった。
どう見ても、一行を全滅させてあまりある顔ぶれだ。
門のアーチを飾る青銅の運命の三女神が、青い闇をたたえた目を開いた。
金属製とは思えないほどやわらかい動きで破壊神を見おろし、透明な声をそろえる。
「では、あなたがひとりでこの者たちすべてを倒すことができたなら、門を開きましょう。それでよろしいですか?」
色を失うメイたちをよそに、破壊神はおもしろくもなさそうに騎士たちを見やった。
「なるほど。今の俺の力じゃ、これぐらいのやつら相手で五分ってことか」
「ご……五分!? そんなことあるわけないじゃないですか!」
ミコが叫んだ。うるさそうにふり返る破壊神と、腕の中のアナスタシアを交互に見ながら、猫娘は必死で訴える。
「い、いつもならともかく今は……今のスサノオ様よりは、あたいの方がまだ戦力になるはずだよっ! 代わるっ、交替しますから、ねえ、吸血鬼のお姫さん、あたいを解放して……」
「ふうん。おい猫、こいつらにひとりで勝つ自信があるんなら代わってやってもいいぞ」
破壊神にからかうように言われ、ミコはぐっと詰まった。
人ひとりの体重を片手であしらい、爪で岩を裂く化け猫といえど、完全武装の鎧騎士たちにひとりで勝てる気はしなかったようだ。
「じ、じゃあ加勢しますっ、そぉすれば……」
苦しまぎれに口走るミコの口に、アナスタシアがすっと人さし指を当てた。
「おやめなさい。門と取り引きに立てるのは一度にひとりだけ、と運命の女神から聞いたでしょう? それに……確かにヘカテー様の作られた運命の女神はかぎりなく公正。命を差し出す代わりの試練であれば、恐らくこれで、きわめて厳密に……五分のはずですわ」
無条件に命を差し出す取り引きにくらべ、戦いであればわずかに相討ちをまぬがれる可能性が残る──はず、という破壊神の、冷徹とも無謀ともつかない判断に全員が言葉を失う。
「やめるんだな?」
念を押され仕方なくうなずくミコに、破壊神はにやっと底抜けの悪童の笑みを浮かべた。
「よし、じゃあ間違っても、途中でちょっかい出すんじゃねえぞ! あとからあのこうるせえ門番どもに難癖つけられるのはまっぴらだからな」
と釘を刺しておいて、根っからの戦神は喜々として門へ視線を戻す。
三女神が口を開くのも待たず、
「その取り引き、受けてやる」
言ったとたん、剣と槍を持った四体の鎧騎士が、同時に動いた。
と思った時には、二メートルを超える大きさには釣り合わない、ありえない速さで一気に距離をつめた二体が、破壊神の頭上に剣をふりおろしている。
「!!」
誰の目にも、よける間もなく斬られた、と見えた。
だが鎧騎士の剣がどっと床を割り、破片が舞い上がる横で、破壊神は最小限の動きで刃をかわしてのけている。同時に、
(えっ……!?)
破壊神が手にした、どう見ても重すぎる剣が、片腕だけの力でまるで魔法のように、ふっと持ち上がった。
あっと驚く間もなく大剣は美しい弧を描き、近い位置にいた鎧騎士の両腕を一撃する。
破壊神の選んだ剣は、遠目にもわかるほど錆びていた。
なにかを打ち壊すことはできても、斬ることなどできるはずがない。
にもかかわらず、鎧騎士の鋼の腕は鮮やかに斬り飛ばされ、握った武器ごと宙を舞った。
騎士の腕を断った剣は、重さと加速のせいでそのまま地面に激突する──と思われたが、またも魔法さながら、地面すれすれでツバメかハヤブサのように軌道を変える。
しかもその刃の行く手には偶然のように、両腕を失った鎧騎士の足の一方があった。
両腕に続いて片足を斬りはらわれた鎧騎士が、バランスを失ってぐらりと傾く。
その隙を衝いて矢継ぎ早に突きかかる二本の槍を、破壊神は、かわしたとさえ見えない、地をすべるように優雅な数歩で難なくかいくぐり、あっさり包囲を抜けた。
ガシャン、と重たい音を立てて破壊された鎧騎士が倒れ、動かなくなる。
わずか数秒で数を減らした鎧騎士たちは、距離をおいて小柄な相手の隙をうかがう──。
「……ホ、ホントは力をなくしてらっしゃらない……んじゃ?」
ぼうっとつぶやくミコの腕の中で、アナスタシアが衝撃に震えながら首をふる。
「あなた、尊の神気を感じまして? わたくしは……感じないわ! 信じられない……人の力だけでなんという……これが……これが鉄の名を持つ神……!」
人の歴史を上回るほど永い時を、純粋に戦いのみに費やしてきた神の戦闘技能は、不死族の貴族の予想をも、はるかに超えていたらしい。だがその時、
「!」
鎧騎士たちが、ふたたび攻勢に転じた。
メイは、目にもとまらぬ速さで閃く騎士たちの攻撃に、思わず身を縮める。
しかし。
どう見ても鎧騎士たちの方が速いのに、破壊神には当たらなかった。
あまりに冷静に、しかもたいていは歩くようなゆるい動作で平然と無数の攻撃をやりすごしてしまうため、まるで鎧騎士たちが故意に、的をはずしているかのようにさえ見えてくる。
一方、破壊神が剣をふるう回数はごく少なく、最小限にしぼられていたが、
(あっ……!!)
