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『スカーレット』のメンバーたち

「みんなただいまー」


 ギルド内の広間に先に入ったアルマが元気よく声を掛ける。


「お、帰ってきたか、お帰り」


「お帰りなさい、アルマさん」


「子供たちも待ってたよ、マスターの帰還を」


 それぞれのギルドメンバーがマスターであるアルマを出迎えている。 奥で見ていたケリンは、これが彼女の人望なのかと感心するしかない。


「アルマは人当たりがいいので、基本的にみんなに好かれるんですよ。 それが災いして一部の貴族からは嫌われてますが」


「嫌われてるって…?」


 リュキアから嫌われてるという言葉を聞いたので不安になり尋ねた。


「そんなに心配しなくていいですよ。 自分本位でなくては気が済まない貴族たちから嫌われているだけで、それ以上に他の冒険者や王族からは好かれていますから。 最も自分本位でなければならないという思想の貴族はアルマ自身も嫌ってますしね」


「ああ、そういう……」


 アルマが嫌われているのが、自分本位主義の貴族たちだけっていうのに安心したケリン。

 と言うより、どこの国もそういう考えを持つ貴族がいるものなのだなと思っていたようだ。


「ケリンさんも入りましょう。 折角ですから交流しないと」


「大丈夫なのか?」


「大丈夫ですって、ほらほら」


 リュキアに背中を押され、心の準備もままならない状態でメンバーがいる広間へと入っていく。


「あ、ようやく来たねケリン君」


「アルマさん、この人が新しく入った剣士さんですか?」


 ケリンが入ってきたのを見て、ひとりの黒髪ロングヘアの少女がケリンを見てそう言った。

 まるで大和撫子のような穏やかさを持っている少女だった。


「そうだよ、ケリン・ストラトス君。 元はエリクシア王国の出身だったけど訳あってこの国に移住してきたんだよ」


「ケリン・ストラトスです。 職業は剣士です」


「これはどうも。 わたくしはエリューシア・フレグランスと申します。 職業は『白魔術師』です。 よろしくお願いしますね」


「あ、こ、こちらこそ、よろしくお願いします」


 丁寧にお辞儀をするエリューシア。 ケリンも慌てて、お辞儀をした。 そこに、アルマが補足説明をしてきた。


「エリューシアはフレグランス家の侯爵令嬢だけど、気にしないで普通に接して大丈夫だからね」


「あ、そうなのか?」


「ええ、貴族の令嬢というと堅苦しいか、見下すイメージがあるそうですが、私の家系は冒険者一家でもありますし、普通に接していいですよ」


「分かりました」


 確かにケリンは、貴族にいいイメージは持っていないが、彼女のような物腰の柔らかそうな人なら大丈夫だろうと考えていた。


「次は俺だな。 俺はアレン・バーディ。 職業は『戦士』だ。 アルマから聞いていたと思うがこのギルドには『剣士』が一人もいなかったからな。 あんたが入ってくれるなら大歓迎だ」


「ええ、よろしくお願いします」


 次に紹介されたアレンと言う厳つい冒険者が握手を求めて来た。 ケリンは当然ながらそれに応じた。


「僕はシルス・クーガー。 職業は『忍者』だよ。 剣士の君が入ってくれるなら僕も歓迎するよ。 よろしくね」


 一方で、青い髪のイケメンであるシルスが前に出た。

 彼の職業は『忍者』。 剣士と同じスピード型だが、こっちはサポートを重視しているタイプの職業で足止めや暗殺を得意とする。

 ちなみに、エリューシアの『白魔術師』は回復のエキスパートで、リュキアの『ビショップ』は黒魔法と白魔法の一部と、ビショップ専用魔法を使えるとのこと。


「それで、他のみんなは?」


「子供たちの面倒を見ているよ。 ただ、マスターから連絡はいってるからケリン君の事は聞いてると思う」


 どうやら、彼らの他にもメンバーはいるが、ほとんどが同時運営している孤児の面倒を見ていたようだ。


「じゃあ、子供たちの面倒を見ているメンバーも呼んで歓迎会をしようか」


「お、いいねぇ!」


「僕も賛成だね。 折角の新メンバーだし、大事にしないとね」


「ええ。ですが、アレンさんは酒は自重してくださいね?」


「わ、分かったよ」


(……ん? どういう事だ?)


 エリューシアに睨まれて、タジタジになるアレン。 横目で見たケリンがそれを不思議に思ってると…。


「アレンは酒豪だからね……。 子供たちの教育にも悪いから酒を自重してもらってるんだ」


「なるほど……」


「絡み酒とかはしない人ですけどね……」


 アルマがアレンの事について補足をしてくれたようだ。

 リュキアも横で、呆れたようにアレンの事を話した。 酒は高いから出費が馬鹿にならないのも理由なのだろうと考えていた。

 そうしていると、子供たちの面倒を見ていたメンバーも来ていた。 彼らもアルマからの連絡で、ケリンが入ってくることを聞いていたので、歓迎された。 子供たちもケリンに懐いてくれていたようで、アルマも安心していた。


「じゃあ、みんな揃った事だし、歓迎会を開こうか」


「「「おー!!!」」」


 子供たちも、ギルドメンバーも気合が入っている。

 特にケリンが『剣士』だから大事にしていきたいという思いが強い。

 エリクシア王国のギルド『サテライト』では味わえなかった光景が、この『スカーレット』内に存在したのだ。


(素敵な場所に来て、よかったな)


 ケリンもそう思いながら、彼らと一緒に歓迎会に参加する。


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