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プロローグ:ウツツノユメ
雨の音が聞こえる。
小さな身体を圧迫するかのように包み込む暗闇の中、それはただ遠くで聞こえる雨音だけを聞いていた。
自分が悪いということはわかっていた。
それでも尚、何もできない自分が酷く惨めだった。
だから、雨音以外の一切を聞かないようにしながら必死に謝った。
――ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいゆるしてゆるしてゆるしてゆるして――
飽くことなく繰り返される贖罪の言葉は、しかし一言たりとも届くことなく虚空の闇へと消えて行くばかりだった。
もしもその声が届いたならば、何かが変わっていたのだろうか?
そんな事すら考えられない程にそれは疲弊していたし、それはそうする以外の術を知らなかった。だから、その誰にも届くことのない無意味な謝罪は毎夜絶えることなく続く。
それの世界が壊れ始めるまで、延々と…