二体めの鎧騎士の首をはねたとたん、破壊神の手にした錆びた剣が、折れ飛んだ。
場の全員が、この最悪の事態に息をのむ。
が、次の瞬間メイは、破壊神がすでに次の武器を手にしているのを見てあぜんとした。
魔法か、手品のようだった。
いや、あえて言うならタネがあるのだから手品か。
折れた剣を驚きもせず手放すと同時に、小柄な戦神は、背後の足もとに転がっていた槍を、ふり返って見もせずに足で蹴り上げ、つかまえたのである。
破壊神は明らかに、たった一度、なにげなさそうにぐるっとまわっただけの広間の、数知れない半端な武器のありかを、すみずみまで覚えているらしかった。しかも、恐らくどの武器が、何度ふるえば壊れるかも、とうに計算ずみだったようだ。
あっけにとられているうちに、破壊神の手から放たれた朽ちかけの槍が、斬りかかろうとした鎧騎士のつま先を貫いて足止めした。続いてひろわれた華奢な剣は鎧騎士の槍を両断して砕け散る。次の一瞬、斬り飛ばされた敵の槍の穂先が、みずから望んだかのように破壊神の手に飛びこんできた。破壊神はすかさずそれを、三体めの鎧騎士の頭部にたたきこむ。
その間に、四体めの鎧騎士は、つま先を刺し止めた槍を抜き終えたが、身を起こそうとするより早く仲間の落とした剣で頭を打ち落とされ、動きを止めた。
ここまででせいぜい十秒──人間業ではない。
あまりのみごとさにメイは一瞬、心配することをやめかけたが、そこへ、
「!」
五体めの、仲間の倍の幅を持つひときわ大きい鎧騎士が、もはや反則としか思えない、仲間たちをも上回る非現実的なスピードで飛びだしてきた。
ふりまわされる大戦斧はもちろん、突進する本体に触れただけでひとたまりもない。
破壊神は即座に重荷になる剣を捨て、初めて大きく、相手の進路を避けて跳びすさった。
しかし初撃をかわしきるとすかさず相手のふところに踏みこんで大戦斧の間合いを殺し、風に舞う木の葉のようにつかず離れず、自分より速い敵の攻撃の機会を巧みに奪い続ける。
とはいえ、さしもの破壊神も、かわしながら新たに武器をひろう余裕まではないようだ。
このままでは追いつめられるのも時間の問題──と思われた時、破壊神の、はためには隙ともわからない一瞬の隙を衝いて、巨体の鎧騎士がふたたび大戦斧をふるった。
斜め上から、無造作に斬りおろす一撃。
恐ろしい速さでふりおろされた大戦斧の刃は、メイには落雷の閃光のように見えた。
が、破壊神はまたも必要なだけの移動をなしとげ、刃の下にはいない。
大戦斧は獲物の代わりに床に転がっていた巨獣の骨をたたき割り、石床をえぐって、爆発的に破片を巻きあげた。
瞬間、奇妙なことが起きた。
床をななめにえぐった鎧騎士の大戦斧の衝撃に、巨獣の骨の下からなにかがたたき出されて破壊神の背後で浮いたのである。
待ち構えていたようにその太い柄を両手でつかんだ破壊神は、敵の加えた力を利用しつつ、力と技の限りを尽くしてその、数百キロはあるに違いないとほうもない鉄の斧をふるい、目の前の敵の胴を正確になぎはらう。
「……!!」
切り離された鎧騎士の上半身が、みずからの大戦斧の重さに負けてずうん、と地響きをさせてずり落ち、続いて頭を失った腰から下も、ガシャガシャン、と崩れ落ちた。
破壊神は重すぎる武器の柄から手を放し、さすがに疲れたのか、ひとつ息をつく。
計算づくで敵のすべてを利用したのだ──と理解して、メイたちは全員、ぞっと鳥肌だった。
ひとりでは持ちあげることもできない武器を使い、圧倒的不利を逆転する。そのために、自分よりはるかにすばやい相手をその場所へ誘いこみ、わざと隙を作って攻撃させたのである。
敵の大戦斧がほんの数ミリでも違う位置をたたいていたら、失敗していたはずだ。
なのに──。
老獪とか狡猾とかいう言葉を通り越し、まさしく神がかったような──実際、神なのだが──戦いぶりに、全員が畏怖に打たれて声を失う。その時、
