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【絶賛発売中!】僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた(web版)【コミカライズ連載中!】  作者: サンボン
最終部 僕は七度目の人生で、怪物姫との幸せを手に入れた
222/241

転移の先へ

「僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた」の発売まで、あと4日!


7月20日発売ですので、どうぞよろしくお願いします!


▽特設サイト▽

https://fantasiabunko.jp/special/202207seventhtime/


書籍の帯には重大発表あり!

お見逃しなく!

「こ、これは大公殿下!」


 アイシス川の現場に到着すると、大公殿下の姿を見た兵達が一斉に敬礼した。


「大公殿下、それにモニカまで……一体どうしたというのです?」


 橋梁工事の指示を出していたパートランド卿が慌ててやって来て、大公殿下とモニカ教授を交互に見やりながら尋ねる。


「うむ、既に聞き及んでいると思うが、新たに発見された魔法陣を発動させ、試しに転移してみることしたんじゃ」

「っ!? ま、待ってください! さすがに大公殿下自ら行かせるわけにはいきません! それなら、まず兵達に安全を確認させてから……」

「そういうわけにもいかん。婿殿の見立てでは例の地下洞窟とも絡んでおるようじゃし、万が一皇国の重要機密であった場合、兵達の目に触れさせるわけにはいかんしの」

「で、ですが……」


 それでもなお、パートランド卿は渋る。

 大公軍の副官なのだから、軍のトップである大公殿下自ら危険に(さら)すような真似は許容できないのも頷ける。


「はっは! 別に私一人で行くわけではないぞ? 婿殿もメルも、モニカやアビ……アビーもおる」


 危うくアビゲイルの名前をそのまま言おうとしてしまい、大公殿下は慌てて言い直す。

 さすがに暗殺者の名前を、そのことを知らない人に(さら)すわけにはいかないからね……。


「ハア……本当にあなたという人は……」

「はっは! いつもすまんな!」


 溜息を吐いてうなだれるパートランド卿に、大公殿下は豪快に笑いながら彼の背中を叩いた。


「では早速、転移魔法陣を作動させる準備をしてくれ」

「……承知しました」


 パートランド卿は顔をしかめ、兵士に指示をして準備に取りかかる。

 その間、大公殿下とモニカ教授は装備と武器のチェックを、アビゲイルは時折口の端を吊り上げて(わら)っていた。


 僕とメルザは、そんな三人の様子を河原で並んで腰掛けながら眺めていた。


 すると。


「大公殿下、準備が整いました」


 坑道から出てきたパートランド卿が、大公殿下にそう告げた。


「うむ! では皆の者、行くぞ!」

「「「はい!」」」

「あは♪」


 僕達五人は坑道の中へと入り、魔法陣のある部屋へとやって来た。

 部屋の四方には、転移に必要な魔石が配置されている。


 もちろん、帰ってくるための魔石についても、僕が背負うリュックサックに入っている。準備は万端だ。


 ただし。


「メルザ……どうですか?」

「はい。これなら、何とか私でも起動させられそうです」


 魔法陣を再度確認し、メルザが頷いた。

 見慣れない文字や紋様を使用した魔法陣であるため不安だったけど、魔法に精通しているヴァンパイアのメルザがそう言ってくれるなら安心だ。


「皆さん、魔法陣の上に」


 僕達は魔法陣の上に立ち、メルザが作動させるのを待つ。


 そして。


「行きます!」


 その掛け声と共に魔法陣が光輝き、僕達はどこか(・・・)へと転移した。


 ◇


「う、うう……っ」


 うめき声を上げながら、僕はゆっくりと目を開ける。

 魔法陣が輝いて転移した直後、何故か強い衝撃を受けて僕は気を失ったみたいだ……って!?


「メ、メルザ!?」


 僕は慌てて身体を起こし、メルザを探すと。


「すう……すう……」


 隣でメルザが寝息を立てているのを確認し、僕は胸を撫で下ろした。

 よかった……どうやら無事みたいだ。


「他のみんなは……?」


 周囲を確認すると、大公殿下やモニカ教授、それにアビゲイルも同じように地面に倒れているが、身体が僅かに上下しているところを見る限り、問題なさそうだ。


「ん……ヒュー……」

「メルザ!」


 メルザが僕の名前を呟いたのを聞き、彼女の様子を確認するが……あはは、寝言か……。


 だけど。


「本当に……どうしてあなたはこんなにも、可愛らしくて素敵なんですか……」


 メルザの透き通るほど白く柔らかい頬に触れ、僕は口元を緩める。

 早く起こすべきなんだろうけど、愛おしくてついつい彼女を見つめ、触れていたくなる。


 僕は……。


「メルザ……僕の、たった一人の女神……」


 そう呟き、顔を寄せると……っ!?


「あ……お、起きていたんですか!?」

「も、もう……そんなに愛の言葉をささやかれては、とても眠ってはいられません……!」


 顔を真っ赤にしたメルザが、僕に思いきり抱きついた。


「で、ですが、それはあなたがあまりにも素敵だからですよ……?」

「あう……も、もう……大好き……」


 そう言って、感極まったメルザが僕の首筋へと顔を近づけ……「コ、コホン……」……っ!?


 遠慮がちな咳払いが聞こえ、僕とメルザは慌てて周囲を見回すと…………………………あ。


「……メ、メル、それに婿殿……さすがに緊張感がないのではないかの?」

「あ、あはは……」

「ふ、ふふ……」


 苦笑する大公殿下に、僕達も愛想笑いをするしかなかった……って。


「あああああ! 大公殿下、どうしていいところで邪魔をするのですか!」

「フフ……あと少しだったのに」


 勢いよく起き上がったモニカ教授が、大公殿下に猛抗議をする。

 アビゲイルも同じく身体を起こし、僕達を見てクスクスと笑っている。


 ど、どうやらこの二人、寝たふりをしていたようだ……。


「メ、メルザ……」

「ふふ、仕方ありませんね……?」


 僕とメルザは顔を見合わせながら、苦笑いを浮かべた。

お読みいただき、ありがとうございました!


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