プロローグ
「グウアアアアアァ…ハァ…ハァ」
魔界の遥か奥地。立派に、だが、不気味にそびえ立つ魔王城。その中でも地下の地下、魔王の喘ぐような声が聞こえる。
今まさに勇者によって魔王は殺されようとしている。
「ふぅ…ハァハァ、我は今ここで死ぬかもしれん。だが…ハァハァ、だが、数百年後にはまた、…生き返って、…また、大厄災を…起こしてやる…ハァハァ。」
疲れと衰弱、だが、喜びや復讐心にも満ちた声でそう言った。
この世界の魔王と勇者の関わりは、永遠に近いものである。魔王は数百年単位で復活し、またその度に勇者が生まれ、最終的には対峙して、殺して、復活しての繰り返しである。
「確かに今までのお前だったら、生き返ることも出来ただろう。」
「何?」
勇者の手から黄金に輝く剣が瞬時に現れる。
「それは⁈」
「ご存知の通り、滅剣 エクスケリバー。」
そう言うと勇者は魔王に剣を振り下ろした。
刹那 魔王の体は眩い光に包まれ、青いオーラが纏うようになった。
「これでは、復活出来んではないか…ハァハァ…」
滅剣 エクスケリバー
それは、普通の剣とは違う。肉体だけでなく、魂も切ることができる
これで、本当に我は死んでしまう、肉体だけでなく、魂も。数千年だったか、我が生きていたのは。ハハ…だが、まあ、そこそこに楽しかったな。
色々なことがあった。復活するたびに力を蓄え、仲間を集め、勇者と対峙した。一度だけこちらからは何もせず、待って見る、と言う方法をとり、和解を持ちかけたこともあったが、まるでダメだった。我の存在が厄災で、我を殺すことで、「平和」と言うものだと、決まっているらしい。まあその時も気まぐれだったので、我が和解を心から望んだわけでもないのだが
走馬灯のように思い出していたが、思っていた以上に時間はないらしい。
「お前のような奴が二度と現れぬように」
最後にそれを言って勇者は魔王城を後にした。
それだけか、まあいい
それから数分の間に魔王の体は朽ち果てていった。いつもはある場所に自動的に転送されるが、今回は違う。本当に朽ち果て、本当に死ぬのである。
これから勇者達は我の同胞の残党狩りに出るのだろう。
それからこの世界は平和になる。魔王はもう復活しないから、魔物も新しく生まれることはない。良くやった。あの勇者は本当に良くやった。
今まで多くの勇者に殺されてきたが、エクスケリバーの存在を知らないものが多くだった。
まぁ無理はない、エクスケリバーなんて伝説上の剣で、語り継がれることすらないんだから。
薄れゆく意識の中やけに若い声が聞こえた。先程去っていった勇者のものではない。明るくなのに、怒っているようなそんな声だった。
「よう、オッサン。交代だよ。これからは俺が魔王だ、てかなんで魔王なんだよ、そこは魔王を殺す勇者とかだろ。」
なんて、失礼なことを言うんだよ。というか、魔王?魔王は我で、そして今永遠に滅ぼうとしているのに?
そんな疑問を訪ねる前に魔王は死んだ。
「まずは、どうしようか。」
薄気味悪い表情を浮かべ、青年は魔王の玉座に座った。
ということで物語のスタートです。主人公の名前は出てないし、本当に、始まりの始まりですが。
どうでしょうか。こんな感じで、これからも書いていくつもりです。
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