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【絶賛発売中!】僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた(web版)【コミカライズ連載中!】  作者: サンボン
最終部 僕は七度目の人生で、怪物姫との幸せを手に入れた
231/241

ノーフォーク家にまつわる過去

「僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた」は、いよいよ明日発売です!


web版よりも大幅改稿し、読み応えのある内容となっております!

早いところでは、既に本屋にて並んでおります!

どうぞよろしくお願いします!


▽特設サイト▽

https://fantasiabunko.jp/special/202207seventhtime/


書籍の帯には重大発表あり!

お見逃しなく!

 貴様の言うとおり、由緒正しき我がノーフォーク家には忌まわしき汚点(・・)がある。


 あろうことか、(わし)から数えて七代前にあたる当主の娘が、魔族と不貞を働いてしまいおったんじゃ。


 その後、大きくなる腹を見た当時のノーフォーク家当主が娘を問い(ただ)すと、そのように白状しおった。

 ただし、相手が魔族であることは伏せてな。


 未婚であったため、当主はどこぞの貴族の三男坊を捕まえて娘と無理やり結婚させ、その日のうちに交わらせてその三男坊の子どもとした。

 じゃが、既にそれなりに腹も出て目立っておるのじゃ……相手の三男坊が気づかないわけがない。


 自分が、不貞の事実をもみ消すための当て馬にされたのじゃと。

 当然、そんな二人の関係が上手くいくはずもなく、娘と三男坊は不仲を極めた。


 そして、二人の結婚から六か月後。


 魔族の血を引いた忌み子(・・・)が誕生したんじゃ。


 娘はこの忌み子を(こと)(ほか)可愛がったらしいが、三男坊のほうは忌み子を嫌い、視界に入る度に殴る蹴るの暴行を加えていたそうじゃ。


 とはいえ、所詮は当て馬でしかない三男坊。

 暴行の事実を知った娘は離婚してその男を追い出し、当主としても、後継者となる子どもの既成事実は作ったため、それを了承した。


 じゃが……ノーフォーク家の本当の不幸は、ここから始まったんじゃ。


 その忌み子は成長するにつれ、人間とは違う特徴を見せ始めた。

 耳が尖り、漆黒のような黒い瞳が時折金色に変わる……。


 そもそも尖った耳も黒い瞳も、当主や母親である娘をはじめ、ノーフォーク家の歴代の誰一人としてそのような特徴を持った者はおらなんだ。


 それからじゃ。

 その忌み子が、本当に人であるのかと疑いを持ち始めたのは。


 ところが忌み子は素晴らしい才能を持っており、書物を一度読めば(そら)んじ、魔法に関しても一流。

 当主は、もはや人であるかどうかなど、気にも留めなくなった。


 じゃが……最も疑いを持っておったのは、忌み子本人じゃった。

 家族の誰とも違う自分に不安を覚え、母親である娘に何度も尋ねた。


 当然、事実を答えることなどできず、娘は口をつぐんでおったそうじゃ。


 忌み子が十四歳を迎えた日の翌日、その秘密が暴かれる時がやってきた。

 なんと、あろうことかノーフォーク家の屋敷に、忌み子の父である魔族が現れたのじゃ。


 当然、魔族の襲撃と考えた当主はその男を取り囲んだ。

 魔族の男は抵抗もせず、ただ『息子を一目見たい』と告げたそうじゃ。


 その言葉を聞いた瞬間、当主が号令をかけて魔族の男を殺した。

 そしてその場にいた兵達に箝口令(かんこうれい)を敷き、絶対にこの事実が漏れないようにした。


 このことについて口を開く者がおれば、すぐに処刑した。

 そのようなこともあり、このダートプールの街では噂が流れた。


『ノーフォーク家には、呪いの忌み子がいる』


 その噂は屋敷内にも広がり、いよいよ忌み子本人も知るところとなった。

 当主も、母親も、これ以上は隠し通せぬと思い、とうとう忌み子に全てを話した。


 全てを知った忌み子は絶望し、自分の血を呪った。


 当主が死に、忌み子が正式にノーフォーク辺境伯となると、領民に重税を課し、歯向かう者は惨殺するなど、まさに暗君となり果ててしまった。

 忌み子はそれを諫める母親である娘すら手を掛け、殺してしまった。


 その後も忌み子は乱心し、屋敷で働いておった一人の女を手籠めにして自分の跡取りとなる子を産ませると、何故か剣で自分の心臓を一突きにし、死んでしまった。


 母親である娘がいつもつけていた、髪飾りをその手に握りしめながら。


 危うくノーフォーク家は取り潰しの憂き目に遭おうかという時、親族の支援を得てかろうじて持ち直すことができた。

 そして、この忌まわしき事実は永遠に抹消することとした。


 その後の歴代の当主のみ、その事実を受け継いで。


「……そして、この(わし)の代となり、初めての子どもを授かった。愛する妻の命を引き換えに」

「…………………………」

(わし)は娘を可愛がった。亡き妻の分まで、幸せにしてやろうと思った。じゃが……じゃが……っ」


 ノーフォークは、唇を噛みしめながら肩を震わせる。

 その瞳に、憎悪を宿して。


「……娘が十四歳を迎えた日の翌日。その瞳が、藍色から金色に変わりおった」

「「っ!?」」


 ノーフォークの口から放たれた言葉に、僕とメルザは息を呑んだ。

 それってつまり……僕の母上が、魔族として目覚めた……ということなのか?


(わし)は恐ろしくなった。伝えられていた忌み子と同じ特徴を見せた娘に」

「…………………………」

「それからの(わし)は娘と距離を置き、あやつが皇立学院に入学するとグレンヴィル卿と話をつけて卒業後すぐに結婚するようにした。(わし)から……ノーフォーク家から離れるように」


 そうか……そして母上はグレンヴィルと婚約し、皇帝陛下が母上に一目惚れをした、ということか……。


「後は、貴様も知ってのとおりじゃ」


 ノーフォークは、吐き捨てるようにそう言った。

お読みいただき、ありがとうございました!


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