帝都防衛戦(前編)
23日ぶりの更新です。
お待たせしました。
そして翌日。
メルア皇女による多人数転移で帝都にたどり着いたケリンやアルマ達は、メルア皇女やその家族の話を聞いた後で、配置に着いた。
アルマ達『スカーレット』とセリア達『スチュワート』、そしてエレノアのギルドが正面突破に対応するグループだ。
「なるほど。 あのギャロウズという男、危うい存在なのか」
「はい。 なのでケリン君にはギルド派から見て右側に配置しています。 彼には特殊な剣を持たせてるのですぐに対応してくれるはずです」
「こちらから見て左側か。 なら、私の仲間の使い魔もその周辺を見張らせよう」
「いいのですか?」
「構わんさ。 私達もギルド派の思想は早く駆逐したいのでな。 足並みを乱されるのは防いでおきたいのさ」
エレノアにもアルマやセリアの懸念するギャロウズのギルドについて打ち明けると、エレノアの仲間の使い魔もギャロウズのギルドがいる場所周辺を見張らせるようにしてくれた。
彼女もまたギルド派を早く駆逐しないといけないと理解しているが、味方のギルドが足並みを乱す危険性は防ぎたいのだろう。
「ケリン君、向こうの方はどう?」
「今は様子見か。 だが、既に雰囲気的に危ういが」
「やっぱりかぁ……」
「聞いた話では、【白魔術師】と【忍者】がいるギルドは軒並み無視していたのだろう?」
「ええ、ボクは個人的に会っていたのでいいのですが、ボクの仲間には一切話しかけて来ませんでしたから」
「ふむ……」
ひとまずアルマはケリンにギャロウズのギルドの様子を聞いてみたが、既に危うい感じだそうだ。
同じ場所に配備されたカリナのギルド『サージェンド』のメンバーが【白魔術師】と【忍者】がいるからか、ギャロウズは怒り心頭だ。
「メルア皇女の強引な選定が裏目に出たのかも知れませんね」
「多分ね。 ……みんな、動き出したよ」
少しの間話をしていると、ギルド派の気配が大きくなった。
決行の時間がやってきたそうだ。
全員、戦闘態勢を敷いて、ギルド派を迎え撃とうとしている。
「やはり正面に多数の人数がいるな!」
「メルア皇女やエッジ皇子は、住民は避難しているから存分にやれといってますから、遠慮なくやりましょう!!」
「そうだね。 『冥界の力よ、敵を飲み込め』」
セリアの言葉に、アルマは既に詠唱で応じていた。
おそらく闇の上級魔法を使う気だろう。
「【ファントムハザード】!!」
「な、何だ!?」
「馬鹿な、女がこんな強力な魔法など……ぐわあぁぁぁ!!」
「た、た、助けてくれぇぇぇ!!」
アルマが唱えたのは闇の上級魔法の【ファントムハザード】。
これは、多数の対象者の足元から闇の沼を発生させて、引きずり込むように飲み込んで命を奪う魔法だ。
魔力の高いアルマが唱えれば、ほぼ即死の威力だろう。
「私も負けていられませんね。 『天空より出し神の雷よ! 敵の頭を撃ち落とせ!!』」
「フレアも雷の上級魔法を!?」
「シルス君、ケリン君、一旦離れて!」
アルマに負けられないとフレアも上級魔法を使うために詠唱を始める。
セリアがそれが雷の上級魔法だと察し、アルマは巻き込まれないようにギルド派の者から距離を置いた。
「【インテグネイション】!!」
「「「ぐぎゃあぁぁぁぁぁっ!!」」」
フレアが放った雷の上級魔法【インテグネイション】の電撃が、ギルド派の頭上に落ちて行った。
彼女もアルマには多少は劣るものの、それでも高めの魔力を持っており、多数のギルド派の者がこれによって即死したようだ。
「流石だな。 リーベル公国の最強の二大ギルドは伊達ではないか」
それを見たエレノアも感心したようにしながら、爆弾による投擲でギルド派に対応している。
「ああっ!!」
そこに別の方向からの悲鳴が上がった。
「ケリン君!!」
「ああ、行ってくる!!」
それを聞いたアルマがケリンに指示を出す。
駆けつけると、カリナのギルドメンバーの【白魔術師】の少女が倒れており、ギルド派の戦士に殺されようとしていた。
「間に合えぇぇぇぇ!!」
スピードを上げて突っ走るケリンは、何とか少女が殺される前にギルド派の数人を斬り伏せる事が出来た。
「け、ケリンさん……!!」
「間に合って良かった……」
カリナや少女がケリンという助っ人に安堵する傍らで……。
「お前は……」
ギャロウズや彼のギルドのメンバーは、歯ぎしりしている様子だった。
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