ステータス
「俺たちを召喚したってどういうことですか?」
先ほどの金髪の女性の発言に対して質問をする男がいる。
彼の名前は沢田純平。
成績優秀で元サッカー部のキャプテン、しかも容姿も学校一と言われている。
要するに完璧超人である。
「はい、今から説明させていただきます。ですから、父様がおられる玉座の間に来ていただいてもよろしいでしょうか?」
「ん?正直よくわからないが話が進みそうにないな。分かった付いて行こう。みんなもそれでいいか?」
みんなも落ち着いた気持ちになれないのか沢田の発言にコクコクとただただ従うしかないようである。
俺からしてみれば勝手に決めるなと思うが面倒くさいので異議は唱えない。
「それでは私についてきてください。」
俺たちはその場から立つと金髪の女性についていく。
「ねぇ、優。これどうゆうことかな?ここってヨーロッパよね?でもエレストニア王国なんか聞いたことないわよね。過去にタイムスリップでもしたのかしら?」
そう言って話しかけてきたのは凛である。
今置ける状況に対して少し怯えているようで、さっきから目がおよいでいる。
「いや、それはどうだろ。正直俺はここが地球だって思えないけどな。」
「え?どういうこと?」
「俺が思うにここは異世界なんじゃないかってことだ。」
「え?何でそんなことわかるの?」
「何ていうか勘だ。」
「はぁ?なにそれ?何にも当てにならないじゃない。」
「あ、でも凛ちゃん私もここ地球じゃない気がする。」
ここで話に加わってきたのは早見さんだ。
何故か彼女も俺に賛同である。
「えー?!彩音までそう思うの?何で?」
「んー、何ていうか。勘?」
「はいはい、あんたらに聞いた私がバカでしたよ。」
凛は俺たちの脈絡のない話にうんざりしている。
そうこうしているうちに玉座らしきところに出てきた。
玉座には威厳がある白い髭を蓄え冠を被っている王らしき人物が座っている。
「よく来てくれた。勇者たちよ。我はエレストニア王国の王ルウェル・エレストニアである。お主達に来てもらったのは他でもないこの国を、いやこの世界を救って欲しいのだ。」
この発言にみんなの口はポカーンとする。
意味がわからないという状況になっているが、沢田は何とか立て直し王に発言する。
「お、王よ。私達は急にこんなところに呼ばれてよく分かりません。ここは地球なのですか?具体的に説明してくれませんか?」
「おぉ、そうじゃったのすまんな。もっと詳しく話そう。」
そう言うと王は淡々と俺たちがここに呼ばれた理由を話し出した。
俺たちがいる場所はまず地球ではないらしく、エルミスと言われる世界らしい。
エレストニア王国は5つあるうちの大国の一つらしく現在魔族や他の人族の国から侵攻を受けており、それに抵抗するために俺たちが呼ばれたらしい。
俺たちの様な異世界から呼ばれる者たちは皆強い能力を持っているので呼ばれたそうだ。
そして、いかに他の国が自分の国に対して悪事を働いているのかということを語り出した。
民衆を皆殺しにされただの、本来自分の土地であったところを奪われただの色々である。
俺から言わせればただ単に被害者ぶってるだけでこの国も同じことしてるんじゃないか?とも思えたがここでそんな発言をすれば首が飛ぶだろう。
「そういうことですか、王よ。しかし、私たちの世界は戦争などない所でした。戦えと言われても不可能です。」
「大丈夫だ。我らもお主らに直ぐに戦えとは言わん。しっかりと我が国の軍と修練してからである。あとお主らはこの世界の人々よりも強い能力を擁しているはずだ。頭の中で《ステータスオープン》と唱えてみよ。目の前に自らの能力が出てくるだろう。」
ステータス!!キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
そうだよなぁ、勇者召喚といえばステータスとかが分からないとなぁ。
さぁ、俺には一体どんなチート能力が!!
(ステータスオープン!!)
そう唱えると目の前に画面が映し出された。
みんなも唱えたようで次々とみんなの目の前で画面ができている。
さぁ!俺のステータスを見てみるかな!
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《人名》ユウ・サガラ
《年齢》18歳
《種族》人間
《天職》魔物使い
《称号》【異世界人】
《レベル》1
《能力値》
【HP】150/150
【MP】30/30
【魔力】50
【筋力】50
【耐久】50
【器用】100
【敏捷】200
【精神】1000
【魅力】1000
《スキル》
【HP回復:Level 1】
【MP回復:Level 1】
《ギフトスキル》
【成長:小】
《固有スキル》
【魔物支配:Level 1】
【眷属譲渡】
【眷属進化】
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魔物使い?
