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【絶賛発売中!】僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた(web版)【コミカライズ連載中!】  作者: サンボン
最終部 僕は七度目の人生で、怪物姫との幸せを手に入れた
229/241

異国情緒

「僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた」は、本日発売!


そして!帯にもありますとおり、コミカライズが決定しました!


web版よりも大幅改稿し、読み応えのある内容となっております!

「怪物姫」を。どうぞよろしくお願いします!


▽特設サイト▽

https://fantasiabunko.jp/special/202207seventhtime/

「うわあああ……!」


 検閲を終えてダートプールの街へと入った僕達は、その異国情緒あふれる雰囲気に思わず感嘆の声を漏らした。


 大通りに面した建物もさることながら、道を行き交う人々も、普段は見慣れないような珍しい服装をしていた。


「あ、あの人が着ている服なんか、メルザにとても似合いそうです」

「ふふ、そうでしょうか……?」


 僕が指差した女性の服装を見て、メルザが少し照れる。

 確かに少し肌の露出は多いかもしれないけど、ただでさえメルザはスタイルが抜群で肌も絹のように滑らかで綺麗なんだ。絶対に似合うに決まっている。


「今はまだ陽も高いですので、夜になったらこの大通りへ繰り出して、色々と見て回りましょう」

「はい!」


 そう提案すると、メルザが満面の笑みを浮かべながら頷いた。


 ということで。


「さて……いずれにしても、メイナード=ノーフォークに会うのは夜です。それまではゆっくりと過ごしましょう」


 街で一番大きな宿屋に入った僕とメルザは、ソファーに腰かけながら用意されたお茶を飲んだ。

 なお、今回の旅では全てメルザと相部屋にしている。

 だから、夜は必然的にメルザと同衾(どうきん)していることになる、んだけど……。


「? どうしました?」

「い、いえ! 何でもありません!」

「?」


 不思議そうに見つめるメルザに、僕は恥ずかしさのあまりつい目を逸らしてしまった。

 そ、その……信じられないかもしれないけど、僕はまだメルザに手を出して(・・・・・)はいない(・・・・)

 夜、一緒にベッドに入る時も、メルザに血を飲んでもらうか口づけを交わすのみだ。


 既に僕もメルザも成人を迎えており、しかも互いの愛と将来を誓い合った婚約者同士。婚前とはいえ、仮にそういうこと(・・・・・・)になったとしても、決しておかしくはないし何も問題はない……はず。


 ぼ、僕としても、あまりにも魅力的なメルザに、その……うん、どうしようもなく求めたくなってしまうことは多々あることは間違いない。

 メルザだって、僕のことを待ってくれているに違いない……多分。


 そんなことを考えながら、メルザを見つめていると。


「ヒュー……ちゅ」

「メ、メルザ?」


 突然キスをされ、僕は驚いてしまった。


「ふふ……あなたのそのような視線も、私にはとても好ましいですよ?」

「あ……あはは……」


 うう……(よこしま)な感情でメルザを見ていたのも、すっかり気づかれてしまっているし。

 でも、彼女もまんざらじゃない様子で、僕の胸に頬を寄せながら指でなぞっているし……。


 せ、せめて夜までは(・・・・)、その……我慢しよう。


 ◇


「ふふ! どのお店に入りましょうか!」


 太陽がすっかり隠れ、暗い夜空には満月が煌々(こうこう)と輝いている。

 僕とメルザは、()祖父のメイナード=ノーフォークの家を訪ねる前に、まずは食事を済ませることにした。


 本来なら宿で提供される料理を食べるんだけど、せっかく辺境の街に来たのだからと、メルザから提案されたのだ。

 もちろん、これはデートも兼ねて。


「ですが……うわあああ! どの店も見たことのない料理ばかりで、すごく美味しそうですよ! それに、とてもいい匂いがします!」

「はい! 私も楽しみで仕方ありません!」


 僕達はお店を一件一件(のぞ)きながら、どこがいいかと相談し合う。


 そして。


「メルザ……」

「ええ……」


 僕とメルザは互いの顔を見合わせ、頷き合う。

 うん、やっぱり僕達は、いつだって想いは同じだ。


「「このお店にして正解でした!」」


 しびれるような辛さの先に複雑な味が絡み合い、僕達の胃袋を満足させる料理の数々。

 その美味しさに、僕もメルザも酔いしれていた……といっても、お酒は飲んでいないけど。


「メルザはどの料理がお気に召しましたか?」

「ふふ! 私はこの小麦の皮で海産物を包んで蒸したものが好きです!」

「あはは! 確かにこれは舌触りも滑らかで、美味しかったです!」


 だけど……うん、こんなに美味しい料理がたくさん食べられる東方の国、かあ……。


「ねえ、メルザ」

「? どうしました?」

「全てが終わったら、いつかこの料理の発祥の地である東方の国に、二人で行ってみませんか?」


 僕は、メルザの真紅の瞳を見つめながら、そう告げた。

 もちろん、料理が美味しいからというのは当然なんだけど、何より、メルザと約束したかったんだ。


 僕達の、未来への約束を。


「はい……ヒュー、今度は東方の国で、今日食べたお料理をいただきましょう……」


 僕の言葉の意図に気づいたメルザは、蕩けるような微笑みを見せてくれた。

お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

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