2-4 コムロコウキ
「図書室ですか?」
「うん、そこに嘘つきの霊がどっちなのか教えてくれる霊がいるんだ。でもちょっと大変で…」
「大変?」
「まぁ見てもらえれば分かるよ」
「そうですか、じゃあ早速見に行きましょう!」
「おう!行こーぜ」
俺らは図書室に向かった。
(おや?君達か…お仲間が1人増えたのか。よかったな)
「白石健吾です!」
(ああ、それよりそこの準備室に入りに来たのかい?)
「ええ。…ここって準備室だったんすね」
(ああ、そうだよ…気を付けてな)
「分かってます」
「おお!これは凄い数の赤い霊ですね!」
「まだ開けんなよ」
「当然ですよ!作戦でも立てないとみんな死にますよ!」
「で…どうするの…慎…」
「6匹いるんだろ?1人2匹巻けばいいって計算になるワケだ」
「そんな…上手くは…いかない…よ?」
「だろうなぁ…物理的攻撃は効かねぇしな」
「効かないんですか!」
「まぁ…机でバリケード作ったら机を透けて通ったからなぁ」
「そうですか…いっそ聞かないってのは!」
「…一応聞いといた…方がいい…よ…」
「そうですか…すみません」
「よし!俺がドアを開ける、お前らは霊の分散をしてくれ」
「さっき…上手くいかない…って言ったじゃん…」
「やってみる他ないだろ?チャンスがあれば準備室に入ってくれ」
「そうですね、やってみましょうよ!」
「さっき見たら死霊が2悪霊が4だった、死霊が来た奴は注意な?」
「分かりました!」
「前のドアは開けておく、あわよくばここから出て欲しいんだけどな、でも無理して出そうとしなくてもいいからな」
「…分かった…やってみる…よ」
俺は前のドアを開けた後、配置についた。
「お前ら…挟まれないようにな」
2人は頷いた。
「…行くぞっ」
俺はドアを開けた。しばらくすると続々と出てきて俺らを追い回した。
意外にも1番早く入れたのは俺だった。案外2人も楽々入ってきた。さっきの緊張感返せ。
「意外と楽でしたね!」
「ああ、楽だったな」
(お前ら…大分無茶したな)
「ああ、そうそう。嘘つきの霊について教えて下さい」
(そうだな、その為に来たんだもんな。ウソツキは家庭科室の霊だよ)
「よっしゃ!当たった!」
(何だよ、分かってたのかよ)
「でも…絶対の自信が…なくて」
(なるほど…俺のアドバイスも無駄ではなかったか)
「無駄ではないですよ」
「んじゃ!行きますか!」
「うん…そろそろ…」
(じゃあな…気を付けて、外に霊が出ちゃったから)
「君!記憶を持ってきたぞ!」
「やっぱり彼女は怪しくないですよね、記憶を失くした子っぽい態度ですよ」
「そう…だね…でも可哀想…」
俺は彼女に記憶を渡した。
(あっ!思い出したァ!)
「よかったな、思い出せて」
(ありがとうお兄ちゃん!お礼にこのフロアのキーマン?を教えてあげるね!)
「サンキューな!」
(ここのキーマン?はコムロだよ!コムロコウキ!)
「小室幸輝?」
「どこに…いるの?」
(ゴメンね、それが分からないの)
「分かんねぇのか…」
(コムロは隠れるのが好きなの!)
「つまりどこかの教室に隠れてるのか?」
(それと多分今まで行った教室のどれかにいるんじゃないかな。コムロは『気付かなかった?』って言うのも好きだから!)
