表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/67

孤児の受け入れとエルザ王女

 『サテライト』が間違ったやり方でスライムを倒したという件による緊急会議を終えた翌日。

 エリクシア王国から移動してきた孤児たちの受け入れが始まった。 孤児院を同時に運営しているギルド『スカーレット』でも、孤児の受け入れが行われていた。


「ケリン兄ちゃん!!」


「お久しぶりです、ケリン兄さん。 お元気そうでなによりです」


「ああ、みんな心配かけたな。 ここでもよろしくな」


 ギルド『スカーレット』に来た孤児たちは、かつてエリクシア王国にてケリンがお世話になっていた孤児院の子供たちだった。 ケリンによくお世話になったこともあり、再会した瞬間ケリンの元に集まりだしたのだ。


「子供たちに人気だな、ケリンも」


「まぁ、年長者になりつつあった時に下の子の世話をしないといけないだろうから率先して世話したからな」


「結構、兄貴してたんだな」


「からかうなよ、レーツェル」


 孤児たちの頭を撫でながら、ケリンとレーツェルは話をしていた。

 ケリンもやって来た孤児たちを見回して懐かしさを覚えたが、ひとまずこれからも楽しみにしていた。

 何せ、わんぱく少年からしっかり者の少女などいろんな孤児がこれから孤児院のあるギルド『スカーレット』に住むのだ。

 だが、そうなると一つの懸念が出てくる。


「ともかく食費や維持費などが問題だな」


「その点は大丈夫だ。 先ほどギルドマスターのアルマにも言ったが、孤児を受け入れた所には公国から月50万ゴールドを支給するようだ」


「50万か。 高いのか安いのかわからんな……。 孤児の数も多いながら、ギルドメンバーもそれなりにいるしな」


「ケリンからすると微妙なラインか。 まぁ、エリクシアで支援を切られた時に必死で世話をしていた経験もあるんだろうな」


「何でそれを知ってるんだよ」


「ここに来るまでに、孤児たちから聞いたのさ」


「まったく……」


 懸念された維持費などの金銭的問題は、ひとまず国から月50万ゴールドが支給される事で手を打ったらしい。

 ケリンにとってはエリクシアでシビアな生活を強いられた事もあってか、その支給額が安いのか高いのかが微妙なラインだったようだが、アルマからしたら支給額関係なく受け入れたのだろう。


「子供たちはちゃんと受け入れてもらえてよかったよ」


「ああ、フィーネちゃんも他の子とも仲良くなってるし…」


 二人が子供たち同士が仲良く遊んでいる光景を見て安心していた。 ケリンがここに来てから一番懐いていたフィーネもちゃんと一緒に遊んでいるようだ。


「そうだ、孤児たちをここに連れてくるついでにエルザも連れて来たんだ。 今は他のギルドメンバーと話をしているが、お前に会いたくてうずうずしているぞ」


「ああ、そうか。 彼女は、あの時に助けて以来、ずっと『お兄様』って呼ばれたうえで懐いてきてるしな……。 折角来たんなら会うさ」


「そうしてやってくれ。 じゃあ行こうか」


 レーツェルが孤児をここに連れてくるついでに彼の妹のエルザ王女も連れて来たらしい。

 彼女もまた、盗賊に襲われていた時にケリンに助けられてから『ケリンお兄様』と呼んで懐いており、ケリンに甘えてくることが多かった。

 ケリンが『サテライト』から追放されて以来、しばらく会っていなかったが、彼がリーベル公国内にいることでせっかくだからエルザに会わせようとして、このタイミングを狙ったらしい。

 ケリン自身も折角だから会っておこうとして、彼女が待ってる部屋へ向かう事にした。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「あ、ケリン君」


「レーツェル陛下もご一緒だったんですね」


 エルザがいるという部屋の前にリキュアとアルマがいた。


「リキュアとアルマには、エルザの相手をしてくれて済まないね」


「いえいえ……。 流石に接し方に気を遣ってしまいましたが……」


「まぁ、エルザは10歳とはいえ王女だからな。 自然と気を遣うのかも知れないね」


「そうですね。 エルザ様が来るとは思いませんでしたし……」


 リキュアとアルマが、レーツェルと部屋の前で会話をしていると…


「あっ、ケリンお兄様!!」


 部屋のドアが開いて、そこから10歳になったばかりの王女、エルザが現れた。 彼女はケリンの存在を確認すると速攻でケリンに抱きついた。 ケリンもそんな彼女を優しく抱いてあげた。


「ケリンお兄様! お会いしたかったです!!」


「エルザも久しぶり。 元気そうで良かったよ」


「はぇー、本当にエルザ様とケリンさん、仲がいいんですね……」


 エルザとケリンが仲良くしている光景を見てリキュアは呆然としていた。


「ははは、リキュア達から実際にみたら驚いていくだろうな」


「いやいや、もう驚きっぱなしですよ。 ケリン君ってどんだけ交友が広いんだって」


 その傍らでレーツェルがニヤニヤしながら言った内容に、アルマが気疲れした状態でツッコミを入れていた。



よろしければ、評価(【★★★★★】のところ)か、ブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