マッドサイエンティスト先生とあらすじ
俺の脳ミソが追いついていないんだが・・・
これを自分自身に起こったことじゃなく、マンガかドラマの話だと思おう。
◆前回までのあらすじ◆
平凡顔の雰囲気イケメンこと山田太郎(28歳)独身、社畜リーマンは
フランケンシュタイナーからの男の生き様に感動した夜に、OLと中学生と女子大生(可愛い)を魔の手から救い、酔っ払い運転の車に跳ねられ瀕死に。
山田の体は事故でズタボロ、だが脳ミソだけは綺麗なまんまだった。
偶然にも、脳死状態の美少年のキレイな体があるではないか!
なんと! 山田の脳ミソ、美少年の頭にいれちゃいました☆
次回、山田美少年になる!? お楽しみに~・・って、待て!
そんなこと可能なのか!? いやっ、倫理的にいいのか!?
まだ、あまり声を出したり動いたりできないので、静かに大パニックを起こしている俺。
この体の主は「有栖川千尋」という名前で、超がつくほどの大富豪の一人息子らしい。
母親と一緒に事故にあって、母親は即死だったが息子は助かった。
ーーーーただし、植物状態で。
3年間、意識の無いまま機械に繋がれて生き続けたらしい。
だが、いよいよ脳全体の機能が失われていき脳死状態になり、どんなに手を尽くしても生かすことができないというところでーーーー俺が運ばれてきた。
このマッドサイエンティスト先生は、俺の脳ミソを美少年の死んだ脳ミソと入れ替えるというホラーマンガみたいな手術をやってのけたらしい。
「検査して適合しただけじゃない。 君は自分の身の危険も顧みず3人の人を救った。 そんな君なら新しい人生を受け入れて、まっすぐに生きてくれると思ったんだ。」
キラキラした目でこっち見んな!
まてまて、俺の何を知っているってゆうんだ! てゆうか、こんなこと許されるの!?
「・・・おれの、おやは・・?」
「ご両親は移植を許可してくださったよ。 ただし、心臓の。」
「・・・え・・・?」
「息子さんの心臓で助かる少年がいるんです、とお話したら『ぜひ使ってやってください。 その方が太郎も喜びます』とおっしゃられて。素晴らしいご両親だね。」
なに涙ぐんでんの!?
「カモフラージュとして、心臓の手術をしたように見える縫合痕を付けさせてもらったよ。 傷をつけてごめんね。」
いや、謝るとこ、そこじゃねーーーーって!
「君のお葬式も終わって、遺骨はご両親が田舎に連れて帰られたよ。
焦らないでいいから、ゆっくり受け入れてほしい。 君は一度は死んで、生き返ったのだと。」
そんなの・・・でも、こいつの「父親」は?
「こ・・・の、ちちおや・・は?」
ーーーー知ってるのか?
「この手術は有栖川様のご希望だったんだ。」
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とりあえず動けるようにならねばっ!!
まだ俺は、どこか他人事のような、夢のような感覚でいた。
リハビリをして、回復したら、元通りの山田太郎で・・・
事故の後遺症の幻聴やら幻覚なんじゃないかって。
頭と胸に大きな縫合痕。
山田太郎と有栖川千尋を合体させた体はフランケンシュタイン博士の怪物みたいで笑える。 全然リアリティが感じられない。
有栖川千尋の父親にも会っていないし。(フランケンシュタイン先生が『ある程度回復するまでは』と俺と会うのを止めているらしいが)
ちなみにフランケンシュタイン先生は、名を北条先生という。 馬鹿でかい病院の院長先生でめちゃくちゃ名医らしい。
あれから一カ月ーーーー俺は驚異の回復力を見せ、どうにか歩いたり、話したり、日常行動を送れるまでに回復した。
自分の足でトイレに行き、鏡を見てもーーー有栖川千尋のままだった。
180を超えていた身長も160そこそこか? 鏡に映るのは華奢で色白で、少女のような少年だった。
そんなある日、ついに有栖川千尋の父親という男に会うことになった。
長身で渋い男前。 ダンディって言葉が似合いそ~とか思ってると・・・
「・・・ち、ち、千尋ちゃんッッ!! パパだよぉーーー!!ちーちゃん!いっ生きてるぅう!!!」
すっげぇ号泣して抱きしめられた。
ちーちゃん、ちーちゃん、と泣きながら抱きしめられ、「ああ、夢でも幻覚でもないのか」と思い知らされた。
ーーーー現状を、「有栖川千尋」として生きるということを、受け入れるしかないのだと。
山田太郎は一度死んだ。
これはお茶目な神さまがイタズラにくれたチャンスで、第2の人生をやってやろうじゃないか、と俺は腹をくくった。
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