報告と過去とデートの約束
『そうか、一人逃げられたか……』
「ああ、野良冒険者のままという扱いだから、見つけ次第で即対処しないといけないが、如何せん行方がな……」
『アルマから特徴を教えてもらったからな。 顔写真化して指名手配として貼り付けるさ』
「お願いします」
ギルド派による帝都へのクーデターを対処し終えたアルマ達は、メルア皇女から与えられた城の宿泊室で、レーツェルに報告していた。
何とかギルド派を駆逐したが、一人逃げられた事も。
転移で逃げられたので、現在もその男の行方は知らないままだ。
『あと、ギャロウズのギルドの件も把握した。 まさか、罰として帝国へ強制的に向かわせたことが仇となるとは……』
「他国の白魔術師をギルド派に殺させようとしてたからな。 下手したら国際問題モノだぞ」
『ああ。 連盟を経由して各国の首脳陣に伝わる仕組みだからな。 批判どころの話ではなくなる』
「どうするんです?」
『ギャロウズのギルドは、解体して新たなギルドが誕生するまではこっちから派遣して町を守らせることにする。 冒険者としての資格も消えるだろうな』
国際問題に発展しかねない行為をしたギャロウズのギルドに関しては、解体の上で冒険者資格の剥奪をするようだ。
空きが出来た町には、暫定的に王都から兵士たちを派遣して冒険者としての依頼をこなす事になる。
「だが、何故奴は白魔術師と忍者を無能としてるんだ?」
『5年前にギャロウズが生まれた町に魔物の大群が押し寄せて来たのだ』
「魔物の大群が……」
『その時にギャロウズは必死で戦っていたが、突如の裏切りによって彼の両親は殺されたのだ。 その裏切り者たちの職業が、皮肉にも白魔術師の女性と忍者の男性だったようだ』
ケリンが疑問に思ったギャロウズの行動の理由をレーツェルは説明した。
彼の過去の話に、アルマは怒りで身体を震わせた。
「その白魔術師と忍者、もしかして他国のスパイだったとか?」
『そうだ。 今は亡きエリクシアのスパイだったようだ。 やはり、剣士とビショップがいるのが分かった所で突如豹変して、皆殺しにしたのだろう』
「酷いですね。 滅んでもらって良かったですよ」
ギャロウズの故郷に、エリクシアのスパイだった白魔術師の女性と忍者の男子が忍び込まれたようだ。
二人は町の者達の行動を見て豹変……いや、本性を現し、彼の両親共々皆殺しにしたようだ。
『彼のそういう過去は私も知っている。 だが、連盟からの指名依頼などでも公私混同をモットーに動いていた。 それが問題視されたのだ』
「確かに、帝都へ行く前にもメルア皇女と対立してましたね」
『高ランクの冒険者としての振る舞いは、国のパラメータにもなるから、各国は神経を尖らせているのさ。 ひとつのおかしな行動が国のイメージに対するダメージを受けるからな』
「ああ、そうだな」
アルマ達『スカーレット』のように、Aランクの冒険者チームなどは、強さ以外の要素も重要となる。
彼女達は、孤児院を同時に運営しているので、それも高く評価してもらっている。
だが、ギャロウズのギルドは、同じAランクにも関わらず、公私混同が酷かったようだ。
『とにかくアルマ達もご苦労だった。 セリア達にも後で労うとして、こちらからも報酬を用意するよ』
「ありがとうございます」
『アルストの町に戻ったら、暫く休暇を取ってくれ。 それでは』
レーツェルのその発言を最後に、通信が切れる。
通信による報告を終えたアルマは、水晶玉を鞄に戻し、背伸びをしながらケリンにこう言ってきた。
「町に戻ったらさ、ボクやアイシア、リキュアとデートしない?」
「アルストの町でか?」
「うん。 町巡りをしたり、一緒に食事をしたりね。 今回の依頼は特に神経を使ったし、気分転換したいんだよね」
「なるほど。 俺でいいならそうしようか」
「やった♪ じゃあ、アルストの町に戻ったらデートするってアイシアにも伝えるからね」
「ああ、ただお手柔らかに頼むぞ」
「もちろん♪」
アルストの町に戻ったら、アルマやアイシア、そしてリキュアとのデートをするという約束を取り付けた。
流石にアルマやケリンも疲れたようだし、気分転換がしたいのだろう。
「さて、そろそろ寝ないとね。 出発は明日みたいだし」
「ああ。 で、何で俺のベッドに潜ってるんだ?」
「何でって……。 添い寝に決まってるじゃん。 アイシアももうすぐ来るよ」
「マジか……」
そろそろ寝ないといけないのだが、アルマは何故か部屋を出ずにケリンが使うベッドに潜り込む。
どうやらアイシアも巻き込んで添い寝をするようだ。
後にアイシアも部屋に来て、三人で川の字になるように寝る事となった。
当然、ケリンは真ん中なので、二人の美少女の吐息が顔に当たってなかなか眠れなかったのはここだけの話としておこう。
ちなみに、二人は透けたネグリジェになっており、アルマは白でアイシアは水色だったという。
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