「!」
それまで立っているだけだった岩の巨人が突然、ぼろぼろと自壊し始めた。
武器も持たずに数歩進み出ると、最初からその動きしかプログラムされていなかったかのように、高々と跳躍する。
見る間に岩の雨と化し、落ちかかってくる相手を破壊神は冷静によけようとして、
「?」
思いがけない身体の重さに戸惑った。
手足が思うように動かない。
予想外の異常事態に、さしもの戦神が一瞬対応を見失う──。
人間から見れば無限の経験を誇る戦神が、唯一、経験不足ゆえに予測も計算もできなかった異常の正体は、疲労だった。夜叉神は、たとえ五体が崩れ去る寸前であっても、手足さえついていれば最期の一瞬まで、全能力をもって戦える。
だが、人間は違う。
かすめただけでも致命的となる凶器を、紙一重で見切ってわたりあう極限の緊張だけでも急激に消耗するのだ。そのうえ、頑丈な相手に必要なだけの破壊を与えるために、小柄な身体に出せる限界の力を出し続ければ──当然、体力が尽きる。
ついにその場を一歩も動けないまま──
破壊神は降りかかる岩石と砂利の下敷きになって、メイたちの視界から消えた。
◆
もうもうと舞いあがる砂煙の中、青銅の運命の三女神が透明な声で告げた。
「すべての者が倒されたことを確認しました。門を開きます」
門番の声に従い、特大の銅鑼が震動するような、重々しい響きとともに門が開いてゆく。
メイたちはしかし門には目もくれず、はじかれたように駆け出した。
崩壊した岩の巨人の、残骸が作った岩と小石の山を前に、
「どこっ? ど、どのへんだった!?」
青くなって叫ぶミコに、アナスタシアは自分を降ろさせ、瞳の魔力から解放して答える。
「あなたの立っているところからそちらに三メートルほど……のはずですわ」
ミコはわきめもふらず、言われた場所を掘り始めた。
メイもとなりで手伝いながら、しかし、ミコが化け猫の馬鹿力で、ひと抱えもある岩を、発泡スチロールの固まりみたいに軽々と投げ捨てるたびにドキッとする。
妖怪ならともかく人間は、あの岩ひとつが直撃しただけで即死だ。
(まさか……まさか死んだりはしないわ、死なないわ、絶対、絶対、絶対)
心の中でくり返しながら必死で砂利をかきのけるがちっともはかどらず、この状況ではさすがに助かりようがない気がして、絶望の涙がこみあげてくる。そこへ、
「こ……ここだよ!」
タクトがあげた声にも、死体を見つけたのでは、という恐怖がこもっていた。
あまり動けないアナスタシアも協力し、全員で急いで岩くずを取りのぞきにかかる。間もなく岩の下から血まみれの腕を見つけたミコは、ショックのあまりぺたんとへたりこんだ。
「どうしよう、天魔王様が……死んじゃった」
ミコの言葉を否定できず、メイも目の前が暗くなりかける。が、その時、
「誰が、死んだだと?」
とりわけ大きな岩の下あたりから、不機嫌なうなり声が響いた。
驚きに跳びあがったミコが、そのちょっとした庭石ほどもある岩を、化け猫にとっても重かったらしく、うん、と力みに顔を赤くしながら必死で持ちあげわきに転がす。
「……!」
さっき胴をまっぷたつにされた、鎧騎士の上半身の部分が出てきた。
さすがにかなりへこんでいるが、つぶれてはいない。
そしてすぐ、全員の手でひっぱりだされた破壊神は、敵の鎧の下に半ば身をさしこんで、少なくとも頭をつぶされることだけは回避してのけていた。
逃げ切れないと判断するなり、とっさにもっとも手近な盾を最大限に利用して倒れたのだろう。死の瞬間まで戦うことをやめない、夜叉神ならではのしぶとい生き残り方だった。
とはいえ──その右腕は岩の直撃を受けて砕け、ほとんど原型をとどめないまでに無惨につぶれていた。そのうえ、苦痛を意に介さない夜叉神が、無頓着に立ちあがりかけてなぜかやめたところを見れば、他にもかなりのダメージがあるのは一目瞭然だ。
