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笑う者

ブックマーク3000突破。

総合評価 7000突破ありがとうございます!


この世界の一般的な戦わない成人男性のステータスは100ほどです。

兵士になると平均500ほどです。

2話のステータスに追記しておきました。


今年の目標はなろうコン1次突破ですね!


 「ふふっ。ふふふっ。フハハハハハハっ!やった!相良が死んだぞ!なんて僕は運が良いんだ!神は僕のことを愛してると言っては過言ではない!これで僕のものだ!早見彩音は僕のものだ!」


 勇者一人一人に明け渡された部屋のベットの上で優が死んだことに沢田純平は笑いこけている。

 彼にとって相良優は何よりも憎い相手であった。

 その理由は彼らがこの世界に来る前のこと、彼らが高校二年生であった時の話。


 

 純平は生まれた時から何不自由ない人生を送っていた。

 勉強、運動もできるし顔もいい。

 また彼の父は国会議員でもあり富も名声もあった。

 だから彼の周りには自然に人の輪ができた。

 だから彼は思う。

 自分は完璧だと。

 何も欠点がないと。

 自分は神に選ばれた人間なんだと。

 だが、彼は気づいていないのだ。

 そんなことを心の奥で思ってることこそが欠点なのだと。


 そんな純平が恋をしたのは高校二年生の春のことである。

 純平が昼休みにクラスの女子達と中庭を歩きながらおしゃべりしている時、中庭のベンチで本を読んでいる少女を見つけた。

 その少女は言葉にできないほどの美人であった。

 純平はその子が気になって、会話をしていた女の子達に聞いてみた。

 

 「あのさ、あのベンチで本読んでる女の子の名前なんていうの?」


 「ん?何?あの娘?あの娘は確か早見彩音ちゃんって言って文芸部の娘だよ。美人な娘だよね。純平君気になるの?」


 「あ、うん。まぁ、1人でいるから気になっちゃってさ。はははっ。」


 「ってそんな他の女の子より私達ともっと話しようよ〜!ねぇ!」


 「あ、うん。ごめんね。えーっと次は俺がこの前の練習試合でハットトリック決めた話をするよ。」


 「あーそれ私が応援してた試合だ!」


 「私も応援してた!」


 「私も!」


 「はははっ。まぁ話をするよ」


 そこから一緒にいた女の子たちに純平は自分の自慢話をするのだが、純平は他のことを考えていた。

 もちろん、早見彩音の事だ。


 彼女は俺の為に神が遣わした運命の人なんだと。


 純平はその日の放課後、彩音のクラスをつきとめて屋上に彩音を呼び出した。


 「どうも、早見さん!突然呼び出してごめんね。僕のことは知ってる?」


 「うん、沢田純平くんだよね?有名な人だから知ってるよ。」


 純平は思う。

 当たり前だ俺のことを知らない人間なんてこの学校になんかいないんだと。

 

 「知っていてくれてありがとう。」


 「うん、でも何で私なんかをここに呼び出したの?何か用があるの?」


 「そうだね、単刀直入に言うよ。早見さん!いや、彩音!僕の彼女になってくれないかな?」


 その時の純平の顔は自信に満ち溢れた顔であり、振られるなんて全く考えていない、これで自分たちは結ばれると考えていた。


 「ごめんなさい、沢田くんとは付き合えません。」


 だが返って来たのは考えられない言葉であった。

 

 「え?今なんて?」


 純平は言われたことを信じられないでいる。

 

 「だから、沢田くんとは付き合えないと。」


 彼はこの時訳がわからないでいた。

 自分は顔が良いし、運動もできて、勉強もできる。

 おまけに金もある。

 何故だ?


 「あのー、早見さん。理由を聞かせてもらっても良いかな?」


 「あの、誰にも言わないでね?私ね2年D組の相良くんが好きなんだ。だから貴方とは付き合えないの。」


 「そ、そうかい。分かったよ。その恋実るといいね!」


 「うん!ありがとう!沢田くん!」


 「それじゃあまたね!」


 彼は屋上を後にした。

 彼はその日から彩音が好きだと言う相良が気になった。

 自分を選ばずに彼の方が良いと言うのだ。

 相当な男なんだろうと。


 「楽しみだ。」


 

 そして純平はその後、優について調べまくった。

 顔のレベル、運動と勉強の良し悪し、家庭の地位などなど。


 だが結果は純平にとって驚きでしかなかった。

 顔は中の上ほどであり、運動も勉強もどちらかも言えばできない方であり、家も母子家庭と貧乏だ。

 しかも、重度のオタクだと言う。


 純平はさらに混乱した。

 


 その後も純平は彩音に対してアタックした。

 何度も何度もである。

 その度に振られる。

 振られる。

 また振られる。


 そしてアタックがもう何十回目だという時である。

 純平はきれたのだ。



 「相良ぁ!相良ぁ!相良ぁって!何でだ!早見さん!あんな奴の何処が良いんだよ!顔も運動も勉強も僕に負けてる!しかも彼の家庭だって貧乏じゃないか!どこがいいんだよ!」


 そんなことを言われて彩音は初めは驚いた。

 いつも冷静で温厚な純平が大きな声で怒鳴ってきたからだ。

 しかしすぐにその驚きは怒りに変わった。

 

 「何でそんな事言うの?別に顔だとか、運動だとか、勉強なんて好きになると関係ないじゃない。しかも、相良くんの家のことにまで口にするなんて、沢田くん最低だよ!」


 「いや、ちょっと待って!何で怒ってるの?何で?」


 「そんなことも分からないんだ。沢田くんって本当に最低だね。それじゃあ。」


 純平は呆然とする。

 俺が悪いのか?

 いや違う。

 悪いのは相良だ。

 全部相良が悪い。

 あんな奴、死ねばいいのに。




 

 そしてこの件で優は死んだ。

 純平の笑いは止まることはない。


 

 

 

 


 

 

次は優に戻ります。

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