表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

精神の自傷

作者: むそ


「触れてはいけない物というのは 触れてしまいたくなるものね」

ジョジョに出てくる敵キャラのセリフである。

誰しもが心の奥深くに、半ば無理矢理閉じ込めた記憶があると思う。それは例えば「いじめ」であったり、「恋愛」であったりと、人それぞれ形も大きさも違うが「それ」は確かに存在するだろう。僕にも抱えきれないほど大きな、ひとつの「それ」が居る。中身が何かは墓場まで持っていく秘密だ。

普段は心の奥深くに何重にもロックをかけて見えないように沈めている「それ」。対面することが無ければ心に余計な傷を作らずに済むのだが、ある日、ある夜、突然「それ」を閉じ込めている箱のロックを外して中身を見たくなる。理由は自分にもよく分からない。案の定精神には多大なダメージが刻まれるのだが、闇に沈む最中になんとも言えない「心地良さ」が生まれることに気がつく。

「心」というものは概念に過ぎず実態は脳の働きで感情が動いている、といえばロマンが無いが、このなんとも言えない心地良さは、目を背けたい過去のトラウマを敢えて見るという心の自傷から生まれる安心感なのではないだろうか。かつて太宰治になりたいボーイ氏は言いました。「不幸って居心地がいいんだよな」と。彼のこのツイートは本質をついていて、病んでる人や沈んだ心に慣れた界隈の人間にとっては「世間一般の普通」の感覚を味わうより、慣れ親しんだ「陰鬱とした心」でいたほうがある意味幸せなのだ。心が闇に沈んでいく感覚、嫌いじゃない人も少なからずいると思う。「心」という物理的にカッターやカミソリで切れない物を傷つけて心地よい闇へと堕ちる為、人はあえてトラウマを閉じ込めた箱のロックを外すのではないのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