アナスタシアが不意に手をのばし、破壊神の砕けた腕に指先を触れた。
そのとたん、それも吸血鬼の魔力なのか、脈打ちあふれていた出血が止まる。が、
「致命傷ですわ。失血だけはわたくしの力で防げますけれど……」
吸血公女は指先についた破壊神の、かぎりなく人間に近い血の色にじっと見入ったまま宣告した。異議を唱えようとする破壊神も、息をのむメイたちも見ずに続ける。
「全身打撲、その腕を別にして少なくとも五カ所以上の骨折、複数の内臓に重い挫傷と危険な穿孔……今すぐ設備のととのった病院に運びこむのでもなければ、助かりませんわ」
「おまえの言うことはよくわからん」
無学な破壊神はめんどうくさそうに一蹴し、出血が止まっただけでもう動ける、と判断したらしい。今度こそ立ちあがろうとしてメイとミコをあわてさせたが、その時やっと、ぼろ切れのようにぶらさがったきりの右腕の様子を、確認する必要を覚えたようだ。
技師が計器を点検するようなつめたい視線をちらっと自分の腕に向け──初めてわずかに驚きの表情を浮かべた。
「ご自分の骨が砕けるところなど、ごらんになったことがない?」
吸血公女は若草色の瞳に、魔力の光を揺らめかせて薄く笑う。
「そうでしょうね、暗黒神の刃は骨の一部、その伝説的な硬さゆえに、人は新しく発見した鉄にあなたの名をつけたほどですもの……! でも、あなたの血に触れて確信しました。今のあなたは、わたくしが思っていたよりずっと人間に近い……いえ、人間そのものだわ」
がれきの山の上で身を乗り出すアナスタシアの、赤毛のアンを思わせるそばかすだらけの細面が急に、誘惑する魔物の圧倒的魅力に光り輝き出すのを見て、メイはぎょっとした。
うっかり忘れていたがアナスタシアは「気に入った人間には男女を問わず誰にでも言いよる悪癖あり」と零課の資料に特記される吸血鬼ではないか。
「助けてさしあげます」
不死族の頂点に立つ〈魔公女〉アナスタシアは、恐るべき魅了の魔力で全員の目を釘づけにしたまま、とろけるようになまめかしい動きで、破壊神ににじり寄った。
「いいえお願い、助けさせてくださいな。わたくし、最初の門で好きな能力はみな取られてしまいましたけれど、不死族本来の魔力はいくらか残っていますの。だから今の……人間のあなたになら、不死の命を分けてさしあげられます。あなたがわたくしを受け入れ、その血をくださりさえすれば……!」
清純な少女のように無垢で、魔界の淫婦のように悩ましい──純粋と邪悪のはざまで揺れ動く炎のまなざしで言い、アナスタシアは漆黒の薔薇さながらあでやかにほほ笑んだ。
「あなたならすぐ、不死族になじまれる。ともに夜を支配しましょう」
純血の吸血鬼はめったに仲間を増やさない。
これは吸血鬼の、いわば求愛であった。
アナスタシアは人になった破壊神に、本気で惚れてしまったらしい。
その気持ちは周囲にもありありと伝わり、タクトは吸血鬼のとほうもない色気にあたってくらくらし、ミコは新たな恋敵の出現にカッとなって、場をぶち壊そうとする。
だがミコが手を出すより早く、
「!?」
不意に後ろから長いおさげをぐいとひっぱられたアナスタシアは、信じがたい無礼にキッとふりむいた。プロポーズに横やりを入れられた吸血公女の瞳が、見る間に冷酷な赤光を放つ。
「……なにをしますの?」
メイだってききたかった。
自分が、ひとのおさげを綱引きの綱のように両手でしっかと握りしめ、しかも乱暴にひっぱっているだなんて、我ながら信じられない。だが。
「絶対、ダメっ! こんな時にそんなこと言うの卑怯だし……と、とにかく絶対ダメです!!」
なにがどうダメなのか、考えるより先に言葉が口をついてほとばしった。
自分でもよくわからない激情に震えるメイを、ミコは少し見直したような意外そうな目で見、タクトは複雑な顔になる。
アナスタシアは怒りに赤く輝く瞳のまま、静かに口を開いた。
