リゼの村
「ということでリゼの村には俺とリゼと…後誰が行く??」
俺はリゼの村には行く者を募る。
個人的にはレッドかアルどちらかに来てもらい片方はこの村を防衛して欲しい。
「はい!はい!はいっ!アニキ!はいっ!俺っ!俺が行く!」
レッドが反応する。
どう見ても強くなった力を試してみたくて仕方がない顔をしている。
小学生に新しいおもちゃを与えた時と同じ顔だ。
「アル?お前はどうなんだ?」
「はぁ……。分かりました。私も主様に付いて行きたかったのですが、レッドが抜け私も抜ければ此処の守りが薄くなってしまいますからね。ここはレッドに譲りますよ。」
するとレッドは嬉しそうに奇妙なステップから繰り出されるダンスを踊る。
お前はそれを何処で覚えたんだ。
「それじゃあ行ってくる。此処から走ればリゼの村まで3時間から4時間ほどで着くだろう。ここは任せたぞアル。」
アルは口元に笑みを浮かべる。
「お任せ下さい。この村に害をなすものなど塵一つ残しません。」
「おう…頑張れよ…」
怖いよアルさん!
その顔マジじゃん!
「よし、行くぞレッド、リゼ、出発だ!」
「あいよ!」
「はい!」
〜〜〜〜〜
リゼの村に到着した。
道中様々な魔物が襲ってきたが全てレッドとリゼによって殲滅させられた。
リゼの村は無残な姿だった。
首から先がないリザードマン、全身が何かに踏み潰されたようなリザードマンの死体、そしてリザードマン達の住居はとても住めるものとは思えないような姿だった。
俺はリゼの顔を見る。
その顔は村を潰されてしまった悔しさと何もできなかった自分への怒りから来る悲痛な顔だった。
俺はそんな彼女の頭を撫で慰めることしか出来なかった。
それからしばらく時間がたつとリゼはどうにか心を落ち着かせる事が出来たのか、こちらに笑顔を浮かべる。
「ユウ様、もう大丈夫です。まだ、誰か生きているかもしれません。探しましょう!」
「あぁ、だがあまり無理はするなよ?」
「はいっ!」
それから俺たち3人はリザードマンの生き残りがいないかを探し続けたが、1人として生き残りはいなかった。
死体の中にはリゼの両親もおりリゼの心中を考えると俺自身悔しさの余り震えていた。
「リゼ…そのすまない。1人も助けられなくて。」
「いえ、ユウ様は何も悪くありません。私がいけなかったのです。あの時に力があれば……ってえっ?!」
俺は思わずリゼを抱きしめていた。
今にも死んでしまいそうな彼女の顔を見ていると、思わず抱きつかずにはいられなかった。
「今日は無理をするな。好きなだけ泣け。」
「…はい。ありがとうございます。」
そして、リゼは人目に涙を浮かべ俺の胸で長い時間泣き続けた。




