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【絶賛発売中!】僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた(web版)【コミカライズ連載中!】  作者: サンボン
最終部 僕は七度目の人生で、怪物姫との幸せを手に入れた
236/241

あなたと、一つに

「僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた」は、絶賛発売中です!


web版よりも大幅改稿し、読み応えのある内容となっております!

発売から一週間の売り上げで、「怪物姫」が続巻されるかどうかが決まります!

どうぞよろしくお願いします!


▽特設サイト▽

https://fantasiabunko.jp/special/202207seventhtime/


コミカライズも決定です!

「メルザ、戻りました……って」

「あ! ヒュー!」


 扉を開けると、パアア、と満面の笑みを浮かべたメルザが飛び込んできた。

 だけど、これって……。


「う、うう……」


 うめき声を上げる三人の男が、床に転がっている。


「ふふ、面白いでしょう? あろうことか、ヒューが留守であるのを見計らって、この私を襲おうとしたんですよ?」


 そう言うと、メルザがニタア、と口の端を吊り上げた。


「そうですか。なら、今すぐ息の根を止めるとしましょう」


 逆上した僕は、サーベルを抜いてその切っ先を男の一人へと向けた。


「ヒ、ヒイイッ!?」

「うるさい。よくも僕の世界一大切なメルザに手を出そうとしたな。死んで償え」


 そう言って、男の眉間を一突きにしようとする、んだけど……。


「ヒュー、そんなことをしてしまっては、あなたと二人きりの部屋が汚れてしまいます。それに、その大切なサーベルも」

「メルザ……」


 サーベルを持つ僕の手にその細くて白い手を添え、メルザはそれを止めた。

 ……まあ、メルザの言うとおりか。


 なので。


「なな、何を!?」

「ん? 決まっているだろう。僕とメルザの部屋に、オマエ達は邪魔なんだよ」


 男の襟首をつかんで窓へと引きずると、ヒョイ、と持ち上げてそのまま窓から落とした。

 ここが四階? 関係ないよ。


「や、やめてくれ!」

「すす、すまなかった! もう二度とこんな真似は……っ!?」


 残る男二人も必死に抵抗するが、お構いなしにそのまま窓から下へ落とした。


「これで綺麗になりました」


 手をパン、パン、と叩いて払うと、僕はメルザに微笑みかけた。


「ふふ……ヒュー、お疲れ様でした。お茶でもいかがですか?」

「あ、ありがとうございます」


 椅子に腰掛け、メルザを向かい合わせに座る。

 それに合わせて、彼女はカップにお茶を注いでくれた。


「うん、美味しい」


 お茶を口に含み、思わず顔を綻ばせる。

 まあ、メルザが淹れてくれたお茶なんだから、美味しいに決まってるんだけど。


「それでヒュー、聞き込みはいかがでしたか?」

「はい。どうやら漆黒の森というところは魔物の生息地らしく、中央には“ヴィーヴィル”と呼ばれる魔物の巣があるそうです」

「そうですか……では、気を引き締めていかないといけませんね。私の能力は、魔物には通用しませんから……」


 そう言うと、メルザが少し肩を落とした。


「あはは、何をおっしゃっているんですか。魔物ごとき、この僕でも問題ありませんし、メルザだって強力無比な魔法があるんです。それこそ、あなたが気落ちする要素なんてどこにもありません」

「あ……ふふ、もう……すぐそうやってヒューは、私の心を読んで欲しい言葉をくださるのですから……」


 僕の言葉を聞いて、メルザが口元を緩めた。


「あ、あと、これは少し残念なお知らせです」

「……何かあったのですか?」


 心配そうに僕の顔を(のぞ)き込むメルザ。

 そんな彼女の反応を見て、僕は口の端を持ち上げた。


「はい、あまりよさそうなお店がありませんでしたので、今日は部屋で食事を摂って、せめて夜は散策程度に留めましょう」

「あ……も、もう、驚かさないでください」

「あはは、すいません」


 少し頬を膨らませるメルザが可愛らしくて、僕は声を出して笑った。


 ◇


「ヒュー、楽しかったですね」


 夜の街の散策を終え、部屋へと戻ってきたメルザがニコリ、と微笑んだ。


「はい。僕はあなたと一緒なら、どんな場所だって楽しいですし、幸せです」

「も、もう……確かにあなたの言うとおり、目を見張るようなところはありませんでしたが……」


 僕がほんの少し皮肉を込めてそう言うと、メルザは口を尖らせてしまった。

 だけど、夜になれば少しは街の様子も変わるかと思ったけど、ますます閑散としてしまったからなあ……。


 なお、メルザを襲おうとして僕に窓から捨てられた三人は、かろうじて息があったらしく、この街の治療院に運び込まれたらしいと、一階で他の客が話しているのが聞こえた。

 ただ、僕とメルザの姿を見た瞬間、全員が一斉に目を伏せたりどこかへと行ってしまったりと、この宿に来た直後と正反対の反応を見せるようになったけど。


「ですが、本当にヒューは独占欲が強いですよね?」

「当たり前じゃないですか。メルザは僕だけの宝物(・・)なんです。他の男が視界に収めるだけでも、とても許せません」

「ふふ、ありがとうございます」


 僕の答えに満足したのか、メルザが蕩けるような微笑みを向けながら僕に抱きついた。


「メルザ……どうぞ」

「はい……かぷ……んく……ん……ん……」


 僕の首筋に牙を突き立て、メルザが美味しそうに喉を鳴らす。

 だけど、今日はいつもより少し長いな。


「ぷあ……だ、駄目です……あなたが愛おしすぎて、歯止めが利かなくなるところでした……」

「あ、あはは……」


 少し困った表情を浮かべたメルザに、僕は苦笑した。

 僕としてもたくさん血を飲んでほしいという思いはあるけど、干からびてしまうわけにもいかないからね……。


「ね……ヒュー……」


 真紅の瞳をとろん、とさせて、メルザが僕を見つめる。

 彼女のその潤んだ瞳に、濡れた唇に、甘い吐息に、僕は吸い込まれると。


「ん……ちゅ……ちゅぷ……ちゅ、ちゅ、ちゅる……っ」


 貪るようにメルザの唇を、舌を求め、絡め合う。

 その首筋から漂う彼女の甘い香りに、僕はもうどうしようもなくなってしまって……。


「ん……っ」


 気づけば、メルザの乳房に、腰に手を回し、その感触を味わう。


「ぷあ……は……ヒュ、ヒュー……」

「メルザ……」

「ヒュー……ヒュー……お願い、来て……っ」


 誘われるまま、求められるまま、僕は彼女の中へとゆっくりと侵入すると。


「あ……は……あああああっ!」


 ――僕とメルザは肌を重ね、一つになった。

お読みいただき、ありがとうございました!


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