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俺と幼馴染みが学校に閉じ込められた!  作者: 風海レト
第2章 記憶集めとキーマン探し
12/15

2-5 リボン

「んで!どこにあると思います?」

「さぁ、でもまぁ…多分このフロアにはあるんじゃねぇか?」

「まぁ、僕もそう思いますよ」

「うん…私も…」

さて、どこを探そうか…。

「女子が物を落としそうな所ってどこだ?」

「トイレ…ですかね…僕の学校の女子はそこで化粧したり着替えたりするんで」

「待て!中学生で化粧すんのか!?」

「トイレで着替える…の?更衣室は…ないの?」

「ええ、更衣室は狭いとかでトイレで着替える人が…」

「トイレの方が狭いじゃん!」

「うん…私も…そう思う」

「まぁ、他に着替える所がないからだと思います。サバサバしてる人だと教室で着替えてます」

「…男子と…一緒に?」

「ええ、そうです」

美琴が俺ら2人を見て、何とも嫌そうな表情を浮かべた。別にお前のなんか見ねぇよ…。

「下着…どうしてんの…?」

「まぁ色々いますよ、最初から着てる人とか、スカートで隠して履く人とか」

「へー、つーかこんな話止めようぜ」

「そうですね!美琴先輩!トイレに着きましたよ!」

「うん…」

「んじゃ、調べてきて下さいね!」




結局なかった。まぁこの前来た時になかったんだからある訳ねーけど。

「それじゃどこにあるんでしょうか…」

「ん?更衣室?」

「え?何です?」

「いや、地図には更衣室があるんだよ」

「そこですよ!きっとそこにありますよ!」

「私も…そう思う…」

「そうか?んじゃ行ってみよーぜ」

「行ってみましょう!」

「い…行ってみよーぜ?」

「あは、今回は『行ってみよーぜ』なのな!」

「う、うるさい…いいでしょ別に…」

「あの、その『行ってみよーぜ』って何です?」

「ああ、これは俺がそうやって言ってたら、美琴もそう言い出したんだよ」

正確には違うけど。

「そうですか!仲がいいんですね!」

少し煽る様に言ってきた。

「な…!…別に仲がいいって…わけじゃ…」

「そう言うお前は仲のいい女子いねぇのかよ?」

「仲のいい…女子ですか…」

…え?なんか触れちゃいけねぇ感じ?

「あ…イヤ、とっとと更衣室向かおうぜ」




更衣室の前に着いた。

「んじゃ、美琴よろしく」

「また…?」

「だって男子だし、こーゆー所入るのはどうかと、だから…ね?」

美琴は何も言わずに入っていった。と思うとすぐに出てきた。

「やっぱ…来て?」

「え?何でだよ…」

俺は渋々入った。するとかなりの数の籠が置いてあった。

「んじゃ、僕もお邪魔しまーす」

…白石、何でそんな堂々と入れるんだよ。

「おお!凄い数の籠ですね!何でこんな物が?」

「多分…ここに服とか…入れるんだと思う…」

それにしても多くね?まさかここって私立?

「何してるんすか!探しましょうよ!」

「えっ?どこから?」

「この籠の中からですよ!あるかも知れないでしょ!」

ん?今気が付いたけれどどの籠も何かしら入ってるじゃん。これ大変だぞ…。

「30個程籠がありますね。じゃあ1人10個調べましょう!」

ゲッ10個もかよ…。

「…分かった」

え?美琴まで了解しちゃう?それじゃ俺も了解しなきゃなんねぇ流れになっちゃうじゃん。

「…しゃーねーか…」

俺は仕方なく籠を調べる。ん?何だこれ?

「…あわわわわ!ブ、ブラ!?」

何でこんなのがあんの!?これってずっと着けてる物じゃねぇの!?

