嘘のような真実、真実のような嘘
その日の夕暮れ。京静は隣町の図書館に着いた。ある本を探す京静。
「見つけた。」
京静が手に取った本は『地球の歴史』という地球滅亡について書かれた本だった。
(小学生の頃、よく見てたよな。懐かしい。)
京静は本を開いた。
(あれ、小学生の頃に読んだ内容と似ていると思ったからここまで来たのに。『15の知恵の書』と内容が全然違うじゃないか。まるで改竄されたみたいな。 !? この本に書かれている内容、たぶん嘘だ。だって「地球が真っ二つに切られた」とか「地球が太陽と合体した」なんて、あまりにもあり得ないだろ。)
京静は他の地球についての本を探した。どれも内容がバラバラで、不合理なものばかりである。宇宙に合理性を求めるべきではないと理解しつつも、どれも内容にある程度の統一性がないことから京静は地球の歴史についての真実が隠されていると確信した。
夕方になり、家に帰る京静。
(6ぺージ目、読むか)
そうして京静は読み始めた。
「第6期より。地球の寒冷化とそれに伴う海洋の酸素の変異により、生物の生命維持が困難になる。さらに急な寒冷化の追い打ちにより、絶滅は避けられないと判断。次の者に託す。」
本を閉じて晩御飯を食べに1階に下りる。すると、母親がこう言う。
「急に冷えてきたわね。湯舟冷めちゃうから食べたら早く風呂に入りなさい。」
夕食を食べ終え、風呂に入る京静。湯舟に浸かっていると、足を急に引っ張られ、目を開けると海底としか見えない場所に連れて来られた。京静は思った。
(あれ、水中で息ができる。)
それも束の間、日が入って明るかった海底は急に暗くなり始め、暗さと比例するように息が段々苦しくなる。
(これが第6期か。何か後悔しなくちゃ。えーと、えーと。)
周りは真っ暗になり、途轍もない水圧に押しつぶされている感覚だけが、ひしひしと感じる。
(早くしないとまた、繰り返してしまう。何か、ぐふぉ、な、に、か、また、ゲホッ、繰り返して、ンンン、しまう、クソ!)
目を開けると、晩御飯を食べ終え、風呂場に向かう途中だった。京静は母に問う。
「お母さん、今、寒い?」
「え、寒い訳ないでしょ、もう初夏よ初夏、暑いもいいとこよ。」
京静は自分の部屋に急いだ。『15の知恵の書』を開くと、7ページが増えていた。
(あれ、後悔してないのに、なんで。もしかして、繰り返してしまう、っていうやつでいけたのか。7ページ目か、風呂に入ってから読むか。)