異世界に呼ばれた
俺の名前は相良優、高校3年生の18歳である。
今現在俺は理解できない状況に陥っている。
周りには鎧に身を包んでいる騎士のようなもの達が数十人、目の前には嬉しさのあまり泣いている一人の女性がいる。
女性は金髪の縦巻きロールで年齢的には俺とそう変わらなく15〜18歳ぐらいだろう。
白を基調とした綺麗なドレスを着ており、まるでお姫様のようである。
よく周囲を見渡してみると中世ヨーロッパを彷彿とさせるかなり大きい部屋の中にいることがわかった。
そうお城の中にいるんじゃないかと感じる。
周りには現状を理解できないでいる俺の同級生達がザワザワと何やら騒いでおり、「ここはどこだ!」などといきり立っているものもいる。
しかし、この中で俺はこの状況に少し喜びを感じていた。
もしかしてこれはネット小説、ライトノベル、ゲームなのである勇者召喚などの異世界転移を受けたのではないか?と考えているからだ。
俺は地球という世界が好きではなかった。
毎日、学校に行くだけの日々にうんざりしていた。
毎日衝撃的なことが起こらないし、刺激的なこともない。
そう俺は現実にうんざりしていたのだ。
だけど、その地球という世界でも一つだけ楽しいことがあった。
それはゲームである。
その中で特にRPG物が特に大好きで魔法、スキル、装備品を駆使してモンスターと戦い、レベルを上げ次の強敵に挑むということが大好きで毎日寝る間も惜しんで12時間ほどやっていたのだ。
だから、もし現在起きていることが本当なのだろうか思うと心臓がドクドクする音が止まらないのである。
俺がそんなことを考えていると、金髪の女性は俺たちに早く説明をしなければならないと思ったのか、溢れる涙をなんとか抑え俺たちに向かってこう言い放った。
「勇者様方!エレストニア王国へ来ていただいてありがとうございます!」
俺は口元に笑みを浮かべたのであった。
さて時間を遡ること1時間前、俺は酷い眠気を抑えて授業の開始を待っていた。
ゲームを徹夜でやっており、今日は学校をズル休みして睡眠にあてようかと考えていたが、親に「バカなこと言ってないで早く学校行け!」と言われて現在に至る。
授業が始まるまで後10分少々その間だけでも寝るかと思っていたが、そうはさせてくれないらしい。
「相良くん!おはよう!」
「あぁ、おはよう早見。何か用?」
俺の机の前にいる黒のロングの髪をした大きいとも言えないが小さいとも言えない胸を持つ、この落ち着いた清楚系美少女の名前は早見彩音。
彼女はこの学校で1番の美人だと言われるほどの美人であり、彼女にしたいランキング1位、嫁にしたいランキング1位、一夜を共にしたいランキング1位の三冠を叩き出した皆が認める美人なのである。
そんな彼女は何故か俺みたいなオタクに対して凄く話しかけてくる。
「あのね、相良くん今日の英語の予習した?もしかしてしてないんじゃないかなぁと思ったんだけど。」
え?今日、予習とかあったのか?って今日俺の出席番号と一緒の日じゃん当たるじゃん。
めんどくさ。
「え?そうなのか?やってない・・・・」
「そうなの?じゃあ私のノート貸してあげるね。あと授業が始まるまで10分ぐらいあるし大丈夫だよ。ハイ!」
良かったぁ、マジ早見さん天使ですわぁ。
っとそんなことを口に出さずに、ありがとうと早見のノートを受け取ろうとしたその時何者かの手によってノートは俺の目の前でかっさわれた。
「ダメよ彩音、この馬鹿をあやまかしたら良いことなんて無いんだから。」
「おい!凛何すんだよ!早く貸せよ!授業始まるだろうが!」
「誰があんたに彩音の高潔なノートを貸すもんですか!今日は先生に怒られて反省しなさい!」
この男勝りな女の名前は俺の小学生からの幼なじみである姫路凛である。
彼女は薄い茶髪のボブヘアーをしており、また早見彩音と同じでかなりの美少女であり、剣道の高校生全国覇者で天性の運動神経を持っている完璧超人である。
しかし、そんな彼女にも欠点がある。
そう、胸が絶壁なのである。
「うるせぇ、この絶壁が」
その時、ピキッと何かが切れる音が聞こえた。
ついやってしまった。
「ほぉ、あんた良い度胸ね。さぁ歯食いしばりなさい、今日は特別に顔面に一発だけで許してあげるわ」
ってそれのどこが特別なんだ!
ふと周りの同級生達を見てみると皆当然だと言わんばかりの顔をしている。
早見さんに関してはオロオロとどうしたらいいのか、わからない状態に陥っている。
「いや、凛悪かった!今のは無しだ!本当やめて!やめて!やめて!」
「もう遅いわよ!男なら歯を食いしばって受け止めなさい!さぁ!行くわよ!」
「ちょ、ちょ待っ「問答無用!」
殴られると思ったその時何故か視界が真っ暗になって気絶した。
そして、現在目を覚まし今に至るのである。
あぁ、俺運が良かった。