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クリフォード殿下の依頼

「僕は七度目の人生で、怪物姫を手に入れた」の発売まで、あと9日!


7月20日発売ですので、どうぞよろしくお願いします!


▽特設サイト▽

https://fantasiabunko.jp/special/202207seventhtime/


書籍の帯には重大発表あり!

お見逃しなく!

「ヒューゴ、メルトレーザ」


 クリフォード皇子が、神妙な面持ちで声を掛けてきた。


「クリフォード殿下、どうかなさいましたか?」

「あ、ああ……すまないが、少々よいか?」

「「?」」


 僕とメルザは首を傾げながら、クリフォード皇子の後について行く。


 そして。


「ここなら問題ないだろう」


 やって来たのは、会場であるホールから少し離れた、ソファーとテーブル、それに僅かの調度品が飾られているだけの、少し殺風景な一室だった。


「まあ、掛けてくれ」

「「失礼します」」


 クリフォード皇子に促され、僕達はソファーに腰掛けた。


「実は、折り入って二人に相談があるのだが……」

「相談?」

「ああ……先の事件でアーネストが幽閉され、私が事実上の皇位継承者となったわけだが、いずれ迎える即位へ向けて実績を作る必要があってな……」


 少し困った表情で話を切り出したクリフォード皇子。

 だけど、この一言である程度は理解した。


 つまり……僕達に、彼が行う仕事を手伝ってほしいといったところか。


「それで現在、この皇都から北に四十キロほど離れた場所にある“アイシス川”の橋梁(きょうりょう)工事を行っているのだが、それについて是非ともヒューゴに現場の陣頭指揮を執ってもらいたいのだ」

「僕がですか!?」


 クリフォード皇子の言葉に、僕は驚きの声を上げる。

 もちろん、何かしら手伝わされるだろうとは思っていたけど、まさか僕が現場指揮を任されるとは思ってもみなかった。


「で、ですが、僕は橋梁工事なんて技術も経験もないですし、何より、誰かを指揮するなんてことは……」

「いや、今回の件に関しては事前に父上……皇帝陛下と大公殿下に相談したのだが、大公殿下からヒューゴを推薦されてな」

「大公殿下が僕を、ですか……?」

「ああ」


 大公殿下、一体どういうつもりで僕を推したんだろうか……。


「なるほど……お爺様は、ヒューが上に立つ(・・・・)ための経験を積ませようとお考えのようですね」

「メルザ?」


 人差し指を顎に当てて思案していたメルザが、そう呟いた。

 だけど、僕が上に立つための経験って……そういうことか。


「大公殿下は、僕を後継者として鍛えるために」

「はい、おそらくそうではないかと」


 メルザが頬を緩めながら、ゆっくりと頷く。


「そういうことでしたら、僕には断るという選択肢はありません。是非、お受けさせてください」

「そんな即答してよいのか? もちろん私としては親友であるヒューゴに引き受けてもらえるのは嬉しいが、大公殿下からはあくまでもヒューゴの自由だと言っていたが……」

「はい。大公殿下から課せられたものなら、僕は全てお受けいたします」


 だって、少しでも大公殿下に近づくことこそが、メルザを幸せにするために必要なことだから。

 何より、誰よりも尊敬する大公殿下みたいな人に、僕はなりたいから……って。


「メルザ?」

「ふふ……本当に、ヒューのその気持ちが私にはたまらなく嬉しいです……お爺様もきっと、即答したヒューの姿に喜んでおられると思います」


 そう言うと、メルザが僕の肩に頬を寄せて微笑んだ。


「そ、それで、橋梁工事の陣頭指揮の依頼については分かりましたが、メルザも一緒にというのは……?」


 メルザの微笑みに完全に心を奪われた僕だったが、話を戻すためにクリフォード皇子そう尋ねた。

 橋梁工事の陣頭指揮であれば、メルザの出番はないはずだし……。


「それなんだが……」


 するとクリフォード皇子は、少し困ったような表情を浮かべた。


「……何かあるのですか?」

「ああ……その橋梁工事の場所から、不思議な紋様が刻まれた石……と呼んでいいのか分からんが、とにかくそのような人工物が発見されたのだ」


 不思議な紋様が刻まれた石、ねえ……。


「それで、大公殿下から聞いたところによれば、メルトレーザはあの“深淵の魔女”、シェリル=サウセイルに匹敵するほど魔法に精通しているとのこと。なら、お主なら何か分かるかもしれないと思ってな」


 そうか……大公殿下は、その紋様の石がサウセイル教授、あるいは皇都の下にあった巨大な洞窟と関連性があると考えたんだな。


「分かりました……その役目、私もお引き受けいたします」

「! すまない二人共……」

「いえ、是非お任せください」

「ふふ……ですが、屋敷に帰ったらお爺様を問い詰めないといけませんね」


 メルザは、口元を手で押さえながらクスクスと(わら)った。

 あ……これは少し怒ってるな。


「では、これからよろしく頼む」

「ええ……こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」


 僕とクリフォード皇子は、笑顔で握手を交わした。

お読みいただき、ありがとうございました!


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