2-1 アドバイス
「そうだ美琴、LINE交換しよーぜ」
「えっ…?」
「コンクール出んだろ?日程とか教えてくれねぇと見に行けねぇじゃん?」
「うん…」
「まさかLINEやってねぇのか?」
「それは…ない…」
「んじゃ、早速交換しようぜ」
「…どうやって交換すれば…いいの?」
「ああ、ここから登録出来るよ」
「…ん、出来た…」
「…友達と交換したりしねぇの?」
「…親のLINEしか…持ってない」
薄々感じてはいたけど、美琴って友達少ないどころか友達いないんじゃねーのか?学校なんかでも自分から話しかけるタイプじゃなさそうだしな。
「んで…次はどこに行けばいいんだ?」
「知らない…」
「ん?こんな所に階段なんてあったけ?」
「あった…地図にも…載ってる」
「えっ…そうだっけ、まぁいいや、上か下どっちがいい?」
「…どっちでも…」
うーん、やっぱそう返ってくるよなぁ。
「んじゃ上で」
俺らは上に向かおうとした。しかし見えない壁?の様な物に阻まれて、進めない。
「ん?あれ?進めねぇ」
「うん…」
「しゃーない、下に降りるか」
「うん、そう…だね」
俺らは下の階に降りてきた。上とは全く作りが違う。
「これは…小学校か?」
「そう…だね」
「…まずはあそこから入らない?」
「なんで…?」
「いや?なんとなく?」
「うん…」
あそこと言うのは正面にある教室だ。6-1-4教室。中は…まぁ小学校らしい教室だ。
「フーッ…ちょっと休憩…」
「うん…」
俺は水を取り出した
「美琴は?飲む?」
「うん…ありがと…」
…取り敢えず次のステージに来たって事でいいのか?後どんぐらい続くんだろうな…こんな状況。脱出出来ないワケじゃないんだろうけど、やっぱし不安になる。陽菜もここに来てるなら無事でいるかな。
「ねえ…」
「ん?」
「…大丈夫?」
「え?何が?」
「暗い顔…してたよ?」
「え…そんな事ねーよ?」
「嘘…慎も…ここから出られるか…不安なんでしょ?」
「…鋭いな、その通りだよ」
「……大丈夫、きっと…出られる」
「まぁそうかもな」
ハハッ…美琴に励まされちまったよ…。
「ありがとな、少し元気出た」
「そう…」
「んじゃ、まずは理科室から行くか!」
…地図がないからかな。探しても探しても見つからねぇ
「見つからねぇなぁ…理科室なんてどこにあるんだ?」
「…違うフロアなんじゃ…?」
「ああ!確かにそれかも!」
そっか…ここからはそんなのも出てくるのか…。この教室の鍵を持ってるからこの教室に入るって探索の仕方をしなきゃならないのか…。
「ちょっと待って…今の教室…誰かいた…」
「え?どこ?」
「ホラ…あそこ」
5-2-4教室…。ん!?青い霊がいる!
「行ってみよ…?」
「おう、行ってみよーぜ」
(ん?ああ、またか…またここに人が来たのか…。優しき人間が…清き人間がまた…死ぬのか…)
「え?なんか言いました?」
(いや…お前達はここから出たいのか?)
「はい!当然ですよ!」
(そうか…ならば『奴の記憶』を集めるといい。奴の記憶を集めると、キーマンのヒントを教えてくれる)
「えーっと…奴の記憶?」
(そう…ほらそこ、紙みたいな物が落ちてるだろ?それが奴の記憶さ。奴の記憶はこのフロアにいくつか落ちている)
「これ?何も書かれてませんけど…」
(そうだろうな…でも奴にしたら記憶なのさ。そうそう、このフロアにはウソツキがいるから気を付けた方がいい)
「そうですか…」
「……地図…このフロアの地図…どこかにありませんか?」
(うん?君達の後ろの掲示物が貼ってある所になかった?)