「そう。では神納さん、あなたはこのまま、尊を見殺しにしてもかまいませんのね」
「そっ、そういうわけじゃ……」
だが、確かにそういうことになる、と気づいてメイはひるんだ。
思わずゆるんだ手の中から、アナスタシアの太く長いおさげがすべり落ちる。
アナスタシアの言うとおり、彼女の申し出は、たぶん唯一の活路だった。ほんとうなら、この場に他者に不死を与えられる吸血鬼が同行していた幸運に、感謝すべきところだ。
(でも……でも、だって……)
どうしても受け入れ切れないメイの葛藤が解決するのを待たず、
「まあ、俺はどっちでもかまわんがな」
当の破壊神が、ひとごとのように気のない調子で口をはさんだ。
あまりに平静な声音に驚いてふり向いた一同は、破壊神が、アナスタシアからいちばん近いところにいながら、その魔力にまったく影響を受けていないのを見て二度驚く。
「確かに悪くない話だ」
破壊神は極北の月より無慈悲な、計算高い視線でアナスタシアをひるませて続けた。
「だが吸血鬼ってやつぁ、他のやつを仲間にするには、自分の血をごっそり、命を削られるほど分けなきゃならねえそうだな。今のおまえにできるのか」
「できます! 見損なわないでくださいな、ひとりぐらいなら……」
「ならいい。だがもうひとつ問題がある。仲間にしてもらった方は、血を分けてくれた〈マスター〉に無条件に支配されちまう……てぇやつだ」
「! わ、わたくしは決してあなたを支配など……」
「おまえの考えなんざ知ったことか! いいか、俺は俺を支配できるようなやつが、この世に存在すること自体が気に入らねえんだ」
破壊神は、吸血鬼の方がまだ人間的に見えるほどつめたく、楽しげな笑みを浮かべた。
「くくっ、だからもし血の取り引きをする気なら、俺は必ず、おまえが灰になるまで吸い尽くしにいくぞ。今のおまえの状態で防げるとは思えんが、それでもいいならやってみろ」
「!」
アナスタシアが命を削ってまで助けようと申し出ているのを承知のうえで、そんなおめでたいことを言うと遠慮なく食い殺すがいいか、ときいているのであった。
その、どこまでも夜叉神らしい無慈悲な言葉に、この相手ならほんとうに、なんのためらいもなく自分を灰にしてしまうだろう、と悟って、さしもの吸血公女も力なくうなだれる。
「それみろ、よく考えもしねえでいい加減なこと言うんじゃねえぞ」
ひややかに笑う破壊神を前に、メイはしかし、奇妙な感動を覚えていた。
利用できるものはなんでも利用し、他者の生死になどこれっぽっちも関心を持たない以前の破壊神ならまず絶対に、アナスタシアに警告などしていない。彼女の申し出をこれ幸いと利用してその不死の力を奪い、とっくに吸血公女を灰にしてしまっているに違いない。
なのに警告したというのは夜叉神としては奇跡的な、いや、生きるか死ぬかの状況ではよほど良心的な人間でもめったに真似できないほどの、とほうもない思いやりに思えた。
(スサノオ……)
胸に熱いものを覚えながら、メイは、破壊神が用心深く立ちあがったものの、左足を痛めているのか歩きづらそうなのを見て、黙って杖を探しに行く。その時、
「おすわりなさい」
求愛を蹴られた吸血公女がまだうつむいたまま、誇り高い命令口調でつぶやいた。
うっとうしそうにふり返る破壊神を憎らしげににらみあげ、いらだちもあらわに叫ぶ。
「いいからおすわりなさい! 折れた足なんかでうろうろ歩かれては目障りですわ、少しは動きやすいようにしてあげます! それともそれも嫌だとでも!?」
破壊神は申し出の真意を理解しかねる顔をしたが、嫌とは言わなかった。
◆
遠くで人のすすり泣くような風音が、細く長くうなり続けている。
メイは石段の途中で立ち止まると、がくがくする膝に両手をついてかがみこんだ。
けんめいに呼吸を整える。
寝不足のうえ疲労と空腹でめまいがし、今にもへたりこんでしまいそうだ。
