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【絶賛発売中!】僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた(web版)【コミカライズ連載中!】  作者: サンボン
最終部 僕は七度目の人生で、怪物姫との幸せを手に入れた
234/241

口直しと見返り

「僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた」は、絶賛発売中です!


web版よりも大幅改稿し、読み応えのある内容となっております!

発売から一週間の売り上げで、「怪物姫」が続巻されるかどうかが決まります!

どうぞよろしくお願いします!


▽特設サイト▽

https://fantasiabunko.jp/special/202207seventhtime/


コミカライズも決定です!

 次の日、僕とメルザは大公殿下に見送られながら、ゲートを通ってセイルブリッジの街へとやって来た僕達は、早速オルレアン王国に入るための準備を進める。


 前回は冒険者を装って入国したが、今回は。


「ふふ……おかしくはないですか?」

「もちろんです! 世界中のどこを探しても、メルザほど素敵な女性の商人はおりませんとも!」


 黒を基調とした少しフォーマルな服装を来たメルザに、僕は心をときめかせてしまう。

 い、いやだって、ただでさえメルザはスタイルがいい上、タイトなロングスカートにはスリットが入っていて、その……すごくなまめかしいんだけど。


「ありがとうございます……ヒューの執事姿もすごくよくお似合いですよ?」


 頬を朱色に染めながら、僕の服装を褒めてくれるメルザ。


 そう……今回僕達は、若き女商人とその使用人という設定で、オルレアン王国に入る。

 一応、商品としての物資も用意しており、全てに荷馬車に積んで用意してある。


 なお、これらの商品はエルザのご両親がいる漆黒の森へのお土産も兼ねているんだけど、気に入ってもらえるといいな。


「では、まいりましょう」

「はい、ご主人様(・・・・)


 既に役に入った僕は、メルザをご主人様(・・・・)と呼んで恭しく一礼した。


「あう……こ、こんなヒューも、新鮮ですごくいいかも……」

「ぼ、僕もです……」


 お互い顔を真っ赤にしながら一緒に荷馬車に乗り込み、オルレアン王国の検問を通過する。


「ふむ……商人、ねえ……?」


 僕とメルザの……いや、メルザの顔をまじまじと見るオルレアン王国の兵士。

 いくら彼女が世界一綺麗で目を奪われるからって、見過ぎだろう……。


 思わず御者席に隠してあるサーベルに手を掛けようとしたところで。


「よし、通っていいぞ」

「ふふ、ありがとうございます」


 口元を羽扇で隠しながら、メルザが愛想笑いを浮かべた。

 もちろん、彼女の真紅の瞳は一切笑っていない。


 そして、検問を越えてしばらくすると。


「ヒュー、見ましたかあの男を! この私に、あのような視線を……!」

「はい、もちろんです! 次に会った時は、必ずこのサーベルで二度と僕のメルザ(・・・・・)を見れなくしてやります!」


 後ろの席からこちらの御者席に移動したメルザが憤慨し、僕もそれに同調……いや、彼女以上に怒りをあらわにする。

 あの兵士……皇国に足を踏み入れる時は覚悟しろ。


「こ、これは口直しをしませんと、とてもではありませんが耐えられそうにありません。な、なので、使用人であるヒューにその役目を与え、ます……」


 みるみるうちに顔を赤くするメルザが、何度も僕の顔を(のぞ)き込みながらそう告げる。

 つまり、メルザは僕が甘やかすことをご所望のようだ。


 もちそん、僕としても望むところなんだけど。


「かしこまりました。ではご主人様、こちらへお越しください」

「は、はい……」


 一旦馬車を停め、メルザの手を取って御者席の……僕のすぐ前へと座らせると。


「さあ、まいりましょう」

「は、はい……ふふ、これはいいですね……」


 僕の中にすっぽりと納まったメルザが、嬉しそうに口元を緩める。

 これなら、メルザと一緒にくっついていられるし、僕としても最高の気分だ。


「ヒュー……ちゅ……」


 メルザが振り返り、僕の頬に口づけをした。


「頬だけでよろしいですか? せっかくですので、喉の渇きも潤してはいかがでしょうか?」

「よ、よろしいのですか……?」

「もちろんです。幸いにも、この街道には僕達以外は誰一人として往来がありませんから」


 まるでタイミングを見計らったかのように、見渡す先には誰もいない。

 なら、メルザが僕の血を飲む姿を目撃される危険性は、一切ない。


 それに、仮に誰かがいるのであれば、悪意(・・)()を見抜けるメルザが、気づかないはずがないからね。


「では……かぷ……ふう、ん……ん、ん、ん……」


 喉を鳴らし、僕の血を飲むメルザ。

 彼女の桜色の柔らかい唇の感触に、僕も胸が高鳴る。


「ぷは……ふふ、やはりヒューの血はこの世のどのような飲み物よりも……それこそ、神の血であったとしても、これに勝るものはございません……」

「あはは、それは何よりです。では、僕もその見返りをいただいてもよろしいですか?」

「あ……もちろんで……っ、ちゅ、ちゅぷ……」


 メルザの返事を待たずに、僕は彼女の口を塞ぎ、その唇と舌をむさぼる。


「ぷあ……は……ヒュー……これでは、私……」


 真紅の瞳をとろん、とさせ、メルザが僕を見つめた。


「……さ、さすがにここまでにしましょう、か……」

「あ……は、はい……」


 暴れ出しそうな衝動を無理やり抑え、メルザにそう告げると、彼女はとても残念そうにうつむいた。


 ま、まだ旅は始まったばかりだけど、僕は耐えることができるだろうか……。

お読みいただき、ありがとうございました!


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