友×3+弟
「ようこそおいでくださいました。英雄様。そして申し訳ございません。」
「「「え?」」」
何この状況。
友達の家で勉強会してると急に床が光りだした。すると真っ白なところに来てすっごい綺麗な女の人が召喚されるみたいな事言ってきて話し終わったと思ったら次は自分の体が光りだして目つぶったらお城みたいなとこにいて目の前の女の人に歓迎されて謝られた?
えっ…。
「いや、ナニコレ…。」
「ほんとそれな。」
言ったことに柳が同意してくる。
「頭の整理が追い付かん。犀星は?」
「さあ。あの白いとこ何?てか目の前の女の人だれだよ。」
「知るか。俺には聞く、」
「おい!お前ら異世界召喚だぞ!ガチであったんだな。しかも英雄様だってよ!!」
なんか一人騒がしいやつが…。
「郭矢落ち着け。めっさうるせえ。」
「あっ、スイマソン。」
「大丈夫です。取り敢えずお部屋へご案内いたします。」
「そういや弟ちゃんは?」
一緒に飛ばされてきたはずだが見当たらない。
「霧空君ならそこ」
見ると何やらぶつぶつと喋っているがいた。
「どしたん弟ちゃん」
「…が……ない」
「え?」
「…さんが…ない…。」
「何が?」
ついてこない俺らに気づいた女の人が近づいてきた。
「どうかされましたか?」
すると、急に顔を上げ女の人に向かい。
「兄さんがどこにもいないんです。どこにやったんですか。」
「あ!そうだ。」
ここに来てから何か違和感があった。何かが消えたというよりまるで靄がかかっていたような感覚。
「そだよ!何か変だと思ってたけどあいつがいねえんだ!!」
「一緒に来ていてたはずだよな…。」
郭矢と柳も同じだったようで騒ぎ出した。
「皆様落ち着いてくださいませ。英雄様方を召喚した時にいたのはここにいらしゃっる4人だけでございます。女神エデュライアの目に誓って。」
「じゃあ兄さんはどこにいるんですか?確かに一緒に呼ばれていたはずです。」
女の人は少し考えた後何か思いついたのか「とにかくお部屋で話させていただきますのでこちらにきてください。」と言ってきた。
「分かりました。行きましょう。」
「ああ。」
「…。」
「おう!」
あれ?なんか弟ちゃんが仕切ってね?
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部屋につくとメイドらしき人が紅茶を運んできた。
「どうぞお飲みください。」
そんなの誰が飲、
「うめー!!これ俺らのとこよりも淹れ方うまいぞ。」
「有難う御座います。使用人たちも喜ぶでしょう。」
「お前らも飲めよ!…あ?皆なんでそんな目でこちみんだよ。」
うん。まあ、いいよ。郭矢はそういうやつだよな。そこが良いとこでもあるんだよな。うん。
「話し始めてもよろしいでしょうか。」
「あ、はい。」
結局飲んだ紅茶がおいしく、テンションが上がり話忘れてた。
「それでは改めまして、私はこの国ナキフェイテの王女レスシア・カルメティと申します。レスシアとお呼びください。貴方様方をお呼びした理由は敵国アルストラへの牽制そして戦力としてです。アルストラとはただいま戦争中でありこちらが圧倒的劣勢です。」
は?船窓中?
違う、戦争中だ。
「待ってください。戦争中?もしかして貴方は僕たちを攫った上に殺しもさせようというんですか?ふざけないでください。」
「俺らは向こうで人を傷つけること自体禁止されている。殺しなんてもってのほかだな。」
当たり前だ。やれと言われてもしたくない。
「分かっています。ですがもし引き受けてくださるなら、私たちは貴方様のお兄様を全力で探させていただきます。」
こちらの目をそらさず言い切った。
「な…!!」
「断っていただいて構いません。その時は戦場にでていただかなくても構いませんし、出ていく場合は旅ができる程のお金も用意させていただきます。ただしその後、援助は今後一切行いません。無論、お兄様探しも。」
「結構です!そんなことなら出ていかせて頂きます!兄さんだってこちらで探します!」
「出来るのですか?貴方たちだけで?」
「何が言いたいんですか?!」
無理だな。
「もしお兄様が他国にいたら?それも我が国が敵対しているアルストラに。貴女様方に何ができますか?ここで召喚されたことは内通者を通じてアルストラに伝わっていることでしょう。そして召喚されたものの特徴だって。入国しようとすれば国内に入れてもらうどころか即刻見世物にされ殺されてしまうでしょうね。」
「今の俺らにはこの世界の知識はほぼ何もない。常識のない中であいつを探すなんて無理に等しい。」
俺にまで言われたことに驚き目を見開いていた。
「お兄様への気持ちはその程度なのですね。何を犠牲にしても探し出すという気持ちはないのですね?」
「あるよ!!でも…。」
「もういいですよ。俺ら協力します。」
諦めたように言う。
「犀星さん?!」
「だって、どうしたってこの世界いたら人殺さんといけなくなりそうだぜ?多分盗賊とか居るだろうし。」
「柳さんまで…。」
「諦めろ。」
「そんな皆さん…!でも!…だって。」
決心がつかず自分の世界に入り込みぶつぶつと呟いている。
「ご決断、有難う御座います。」
立ち上がり綺麗なお辞儀をしてくる。
「王女サン。俺らはもう気持ちの整理もついたしあいつ探すためだってわりっきた。が、アンタを恨んでないわけじゃない。」
「はい。了承しております。私が恨まれ国が救われるなら些細なことで御座います。」
…俺こういう人苦手だわ。