(……今、何時かな……もう夜明け近いんじゃ……)
スマホを見ようとして、なくなっているのに気づいた。
いつなくしたのか思い出せない。もう、探す気力もなかった。
ふたつめの門にたどりつくまでに、少なくとも三時間は歩いたと思う。
なのにふたつめの門をくぐってから今までの方が、もっと長く歩いていた。
小学校時代の遠足もふくめ、一日にこんなに長い距離を歩くのは、生まれて初めてだ。
(もっと鍛えておけば……ううん、せめて昨日ちゃんと……寝とけばよかった)
流れる汗をぬぐう元気もなく、メイはぼうっと顔をあげる。
絶望的なほど長い石段まじりの坂道が、そそり立つ岩山を巻くように上へ上へと伸び、果ては青い霧にかすんでいた。
道幅は一車線の私道ぐらいしかない。
右は岩肌むきだしの絶壁、左は気が遠くなるほど深い谷だ。
メイは背後をふり返り、声が届くかどうかの距離にいるタクトと、そのはるか下を、さすがにかなり遅れてではあるが、黙々と登ってくる破壊神の姿を確かめる。
(ごめんなさい……)
もっとわたしが、ミコさんぐらい強ければ……でなければ課長みたいに遠隔移動の能力でもあれば、とメイは思った。
そうだ、今すぐできると思ったらできたりしないだろうか、と考えるがすぐ、どちらにしても霊力はとっくに取られてしまってないのを思い出し、がっかりして肩を落とす。
アナスタシアを抱いて先を行く、ミコの後ろ姿がはるか上に見えていた。
ミコは最初、破壊神に手を貸そうとした。
アナスタシアも、自分は置き去りになってもいいと、覚悟しているようだった。
しかし、折れた足と砕けた腕をありあわせの添え木で固定してもらった破壊神は、ほんとうに動きやすくなったらしい。手当してくれた吸血公女に礼も言わず、さっさと歩き始めてしまい、あわてるミコを「おまえは吸血娘を運んでろ」とにべもなく追い払った。
夜叉神に二言はない。
猫娘は、それならアナスタシアを先に運び、外へ追い出したら戻って来て破壊神を手伝う、と断言、血相を変えて先に駆け出したのだったが──。
猫は、瞬発力はあるが持久力はない。
果てしない階段まじりの登り坂に、たちまちへばってしまった。
とはいえ、体力のないメイに追いつかれそうになってプライドが傷ついたのだろう。負けん気を見せてまた登り始めたが、もう人間離れした馬力は出ていない。
先に門についたとしても、戻る余力はなさそうだ。
「…………」
胸騒ぎがした。
どう考えても、道が長すぎる。
メイが「外へ」と願ったつもりでうまくいかなかった道も、果てしなく長かったが……。
なんだかむしょうに不安になってきて、メイは下をふり返り、破壊神が無事ついてきているかどうか確かめようとする。が、さっき目が合った時、心底うるさそうな顔をされたのを思い出し、かろうじて思いとどまった。
(大丈夫、絶対、大丈夫、きっと……)
根拠のない希望にすがって気合いを入れ直し、靴ずれで痛む足をひきずってまた登り出す。
「…………」
タクトは、メイのおぼつかない後ろ姿を複雑なまなざしで見あげた。
一緒に歩いてはげましてあげたい、と思う。
ところがメイときたら、五分に一度はふり向き、破壊神の居場所を確かめるのだ。
いたたまれなくて、とてもそばになど行けない。
もっともタクト自身も、メイと同じぐらい破壊神の様子を気にかけてはいた。
成り行きとはいえ代わりに門と取り引きしてもらい、その結果、大怪我をさせてしまったのだ。なんでもいいから早く、少しでも借りを返してすっきりしたかった。
幸い、部活で熱心に走りこんでいるおかげでまださほど疲れていない。
破壊神を助けるぐらいの余力はあると思う。
だが──
吸血公女アナスタシアの熱烈な、魔性の求愛。誰も割りこめないと思われたあの場に、らしくもなく猛然と割りこんだメイを思い出すと、どうしても素直に助けに行けなかった。
神納さんはあんな化け物のどこがいいんだ!?
