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【絶賛発売中!】僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた(web版)【コミカライズ連載中!】  作者: サンボン
最終部 僕は七度目の人生で、怪物姫との幸せを手に入れた
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現れたのは

更新遅れてすいませんでした……。

「【紅蓮】」

「「「「「ギギャアアアアアアッッッ!?」」」」」


 悲鳴を上げるゴブリン達が、全員業火に包まれた。

 いくらゴブリンが悶え苦しもうとも、その炎は焼き尽くすまで消えることをやめようとしない。


 そして。


「ふふ……これで綺麗になりましたね」


 骨すらも消え去ったゴブリン達のいた場所を眺めながら、メルザはクスクスと(わら)う。

 だけど……メルザの魔力、ただでさえ規格外だったのにさらに強くなっていないだろうか……。


「そ、その、メルザ……」

「? どうなさいました?」

「あ、い、いえ……メルザの魔法がすごいということは僕が一番理解しているのですが、それでも、今まで見た中でも特にすごいというか……」

「そういえばそうですね……」


 どうやら、メルザ自身もそのことに気づいていなかったみたいだ。

 となると……これは、メルザが意図的に強めたものじゃない、ということか。


「あ……」

「メルザ、何か思い当たる節でも?」

「ひょっとしたらですが、その……わ、私がヒューと一つになったことで、ヴァンパイアとして()に進んだのかもしれません……」

「つ、()に……ですか……」


 は、恥ずかしいけど、確かにメルザの能力が上がるような出来事といえば、その……あれ(・・)しかないわけで……。


「い、いずれにしても、お母様に伺ったほうが早そうです」

「そ、そうですね」


 僕もメルザもどこか気まずくなってしまい、そういうことで先送りにすることにした。


「でしたら、早くメルザの母君のところへ向かいましょう」

「ええ」


 そして僕達は、漆黒の森の中を進む。

 馬車は森の入口に置いてきたので徒歩だけど、メルザは馬車の揺れと腰への衝撃から解放されてご機嫌な様子だ。


 とはいえ、やはり歩きづらくはあるようで、いつものように軽快に歩くというのには程遠い。


 なので。


「ヒュー?」

「そ、その……もしよければ、僕があなたをおんぶしようかと思いまして……」

「え、ええ!?」


 しゃがみこむ僕に尋ねるメルザにそう告げると、彼女は驚きの声を上げた。

 す、少なくとも腰の痛みは僕のせいでもあるので、罪滅ぼし的な……。


「も、もう! 背負っていただかなくても大丈夫です! 普通に歩けますから!」

「メ、メルザ!?」


 耳まで真っ赤にしたメルザは、僕を置いてどんどん森の奥へと進んでいく。

 僕もすぐに立ち上がり、そんな彼女を慌てて追いかけた。


 ◇


「結構来ましたね……」


 漆黒の森に入ってから約三時間。

 太陽はそろそろ西の空へ沈もうとしている中、僕はぐい、と汗をぬぐった。


「ところでメルザ、日差しは大丈夫ですか?」

「はい。森の中ということもあって、影が多いですから」


 日傘を差しながら歩くメルザにそう声をかけると、彼女はニコリ、と微笑みながら答えた。

 メルザの陶磁器のように白い肌に、太陽の光なんかで火傷を負ったりしてほしくないからね。


「それで……もう漆黒の森の中心部に当たると思うのですが……」

「お母様どころか、誰一人として、いる気配はないですね……」


 僕とメルザは目を見合わせながら、どうしたものから溜息を吐いていると。


 ――がさ。


「「っ!?」」


 草木の不自然に触れる音に、僕とメルザは身構える。


「メルザ……」

「ええ……」


 間違いなく、この(そば)誰かがいる(・・・・・)

 メルザは、早速周囲を見回して悪意(・・)を確認するけど。


「……駄目です。悪意(・・)を感じることができません」

「となると、魔物……ということでしょうか」

「分かりません……」


 かぶりを振るメルザ。

 彼女の()悪意(・・)を見抜く能力は、残念ながら魔物相手では反応しない。

 もちろん、僕もメルザも魔物程度に後れを取ったりするようなことはないけど、それでもここは漆黒の森。どんな魔物が現れるか想像つかない。


 なので。


「ヒュー?」

「メルザ、僕の背中に隠れてください」


 僕はメルザを庇うように立ち、周囲を警戒する。

 絶対に、彼女を守り抜かないと。


「ふふ……ヒュー、ありがとうございます」

「いえ。僕が、あなたにかすり傷一つつけたくないだけですから」


 嬉しそうに微笑むメルザに、僕はそう言葉を返した。

 本当はヴァンパイアであるメルザのほうが強く優れているんだけど、そこは僕も男だから、ということで……。


 そして、警戒することほんの数秒。


「「あ……」」

「あ、あの……お兄ちゃんとお姉ちゃんは、悪いニンゲン、ですか……?」


 現れたのは、額に角を生やした可愛らしい小さな女の子だった。

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