君を捕まえた
作者はBL、GL、NLどんなCPも愛してる雑食です。
その日は太陽が輝きを増し、外に出るだけで汗が噴き出すような暑い日で。
いつもは元気な子どもが遊ぶ姿が、そこかしこで見られる公園にも、一人もいない。
その公園で、太陽の熱が残る白いベンチに腰かけて、夕日を見つめる変わり者が二人。
普段であれば、頼れる男なのであろう事が伺える、パリッとしたスーツを着ている男は、大きな背を丸くして、隣の人を見つめて何か言おうと躊躇っている。
男に見つめられているのは、同じくスーツを着ている少し背の低い華奢な身体つきをしている……男だった。
そして、迷いを捨てたのか、丸くしていた背を伸ばし、男は……秀吉は言う。
「俺は、最初お前の事を小さくて守ってやらなきゃ簡単に折れちまうじゃねえかって思ってた。」
そこで、秀吉は言葉をきって顔をうつ向け、
「でも、お前は結構図太えし、気も使える。仕事だってそこらの奴よりできるしな。俺が守ってやらなくても、やっていけると思ったらな…」
「あー、クッソー!こんなの俺の性に合わねえ!!簡潔に言うぞ!お前が好きだ!男同士でも、関係ねえ!付き合ってくれ!!」
今から喧嘩でもするんじゃ?ってくらい、その告白は乱暴で。
しかし、告白された男は…
「前田先輩……告白の時はお前じゃなくて名前を呼ぶべきです。……………あと1回チャンスをあげます。あ、姓ではなく名で呼んで下さい。『実が好きだ。男同士でも、関係無い。付き合ってくれ。』って。」
簡単でしょ?っと首を傾げる。
秀吉は驚きに目を見開き、言葉を失った。
秀吉に告白の後に名を呼べと言われた事もあるが、告白をもう1回させるのは…と期待したからだ。
実に期待の目を向けるが、実は気付かないふりをして、秀吉に再度の告白を促した。
「斉藤……実が好きだ。男同士でも、関係無い。公私共に俺と一緒にいてくれ。俺は実を捕まえたい。実は俺を支えてくれ。俺も実を支えるから。だから……付き合ってほしい。」
「はい。これからよろしくお願いします。」
実は秀吉の告白を受け入れると、秀吉の首に腕を絡めて秀吉の耳元で囁く。
「愛してる、秀吉。僕はね、一目惚れだったんだ。秀吉は僕を捕まえたんじゃなくて、秀吉が僕に捕まったんだよ。」