帝都防衛戦(中編)
「まさか、リーベル公国のギルドの一つが、他国の白魔術師を突き飛ばしてギルド派に殺させようとしていたなんてな。 下手したら国際問題レベルだぞ」
「お、お前こそ何故ここに!? お前はアルマ達と正面を……」
「そのアルマから俺に何かが起こった場合にここに行けと言われてたのさ。 予めな」
「ぐぅ……!」
突如、ケリンがギャロウズ達の担当する場所に現れた事にギャロウズが憤慨するが、ケリンは冷静に反論した事で黙らざるおえなかった。
「大丈夫ですか?」
「は、はい……。 何とか……」
ケリンは突き飛ばされた白魔術師の少女に声を掛ける。
少女は死の恐怖に怯えていたが、何とか立ち直ったようだ。
「お前は……、何で白魔術師を庇う!? 白魔術師や忍者は役に立たない存在……!!」
「黙れよ……!」
「ひっ!!」
ギャロウズはケリンが白魔術師の少女を助けた事を非難したが、ケリンはギャロウズを睨みつけた。
あまりの威圧感にギャロウズとそのメンバーは委縮する。
「白魔術師も忍者もそれぞれ役割ってもんがあるんだよ。 それを役立たずだとはな!? 思いあがるんじゃねぇよ!!」
「ケリンさん、背後にギルド派が……!!」
ギャロウズに剣を突き立てながら白魔術師と忍者を無能扱いにしたことに激怒するケリン。
そこにカリナがケリンの背後にギルド派の者が襲撃してくる。
だが、ケリンは冷静にその者達を剣で切り刻んだ。
「な……!?」
「す、すごい……」
「ここに襲ってきたギルド派の者達があっさりと……」
悲鳴を上げずにバラバラにされるギルド派の人間を見て絶句するギャロウズ。
ケリンの背後を取ったにも関わらず、冷静に対処したのだ。
カリナも白魔術師の少女もケリンの立ち回りに感心していた。
「流石はドラゴンの剣……。 一振りでギルド派がバラバラだ」
「クルルさん、火葬を」
「あ、はい……!」
我に返ったカリナが、メンバーのクルルという少女にバラバラになったギルド派の者を火の魔法で火葬を頼んだ。
クルルもそれで我に返り、即座に火の魔法で火葬した。
「ひとまず、こっちの方はこれで終わりですか?」
「はい。 おかげさまで」
「じゃあ、俺はアルマの所に戻ります。 ついでにここで起きたことを報告しないといけないですから。 公私混同もいいところだし」
「報告だと……!?」
「ああ。 重い処分は覚悟しとけよ? 他国の白魔術師を死なせようとしたんだからな」
ケリンはいち早くアルマの元に戻ろうとする。
さらにギャロウズが起こした行動についても報告をするという。
ショックを受けたギャロウズは、そのまま項垂れた……。
「カリナさん達のギルドは引き続きここを頼みます。 正面の奴らがここに流れる可能性もあるから」
「はいっ!」
ここをカリナのギルドに任せて、ケリンは所定の位置に戻る事にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ケリン君!」
「待たせた、アルマ、みんな! そっちはどうだ?」
「セリアのおかげで半分は減らせたよ。 ケリン君の方はどうだった?」
「やっぱり、ギャロウズという男、白魔術師と忍者は無能だと言って、切り捨てるためにギルド派に殺させようとしていた」
「そっか……。 他国のギルドの子を死なせようとしたんじゃ国際問題に発展しかねないから、流石のボクも庇い立ては無理だね」
「嫌な予感はしてましたが、よりによって……」
ケリンの報告を聞いたアルマは表情を歪めながらそう言った。
流石に今回のギャロウズの行動は看過できないようだ。
隣で聞いていたアイシアも流石にギャロウズの行動に不快感を示していた。
「これが終わったら、メルア皇女やレーツェル殿下、そして連盟のスタッフに報告しよう。 まだ敵は残ってるしね」
「ああ、あと半分だって言ってたな」
「シルス君のスキルのおかげで早く倒せたからね。 ここからケリン君も一緒だから、すぐに終わらせよう」
「よしきた! 任せてくれ」
アルマはこの防衛戦が終わったら、報告をするという。
メルア皇女やレーツェル第三王子、そして連盟のスタッフに報告するので、ギャロウズ達のギルドがどうなるかは不透明になってきた。
だが、それを考える暇はないようだ。
「皆さん、残りのギルド派が来ます!」
「雰囲気からして、ギルマスか精鋭たちだね。 気合を入れていくよ!」
「皆さん、全力で行きますよ!!」
「こちらも油断せずに仕掛けろ!!」
「「「はいっ!!!」」」
各ギルドのギルマスがそれぞれのメンバーに鼓舞をする。
気合を入れなおしたメンバーと共に、残りのギルド派の者に対峙していくのだった。
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