魔王のお仕事 1
「魔王として転生していただきます」
ニコニコとした笑顔で開口一番そう言われた。
数時間前、の前に俺について簡単に説明しなければいけないな。
俺の名前は武野 勝樹。まぁ簡単に言うとニートだった。日本の広島県に生まれすくすくと育ち、高校生になった途端部屋に引きこもった。理由は単純明快、入学式早々いじめられたよ。うん、悲しい。
クラスで自己紹介をした時、俺の好きな異世界転生物のラノベの話をすると、引かれた。すご〜く極端にな。
今考えるとあんな話するもんじゃなかった。
自己紹介は済んだところで数時間前の話をしよう。俺が死んでここにいることをまじいて聞いてほしい。
ちなみに俺はそこまで重いニートではない。外にも出るし、軽めの世間話くらいはできる。
数時間前、俺は近くのコンビニにお菓子を買いに来ていた。で、立ち読みをしていた。その時、真横からものすごい目線を感じた。
「あの〜どうかしm」
「あなたなら大丈夫そうですね」
俺の言葉にかぶせてそう言ってきた。この女は何を言ってるんだろう。
どうでもいいが見るからに美人だ。モデルでも敵わないような綺麗な顔立ちとふわふわとしたブロンズのロング。
そんなことを考えていると、腹にナイフが刺さっていた。そして俺は死んだ。
ざっとこんなもんだ。
全く意味がわからない
で、自分を文字通りサクッと殺しやがった美人が、目の前にいる女だ。
もう一度言おう 全く意味がわからない。
何が大丈夫そうで、そんでもって魔王として転生?
あと一回だけ 全く意味がわからない
「おい、ちゃんと説明してくれないかな?」
「まぁ、いきなり殺されて、魔王なれ。では流石にわかりませんよね。すみませんでした。」
いきなり殺しやがった割には律儀だな。
「まず、この状況はなんだ。」
聞かなくてもわかるし、俺は期待に胸を膨らませていた。間違いなく。異世界転生だろう。あいつは魔王とも言ったし、転生とも言った。だが、魔王?俺が魔王?
「自分でも分かってるじゃないですか。心が読めるので分かります。で、あなたが言いたいのは、何故勇者や賢者なんかではなく。魔王なのかでしょう?」
「そうだよ。普通、異世界転生ってのはチートスキルとか、チート的な役職持ちとかそんなんだろ。」
「そうなんです。普通の転生者はそんな感じに転生します。ですがその異世界で、問題が発生してですね〜。」
「問題って?」
「死んだら復活するはずの魔王が復活出来ない状態で殺されちゃって〜、てことで次期魔王として転生してください☆」
軽くウインクをしながらこの美人野郎はそう言って来やがった。まいっか魔王でも。100歩譲ってもうそれはいいや、妥協しよう。物分かりが良すぎるかもしれないが、俺はこうゆう性格だ。だけど、勇者とかがよかったな〜。それならチヤホヤされて、楽しそうなのに。魔王とか、理想の真反対だよ!
「わかったよ、じゃあ最後に、大丈夫だろうってなんだよ」
「いや、あなたニートだから死んでも構わないだろうなぁ〜って思ったので。」
美人顔でこいつは何を言いやがるんだよ。もういいや呆れた。
その後、俺は魔王について色々説明を受けた。
勇者との関係から魔王としての自分の力、転生先の世界についても。
「では、行ってらっしゃーい」
その言葉の直後、俺の体は光に包まれた。あいつ随分陽気だな。魔王の力を聞いてから少し自信が出た。聞いた限りでは明らかに強すぎる。それは後で伝えるとして、
そろそろ着く頃だろう。
聞いた話では、魔王が死ぬ直前の時間軸に転生させられるらしい。
ついた途端、俺は決めていた台詞を死ぬ間際の元魔王に言ってやった。
「よう、オッサン。交代だよ。これからは俺が魔王だ、てかなんで魔王なんだよ、そこは魔王を殺す勇者とかだろ。」
つい本音が出てしまったがまぁいいだろう。
「まずは、どうしようか。」
薄気味悪い表情を浮かべ、勝樹は魔王の玉座に座った。
てことで、主人公が出てきました。
最後にプロローグの最後に繋がった感じですね。
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