「いやいや先輩!驚き過ぎっすよお!」

「何でお前はそんなに冷静なんだよっ!」

「ここは女子更衣室っすよ?その位で驚いてどうするんすか?アハ、ちっさ!」

あんまりな出来事だから混乱してんのか、元々こんな性格なのか…。これ後者だったら白石は犯罪者になるな…。『中学生の頃からその気質はありましたよ、でもまさか本当に…』ってインタビューに答えよう。後者なら。………ゼッテー後者だろ!犯罪者予備軍決定。

「山口先輩!探して下さいよ!」

「お前…気を付けろよ…?」

「何にですか?」

「社会ってヤツだよ…」

「…?そんな事より探して下さい!」

コイツは大丈夫なのか…いや大丈夫じゃない。美琴の方は…黙々と探してるな。こんな事黙々とする様な事じゃねぇけど。うわ…コッチは何か色々入ってるよ…。うーん…リボンなんてなさそうだなぁ。

「先輩!遅いっす!僕らもう4個目終わったっすよ!」

「えっ!早くね?お前ら」

俺はまだ2個目を調べている。なのに早くね?

「口より手を動かしましょうよ」

「うぐぐ…分かったよ…」

俺も2人に倣って黙々と調べる事にした。

「ん?鍵だ…。何でこんな所に鍵があるんだ?」

第4保健室の鍵…か。

「おお!よかったっすねぇ!」

「別によかったとは思わねぇぞ?」

2個目終了!まだ半分も行かねーよ。10個でもこりゃ大変だぞ。

「お、先輩早いですねー」

美琴は声すらかけてこない。本当に黙々と調べているのだ。人の着替えた跡を調べるのって気が引けねぇのかよ…。

「うっし、4個目終わり!」

「へっ、こっちも3個目終わったぞ」

追い上げてるぞ~?もう少しでお前に追い付くぞ~?

「お、いいっすね!その調子でどんどん調べましょう!」

「…分かったよ…」

そうやって俺らはどんどん調べていった。しばらくすると遂に待っていた言葉が聞こえた。

「お…ありましたよ!多分これです!」

白石が赤いリボンを持っている。ハーッ…やっと終わった…。

「いよし!これでこんな所から出られる!」

「フーッ…白石君…やったね…」

「ええ!見つけました!皆さんお疲れ様です!」

「よし!早速小室の所へ持っていこう!」

「そうしましょう!」

俺らは更衣室を後にした。この瞬間をどれだけ待ち望んでいたことか…。ああ、更衣室を漁った罪悪感が残る…。




「小室!持ってきたぞ!これだろ!」

(ん?ああ、アンタ達か)

「それよりこのリボンだろ?」

(赤いリボン?イヤ、アイツが着けてたのは青いリボンだったぞ?)

「えっ?何て?」

(イヤ、アイツは青いリボンを着けてたんだ。そのリボンは…多分同じクラスにいた奴のだろう。)

「同じクラス!?」

よし!多分リボンの在り処はあそこの更衣室だ!この赤いリボンの持ち主と同じクラスなら、着替えもそこでしていたはず!…ストーカーに近い考えをしてるな、俺。

「じゃあ、多分リボンは更衣室にありますね」

「また…探すの?」

俺は一瞬美琴が嫌そうな顔をした事を見逃さなかった。

「ええ!彼の為に見つけてあげないと!」

あ…。コイツ、犯罪者予備軍だけどいい人だ。『脱出の為』じゃなくて『霊の願いを叶える為』にリボンを探そうとしてる。本心では脱出の為って思ってるかも知れないけど、それでも咄嗟に機転を効かせてそんな風に言えるのはスゲェや。

(アンタ達…ありがとう…俺もアンタ達みたいになりたかったな…)

「ハハッ、僕はそんな出来た人間じゃないよ」

(そうかぁ?そんな事言えるって事は出来た人間じゃねぇの?)

「…僕は間接的とは言え、人を殺した事がある。そんな人間を出来た人間だと思うか?」

何だそれ?コイツもまた重たい過去を背負ってるのか。急に暗い表情になったな。そういや白石のこんな表情をどっかで見た事あるな…。

(イヤ?前のお前は出来た人間じゃなかったかもだけど今のお前は出来た人間だろ?)

「ハハッ、そりゃどーも」

(…アンタ、あんま気負い過ぎんなよ?体に毒だぞ?)

「分かったよ、んじゃ!行きましょうか!」

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