という思いにいらだって、タクトは石段を登りながら、無意識に肩を怒らせた。
破壊神は確かに強い。
悪夢のように強い。
タクトとそう変わらない小柄な五体が鋼のようにしない、とほうもない凶器が分厚い風鳴りを起こした瞬間を思い出すだけで、鳥肌が立つ。
正直、怖かった。
あれは一生を費やしても、人間が到達できるレベルではないと思う。
思わずくちびるを噛んだ──その時。
「……!」
でも、今なら勝てるぞ、という恐ろしい考えが、ふっとひらめいた。
今なら。
先に行ったメイや猫娘、吸血鬼の少女との間にかなり距離がある今ならば、きっと誰にも気づかれず、弱った破壊神を崖から突き落とし、亡き者にしてしまえる──。
「ま、待てっ、待てよオレ! いったいなに考えてんだっ」
自分はどちらかといえばいいヤツだと、ひとにも言われ、自分でも思ってきたタクトは、動転して頭をふり、恐ろしい考えを打ち消した。
実行したわけでもないのに人殺しになったような気がして青くなり……次の瞬間、タクトは、自分はメイのことが本気で好きなのかも、と気づいてハッとする。
タクトはわりと惚れっぽい。
そしてけっこう誰にでも好かれる。
だが「なんでも話せるお友だち」以上の関係になれたことはなかった。
小学校以来、「セーター編むんだけど、この色とこの色どっちが好き?」ときかれ、もしかしてくれるのかなと内心ドキドキしていると、半月ほどして「ありがとう、おかげで××君にも好評だった、さすが委員長!」などと明るく感謝されるなんてことはざらだった。
中学に入ってひそかに憧れてた子が「ふられたの」と相談を持ちかけて来た時は内心「やった、チャンスだ!」と思ったのに、なにか言ってしまうと目の前の信頼関係をぶち壊しにしてしまいそうで怖くて──結局、なにも言い出せないうちに彼女は立ち直り、別のやつとつきあうようになった。あとあとまで「あの時はありがとう」と感謝されたがそれだけだ。
中三の時には得意科目のノートを写させてあげたのがきっかけで、勉強を教え合う関係になった子を好きになった。それぞれ志望校に受かって迎えた卒業式当日、思いきって告白しようとしたが、またもや怖くてなにも言えず、彼女は「高校行ってもがんばろうね! 半年間、ありがと」と明るく笑って去って行った。以来、一度も会っていない。
結局いつも、誰にでも好かれる親切ないいやつ、というスタンスを崩せなかった。
それでいいとも思ってきた。
人生、自分も他人も笑って過ごせるのが一番だ。
そのためなら誰にでも親切にできるし、芸だっていくらでも工夫できる、と。
だが、今ではそれは、ただ逃げていただけだったように感じられた。
今度もまた笑って、物わかりのいい、親切な人のふりをして、メイへの気持ちをなかったことにしてしまうのは嫌だ──。
メイが学校で、目の前で泣いたからかもしれない。
女の子の涙をあんな近くで見たのは初めてだった。
どきっとした。
今まで出会った誰に対してよりも強く、助けてあげたいと思った。助けなくちゃと思った。いや──助けたい、と思った。
今度こそは逃げたくない。
でもかんじんのメイはなぜか、あの化け物が好きなのだ。
「…………」
メイを助けたい気持ち、破壊神に借りを返してすっきりしたい気持ち、でなければかなわなくてもケンカでも売りたい気持ち──いろんな気持ちが頭の中でぐるぐるまわってどうしようもなくなり、タクトはふたたびメイの後ろ姿を見あげたあと、破壊神の方をふり返る。
「?」
確かに少しずつ遅れてはいたが、メイなどよりよほどしっかりした足取りでついて来ていた破壊神の姿が消えていた。
今までのペースなら少なくともあのせり出した岩の陰までは来ているはず、と見当をつけて少し待ってみるが、一向にあらわれる気配がない。
「…………」
急に心配になって、タクトは崖沿いの石段を、急いで駆け戻った。
張り出した岩沿いの、急カーブを回りこむとすぐ、破壊神がこちらに背を向け、階段に腰をおろしているのが目に入る。
「ど……どうしたんだよ、しっかりしろよ……!」
思わず言いながら駆け寄って、タクトは息をのんだ。
折れている方の足を投げ出し、ぐったり頭を垂れてすわりこんでいる少年が、ほんとうに精も根も尽き果ててしまっているのがはっきりわかった。不規則で荒い、重症の肺炎患者のような喘鳴がきれぎれに続いていたが、意識があるのかどうかさえわからない。
この人は死ぬ、という実感にタクトはぼうぜんとなった。
そうだ。
これは人だ。
吸血鬼の少女がはっきりと言ったではないか。
今は人間だと。人は簡単に死ぬ。なのに自分は──。