あれか、魔物を仲間にできるってやつか。
うーんまぁまぁな感じの職業だな、でも能力値が低い気がするなぁ、スキルも微妙臭い、微チートぐらいか。
「ねぇ!あんたのどんな感じだった!」
「あぁ、凛か微妙だったぞ。お前はどうなんだよ。」
「まぁ、見てみなさいよ!後あんたのも見せなさいよ!」
俺は凛に自分のステータスを覗かせ、俺も凛のステータスを覗く。
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《人名》リン・ヒメジ
《年齢》18歳
《種族》人間
《天職》侍
《称号》【異世界人】【剣豪】
《レベル》1
《能力値》
【HP】1000/1000
【MP】150/150
【魔力】50
【筋力】1200
【耐久】300
【器用】1000
【敏捷】1500
【精神】1000
【魅力】1500
《スキル》
【HP回復:Level 1】
【MP回復:Level 1】
【剣術:Level 6】
【気配察知:Level 1】
【索敵:Level 1】
【縮地】
【斬撃:Level 1】
《ギフトスキル》
【成長:中】
【剣の才】
《固有スキル》
【精神統一】
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(はぁ?! チート過ぎるだろ!能力値とか全然違うじゃねーか!こんなの勝てるわけないだろ!)
「ハハハハハッ!あんた弱っちいわね!運動とかしっかりしないからこんなことになるのよ。まぁ私が守ってあげるから安心しなさい。」
「うるせぇ!いらねぇよ!」
そんな話をしていると歓声が聞こえてきた。
どうやら沢田の奴のステータスでみんなが驚いているようだ。
「ちょっと優、見に行ってみましょうよ。」
「あぁ。」
俺はそう言うと凛と一緒に沢田のところに行きステータスを覗いてみる。
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《人名》ジュンペイ・サワダ
《年齢》18歳
《種族》人間
《天職》勇者
《称号》【異世界人】【勇者】
《レベル》1
《能力値》
【HP】2000/2000
【MP】1500/1500
【魔力】1000
【筋力】3000
【耐久】2000
【器用】1500
【敏捷】2000
【精神】2000
【魅力】3000
《スキル》
【HP回復:Level 1】
【MP回復:Level 1】
【光魔法:Level 1】
【火魔法:Level 1】
【風魔法:Level 1】
【剣術:Level 1】
【気配察知:Level 1】
【縮地】
【斬撃:Level 1】
【威圧:Level 1】
【火耐性:Level 1】
【水耐性:Level 1】
【風耐性:Level 1】
【雷耐性:Level 1】
【土耐性:Level 1】
【光耐性:Level 10】
《ギフトスキル》
【成長:大】
【剣の才】
【魔法の才】
《固有スキル》
【勇者の責務】
【勇敢】
【英雄】
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(…………って!ふざけんな!能力値とスキルの数おかしいだろ!はぁ、俺チートでもなんでもないじゃん。)
「うわっ、すっご。優がゴミに見えてくるね。」
「うるせぇよ!」
それから、「沢田くんすごーい!」とか「沢田くんはやっぱり違うなぁ」と女子からの喝采が半端なかった。
羨ましいとか思ってないんだからね!
「まぁ、皆の者静まれ。1人相当優秀な者がいたそうたまが確認をせんといかん。ラルク、勇者たちのステータス確認を頼む。」
「承知いたしました。」
そう言うと立派な装備をしたラルクという30代ぐらいのイケイケの金髪騎士がみんなのステータスを覗いていく。
沢田のところを見ると目が見開いており驚きを隠せていなかった。
それに対して沢田はニヤニヤとどうだと言わんばかりであったことが少し腹立たしかったが。
そして俺の番が来た。
「それでは、見せていただく。」
「はい、分かりました。」
ラルクは俺のステータスを覗いてくる。
「なっ!なんだと……。」
うわっ、あれだよ弱すぎでビビられたよ。
悪かったな弱くて。
「あのぉ。どうされましたか?」
「い、いや。なんでもない。さぁ次だ。」
そして、全員のステータスの確かめが終わり、ラルクは何やら王に報告している。
それから、ラルクさんからステータスについて話が始まった。
まず能力値はその名の通りその者の能力を表している。
そこまで説明はいらないだろう。
次にスキルだがLevelは1から10段階に分かれているらしい。
1〜2 初心者級
3〜4 熟練者級
5〜6 達人級
7〜8 天才級
9 鬼才級
10 神級
って感じらしい。
凛の【剣術:Level 6】は達人級とらしいのでなかなかの者と言えるだろう。
流石は剣道全国覇者である。
次にギフトスキルだがその者の成長に関わるスキルらしく、小、中、大、極大、神大の五段階になってるものとないものがあるらしくこのスキルは努力で上がったり下がったりはしないそうである。
次に固有スキルだがその者の天職だけのスキルらしく職業における唯一無二のスキルらしい。
魔物に関しては種族ごとのスキルらしい。
とまぁ説明はこんなとこですね。
「今日は勇者が来た祝いだ。皆の者今日は盛大に飲み明かすとしよう!」
「「「おおおおぉぉぉぉぉぉ!」」」
そういって早速勇者歓迎パーティーが始まった。