「え?」
ライトで照らしてみると、確かに地図らしき物があった。
「あ…ありがとう…ございます…」
俺らはは地図を取ってこの教室を後にした。
(またか…彼らもウソツキに殺されるのか…あんな純粋な少年少女まで…残酷だな、彼は…)
「お!このフロアに第2家庭科室あるじゃん!」
「鍵…持ってたよね…」
「そうだな、持ってるな」
「行って…みよう…」
「でも第1理科室はないな…」
「第2会議室も…なさそう…」
「うーん…ここのフロアも大変そうだな」
「あ…ここの教室じゃない…?」
「ホントだ、ここが家庭科室か」
「あ…!ちょっと待って…あれ…」
美琴が指さした方向を見ると、青い男の子の霊が体育座りして蹲っている。あの子の記憶を集めればいいのかな?
「丁度良いじゃん!さっき手に入れた記憶を…」
「待って!」
「ぅえぁ!?」
「友紀が言っていた…嘘つきの霊は特に気を付けろって…もしかしたら…あの子は…」
「確かに!でもどうすれば…」
「慎重に…嘘か本当かを…見極めていきましょう」
「そうだな、んじゃ入るぞ」
(ううっ…何も…何も思い出せないよぅ…)
「えっと…大丈夫?」
(えっ?)
「何か…あったの…?」
(う、うん…僕が誰なのか、どこからここに来たのか思い出せないんだ…)
そっか…それでこの奴の記憶か…。でも嘘つきの霊かも知れないし今は渡せないか…。
(お姉ちゃん達…僕の思い出…知らない?)
「え…知らない…」
(そう…ううっ…ううっ…)
難しいな。今のじゃ嘘ついてるのか本当の事言ってるのか分からねぇや。
「なぁ、何か覚えてる事あるか?」
(え?ううん、何も覚えてないよ)
「そっか…ゴメンな!」
(え?どこ行くの?)
「お前の記憶を探してくる!」
(え?)
「記憶がなくて困ってるんだろ?俺らが探してくるよ!」
(わあ…ありがとう!)
「どう思う…?」
「まだ分からないよ…」
「そう…」
「まさか分かったのか?」
「…分からない…けど…」
「けど…何?」
「多分…同じ様に記憶がないって…言ってくる霊が…出てくると…思う…」
「え?何で?」
「どっちが嘘つきか…分かりづらくなるから…」
「そうか?」
「うん…だって…言ってるそばから…」
また美琴が指さしたので見てみると、今度は青い女の子の霊がいる。でもさっきと違うのは、椅子にきちんと座っている。
「…美琴の言う通りだったな…」
「そう…だね…」
「んじゃ、入ってみるか」
「えーっと君、こんな所で何してるの?」
(分かんない…)
「お名前…は?」
(分かんない…)
「えーっと、どこから来たんだ?」
(分かんない…)
やっぱりか…。これじゃどっちが嘘つきか分かんねぇよ…。
「分かった!俺らが君の記憶を探してくるよ!」
(…ありがと)
……美琴みたいな子だな。愛想ない所とか。…まさか…逆か?美琴がこの子に似てるのか?つまり…美琴も記憶を失くしたのか?
「美琴っ!聞きたい事があるんだけどっ!」
「えっ?何…?」
ハッ!内心すげぇ怖がってる上に自分と同じ様な境遇の子がいて困惑してるかも知れねぇのにさらに追い討ちをかけるのか?お前も記憶を失くしてんじゃないのか?と。更に美琴を悩ませる事になるんじゃねぇのか?
「いや…何でもない…後で聞く」
「…そう…」
「それより…後でもう1回さっきの男の子に話を聞こう」
「え?何で…?」
「よく話を聞かねぇとどっちが嘘つきか分からねぇからだよ」
「うん…そうだね」
「コッチの子ももう1回話を聞くよ」
「うん…分かった」
「んで、今は奴の記憶集めをするか」
「うん…分かった」