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「あっぶな!!」
起きたら木から落ちかけた。
朝から命の危機を回避した僕は釣り竿で釣りをし火をおこし魚を食べた。
このままだとしばらく魚ばっかりだな。
「ん~!よしっ!!行こう。」
とにかく川沿いに歩いて下ればどこかしら出れるのではと考え、釣り竿を持ち歩き始める。
日が落ち始めると火をおこし魚を食べ、木の上に登り寝る。朝になり起きて魚を食べまた歩き始める。
そんなこんなで歩き始めて5日ぐらいたった。
いつもどうり夕飯の用意をしていると森の奥の方から何か大きな生物が草木をなぎ倒しながら近づいてくる音が聞こえてきた。
とっさに目につく中で一番高い木に登る。
その直後2メートル程の狼が飛び出てきた。
でっか!!狼ってあんな大きかったけ?!
「クッソ!!こんなとこに川があるなんてっ!!」
狼に驚いて見えていなかったようで、人が追いかけられているようだ。
とにかく助けよう。
狼の鼻目掛けて魚のにおいが染みついた釣り竿を伸ばす。
「きゃんっ!!」
臭いがきつかったのか暫くキャンキャン言った後、森の奥へ逃げて行った。
「た、助かった…。」
「いえ、怪我など大じょ…。」
安否を確認しようと助けた人を見た瞬間、ある感情で心が支配された。
―殺してみたい
そしてとても自然な動作で川辺の石拾いその人の頭に力いっぱい振り下ろした。
普通ならそんな感情を持たないだろう。ましてや殺人を禁止されていた所に住んでいた人間がだ。
そう、普通なら。
―《異類異形》を解放しました―