眠り姫とキス
ーーーヤバい。死にそうに眠たい。
昨夜の有栖川父との尋問スカイプで、授業中に寝不足の俺は気絶しそうに眠たい。
あのクソ親父~とか思ってたら、数学教師が
「有栖川。大丈夫か?」
と、声をかけてきた。
「えっ!?だいじょぶです!」
なんか、声ひっくり返った。恥ずかしい!
「無理はするな。少し休んできなさい。誰か保健室に案内してやって。」
ーーーおお!そうか。俺って長期入院してた訳だから、気を使ってくれてるんだ。
先生、ありがとう。超ありがとう!
眠いだけなんだけどね。
「僕が案内します。」
園田が席を立った。
俺は園田に連れられて保健室に向かう。
「病弱で無自覚で美形・・・すごいスペックだ。」
俺の隣で園田はなにやらブツブツ言ってた。
眠いので無視したけど。
保険医はどっか行ってるみたいで、誰もいなかったけど、俺はさっさとベッドに横たわる。
あああ。ベッドだ、ベッド。最高です。
「園田。ありがとね。俺、寝てれば大丈夫だから。教室戻っていいよ。」
「一人で大丈夫?」
「だいじょぶ。保険の先生もすぐ帰ってくるだろうし。」
ちょっと心配そうにしてたけど、園田は教室に戻っていった。
ーーー良い奴だよな。ときどき言ってることが意味不明だけど。
俺はカクッと眠りの世界に旅立った。
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保健室で眠ってたら、なんか息苦しい。というか、口が塞がってる。
ーーーーてゆうか、なんか、ヌルっと入ってきた!?
なにこのデジャヴュ!!??
カッと目を開いたら、男が乗っかってた。
やっぱりコレ、キスされてるやないかーい!!!
「んんんッ!!」
ドンっと、のしかかってる奴の胸を叩いても、寝起きで碌に力が入らない。
チュクリ、と唾液が絡む卑猥な音が保健室に響いた。
「は、ぅあ・・・や!」
じゅ・・・っと舌を吸われる。
俺の唇を覆うように、相手の唇が吸い付いてきた。
「ん、むぅ・・・ふっ!」
ーーーちくしょっ!
俺の口の中で暴れるベロを、ガリッと噛んで、相手が怯んだスキにドンっと付き飛ばして、転げるように逃げた。
保健室を飛び出して、廊下を走って逃げてたら、思いっきり誰かとぶつかった。
「うわっ!!」
「おわ!アリスちゃん!?大丈夫?」
ひっくり返りそうになったのを、支えてくれたのは美村だった。
「どったの?もうお昼だから迎えに行こうと思ったら、アリスちゃんから飛び込んできてビックリしたよ~。」
と、どさくさに紛れて、俺をぎゅーっと抱きしめてきたので
「死ね!変態ッ!!」
「ぎゃー!」
と言って、思いっきり足を踏んだ。
俺にキスした奴は金髪だった。
閉じた瞼と長い睫毛、額に掛かった金髪が目の前にあって、整った感じの顔をしていた。