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サキュバス

 この世界の東に位置している大陸である魔大陸。

 この大陸を治めているのは大魔王エルトラと六魔公爵と呼ばれる6人の魔王であり、国の名はアストラと呼ばれている。

 またこの大陸は他の大陸と比べると魔物の強さが格段に上がり、並みの戦士、冒険者では生きてはいけないと呼ばれている。

 その中でもレベルが高く強い魔物が住んでいるあまり近づかれない場所が3つある。

 それはトランペッタ渓谷、アルフの森、カストラ洞窟の3つである。

 

 この中の一つであるアルフの森にはサキュバスの一族が住んでいる。

 サキュバス一族は約100年前まではアストラに仕えていた強い部族だったのだが、彼女たちは固有スキルである【魅了】により六大公爵の一つである獣公爵と呼ばれる獣魔王ガゼルを操って彼らの財産を好き勝手使って遊んでいたのだが、カゼルが魅了無効化のアイテムを偶然触ってしまいその事が露見し彼女たちはガゼルに追われる身となったのである。


 今回はそんなサキュバス達のお話。




 アルフの森の奥深く、そこはSランク級のモンスターが大量に住んでいる場所であり、サキュバス達の住処がある場所である。


 そんな場所で今、戦いが始まろうとしていた。


 「こんな辺境な所まで私達を追いかけて来るなんて信じられないわ。しかも100年前の事じゃない、貴方達の一族はストーカ気質があるんじゃないかしら?」


 そう発言したのは美しい銀の長髪にルビーのような綺麗な瞳を持つ、グラマーな女性である。

 彼女の背中には蝙蝠のような羽が生えていることから彼女はサキュバスであり、この一族の長である。


 「てめぇ!誰がストーカーだっ!てめぇらサキュバスがカゼル様の財産を好き勝手使った事が原因でどれだけの被害を受けたか!この手で捕まえて、一生性奴隷としてお前らには働いてその金を稼いでもらう!覚悟しろ!」


 そう叫ぶように答えたのは獣魔王ガゼルの右腕である黒豹の魔人の男ハリスである。

 彼の後ろには部下である魔人達が控えている。


 「フンっ!お前達が何人集まろうが私には勝てないわ。さっさと帰りなさい。」


 彼女は余裕の表情を崩さない。

 彼女はサキュバスの長であり、その強さは魔人の中でもトップクラスである。

 もし、ガゼルが直々に来たとなれば彼女では少し厳しいかもしれないが、その部下である者達なら彼女の敵ではないのだ。


 「ハハハッ!その余裕どこまで持つだろうな?確かにお前と俺らが戦えば勝つのは厳しいだろう。だが、それは正面から戦ったのならばの話だ。お前達!出てこい!」


 そう言うと林の奥からさらに彼の部下が出てくる。

 数自体が増えたところで問題ではないサキュバスの長は微動だにしないが、奴らが縄で縛られ口には猿轡を付けられ捕らえている蝙蝠の羽を持つ女性たちを見て焦りの表情になる。


 「あ、貴方達!彼女たちを離しなさい!じゃないと消し炭にするわよ!」


 「そんなことするわけないだろ?お前を引きつけている間に捕まえさせたんだ。自分の無能さを後悔するんだな。お前抵抗でもしてみろ。こいつらの命はないぞ?」


 黒豹の魔人の男は薄ら笑いを浮かべ、シュリスを見下した顔で見つめる。


 「くっ!この卑怯者どもが!正々堂々戦いなさい!」


 「正々堂々?お前らが俺らにしてきた事はもっと下衆で卑怯に溢れた事だろうが!ふざけんな!てめぇら楽して捕らえてやらねぇ!いたぶり尽くしてやる!あいつの自由を奪う、あの忌々しき羽を魔法でもいでやれ!」


 「「「ハッ!」」」


 黒いローブに身を包んだ彼の部下3人が前に出て魔法を行使するために、詠唱を唱え出す。


 「ジッとしてろよ?一歩でも動いたらこいつらの命はないぞ。あと俺達全員には魅了無効化のネックレスを付けている。俺らには効かねーからな。」


 彼女の顔は悔しさと憎しみで溢れる。


 「「「火の力よ 炎弾となって彼者を討ち滅ぼせ 火炎弾ファイアーバレット!!」」」


 彼女の片翼目かげて炎の弾丸が打ち込まれる。

 だが、彼女は火には耐性がありほぼ無傷で魔法を防ぐことができた。


 「ほう?流石は淫魔王女サキュバスロードのシュリスと言ったところか、この程度の魔法では効かないと言うことか。確か、あいつは氷魔法は苦手だったはずだ。お前ら氷の集合魔法を次はぶつけろ!」


 「「「氷の力よ 巨大な槍となり彼の者を撃ち抜け 大氷槍ビックアイスランス」」」


 次は彼女の片翼目かげて全長3メートル、半径30センチ程の大きな槍が飛んでいき彼女の片翼をひきちぎる。


 「クッ!」


 翼を引きちぎられ、あまりの痛さに彼女は片膝をついてしまう。

 顔からは痛みの苦しさのあまり汗が滴り落ちる。

 

 集合魔法は、数人のスキル【集合魔法】持ちが一つの魔法を唱えることによって生まれる強力な魔法で、また人数が増えれば増えるほど強力になる魔法である。

 また、彼女にとって氷属性の魔法は耐性を持っておらず苦手な属性でもあるのだ。


 「クククッ!流石に苦しそうだな!次はもう一つの羽をもらう。お前達もう一発だ!」

 

 「「「ハッ! 氷の力よ 巨大な槍となり彼の者を撃ち抜け 大氷槍ビックアイスランス!!」」」


 彼女のもう片翼目かげて氷の槍が飛んでいく。


 あまりの痛みに彼女は視界がぼやけながら考える。

 

 (あれを食らえば私は間違いなくこれ以上動けないほどのダメージを受ける。あの子達を守れないまま倒れるなんて長として本当に情けない。誰か……誰か…誰でもいいの!誰でもいいから!助けて!)


 そう思い彼女は目前に迫った巨大な槍を見て目を閉じる。


 だが突然何かが近くで爆発したような音が聞こえた。

 しかも、一向に大氷槍が自らに当たらないことを不思議に思い彼女は目を開ける。



 そこには赤い髪をした顔に変なアクセサリーをつけている魔族らしき男が彼女の目の前に立ち、訳のわからないことを発言した。


 「お前ら!いい加減にしろよ!お前らのせいで全然眠れねぇんだよ!絶対全員ぶち殺してやる!」


 彼女は呆然とするしかなかった。


 

 

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