「なるほどな…んじゃ探しに行こーぜ」
「ですね!」
「うん…行こう…」
「あれ?そこは『行ってみよーぜ』じゃねーの?」
「な…いいでしょ…別に…」
「全然見つからねぇじゃねーか!」
5-1-4、6-2-4を隅々まで探したが、全く見つからない。それどころか、悪霊に追いかけられて大変だった。
「ホントですね、でもなんかかくれんぼしてるみたいで楽しいですよ!」
「そう…」
「そうかぁ?」
「はい!昔に戻ったみたいで楽しいです!」
まぁそんな考え方もあるか。俺は楽しくねぇけど。
「んじゃあ次は…相談室行ってみよーぜ」
「おー!」
「うん…」
そういえば相談室って調べてなかったな。俺はスグぶっ倒れちゃったし。
「ここも隅々まで調べるぞ」
「うん…」
「了解!」
ってったって調べる所なんか殆どねぇけどな。
「ん?ここ!誰かいますよ!」
「は?」
「いや、この机の奥に微妙なスペースがあって…」
(へぇ、スゲエな、アンタ…ここを見つけられるとは思わなかった。俺はコムロコウキ、アンタらは?)
「山口慎」
「僕は白石健吾」
「神山…美琴…」
青い霊が出てきた。
(ちょっと前に慎、慎って言ったと思うと、泣き出した女子が来たんだけど死んだかな)
美琴が顔を赤くした。美琴の事だったのかよ…。
(あ…そうそう、アンタだった。泣き出した女子は…俺の事気付かなかった?)
「神山先輩?そんな事したんすか?」
「やっ…違…わないけど…」
「おい、なんか俺も恥ずかしくなってきたぞ…」
(ああ、アンタにその…美琴さん?って人が抱きついてたな…)
「そんな事っ…!」
(してないか?俺はしっかり見ていたんだぞ?)
「何だよお前、結局怖くて俺の事抱きしめてたんじゃん」
「なっ…違っ…そんな事してない…!」
「どうでした?山口先輩は、やっぱ暖かかったですか?」
「そんな事…してないってば…」
(所で何の用だ?)
「あっ…そうそう、お前の願…」
「いや、ひとまず君の事がよく知りたいからこのままお喋りでもしてようよ」
(俺の事が知りたい…?何でだ…?)
「偶然とは言えこうして出会ったんだ。君の事、知りたいって思うのは当然だろ?」
(そうか?)
「転入生なんかに興味を持つのと似たような感じだよ」
(なるほど、それでアンタは俺に興味を持ってるワケだ)
「そうそう、そう言う事。しっかしまぁよくそんな所入れるよね」
「確かにな…」
何だ?白石、何を考えてるんだ?イヤ、違う。俺の様にいきなり願いを聞くのは怪しい。白石の様に会話をして、さり気なく願いを聞き出す方がいいのかも知れねぇな。
(まぁ俺は体が小さいからな、この位のスペースなら入れちゃうんだよ)
「体が小さいのは気にならないの?」
(まぁ多少は気になるけれど、こんなスペースにも入れるから気にしねーよ)
「まぁそれもそうかも知れねぇな」
「え?僕も体小さかったけどもっとデカい体が欲しいなぁって思ってたぞ?」
「そうなのか?つーとデカくなったって事か」
(俺は別にいらねーよ)
「欲しい物とかないの?」
(欲しい物?特には…ねぇな。でも動けるなら…したい事なら…)
「したい事?」
(ああ、俺って彼女がいたんだけど、どっかでリボン落としたらしくてさ、すっげー気に入っててそれつけると可愛くて…動けるならリボン探したい)
「じゃあ僕らが見つけてくるよ!」
(は?この学校にはないかも知れねぇんだぞ)
「あるかも知れないんでしょ?」
(まぁ、それはそうだけど…)
「なら僕らが探すって!大丈夫!きっと見つかるよ!」
(分かった!じゃあ…お願いします)
「任せてよ!じゃあ探しに行きましょっか!」
「お前…将来医者にでもなれよ…」
「え?何でですか?」
「や…何でもねぇ…どこにあるのか分かってるのか?」
「いいえ!全く!」
「だよなぁ…」
「分かってたら持ってると思います!」
「だよなぁ…」
「んじゃ!リボン探し、行きますか!」
「うん…」