罪悪感と悲しみと怒りでタクトはほとんどパニックを起こし、メイに異常を知らせるべく声を張りあげようとする。そのとたん、
「わめくな、バカ」
声は弱いがぞっとするほど冷静なひとことに、タクトはあぜんとふり向いた。
消耗しきった人間の顔の中で、光の亀裂めいて目が開き、たちまちあらわになった夜叉神の、無限の闘志に燃える恐ろしい瞳が、ひややかにタクトを見る。
「それよりとっとと女どもに追いついて、先に外へ出ろと言え。俺はあとから勝手に行く」
「なっ……なに言ってんだよ! 勝手に行くって……あんたもう歩けないんじゃ……」
「だから休んでるんだ、文句あるか。そら、失せろ」
死の瞬間まであきらめることを知らない、刃より苛烈な瞳と言葉にタクトはひるんだ。
しかしこの、人間離れした闘志をもってしても動けなくなってしまったからには、独力で道を登りきれる可能性はもうないと言っていい。
そんなことは、本人が一番わかっているはずだ。
なのに助けはいらないと言う。
死ぬと決まった者になどかまうなとでも言わんばかりだ。
その自他の命を区別しない非情さに、タクトはカッと頭に血がのぼるのを覚えた。
「あんたってヤツは……ホントに人間じゃねーんだなっ!」
言うなり破壊神の砕けていない方の手をつかみ、強引に肩を貸して立ちあがらせる。
破壊神はふりはらおうとした。
が、タクトは破壊神に虫を追うほどの力さえろくに残っていないのを痛切に感じてますます腹を立て、がむしゃらに相手をひきずって歩きだす。
「バカ、放せ」
当惑といらだちの入りまじった破壊神の抗議に、タクトは憤りを爆発させた。
「あのなあっ! ひとりじゃどーにもなんねー時でも協力できんのが人間なんだよ! 先に行けって言われて、はいそーですかってあんたを捨ててったら、オレめちゃくちゃ後味悪いし、それに……それに神納さんが泣くじゃねーか! そこんとこちゃんと考えたのかよっ!?」
「それがどうした」
なにが悪いのかまったく理解できないらしい口ぶりに、タクトはまたカッとなったが、
「泣こうがわめこうが……生き残りゃあそれでいいじゃねえか」
というつぶやきを聞いたとたん、その、奇妙な情の深さにたじろいだ。
確かにメイは、だましてでも外へ送り出し、戻れないようにしてしまった方が……悲しみはしても、高い確率で生き残れるはずだ。
冷酷なようだが、その判断はたぶん正しい。
考えてみると吸血鬼の少女にも助かるチャンスを与えていたし、この「神さま」は実はどこかで、同行者全員を生き残らせたいと思っているのかも──。
そう、気づいてしまったとたん、タクトは、破壊神の鬼神の戦いぶりを見た時を上回る、手ひどい敗北感に打ちのめされた。
「……ちくしょう」
みずから背負いこんだ、人ひとりの重さに歯を食いしばりながら決意する。
こうなったらなにがなんでもこいつを連れて、メイたちといっしょに外へ出よう。でないと……でないとほんとうになにもかも、負けっぱなしになってしまう。それは、嫌だ。
「……あんたにだけは、絶対、負けない!」
つい口からこぼれた言葉に、瀕死の戦神は笑ったようだった。
「そいつぁ、楽しみだ」
皮肉でもなんでもなく、本気でそう思ったらしい声音に、タクトは思わず武者震いした。
なんだかやけに勇気と自信がわいてきて、一心に階段を登り始める。
一方、
(あ……!)
またふり返ったメイは、タクトが破壊神を助けてくれているのを見て涙ぐんだ。
(タクトさん、ありがとう! 良かった……これできっと、きっとみんなで外へ出られる)
感謝と希望に力づけられ、進む足に新たな気力がこもる。
だが、道はなおも上へと伸びていき──
さらに一時間あまりたっただろうか。
これ以上登れない、という思いが、たぶん千回めぐらいにメイの頭をかすめた時、
「!」
ずっと岩壁に沿って登っていた道が、洞窟へと入りこんでいるのが目に入った。
先に入ったはずのミコたちの姿は見えない。
出口か、それともまだ道が続いているのか。
岩壁にすがってはうように最後の一段を登りつめ、ふらふらと中へ進む。
数時間前あとにしてきた広間にくらべれば小さい、博物館のエントランスぐらいの洞窟が広がっていた。
あたりには、もはや見慣れた巨獣や人の骨が散らばっている。だが、
「……!!」
それに気づいたとたん、膝から力が抜けた。
ショックのあまり声も出ない。
へたりこんでしまったメイの視線の先、洞窟の奥には、今までとくらべると小ぶりだがまったく同じデザインの青銅の門と壁が、厳然と立ちはだかっていた。
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