小さな家庭教師1
小さな食堂に着くと、モレナさんが席を案内してくれて私はそこへ座った。
客人はまだ来ていない。そろそろ来ると二人は行っている。
エレナさんが食事を運んできて、モレナさんも席に着いた。エレナさんが着席しようとしたら、玄関のベルが鳴った。
「私が出る。」
エレナさんは館主にも関わらず、急いで食堂から飛び出し、玄関へと向かった。
「エレナったら、一応メイドなんだから私が出たのに。」
モレナさんが溜息を吐くと、エレナさんはすぐに戻ってきた。客を連れて。
「もう戻ってきたんだ?早いね。」
「あぁ、玄関からそこまで離れてないからな。」
そうエレナさんは言っていたが、エレナさんは息が切れていた。
「走ってきたの?」
私がそう尋ねると、「そんなわけないだろう!」と怒られてしまった。訳ががわからない。
客人はどうやら私と同い年くらいの男の子みたいで、顔は整っているけど美形ではない。どちらかと言うと可愛い系。でも、さっきから隈がある目でこっちを睨んでいて怖い。なぜ睨む…。
「さぁ、皆席に着け。」
エレナさんがそう言うとモレナさんが「こちらです。」と言って男の子の席を案内して座らせていた。
「貴方が地球人ですか。貴方のせいで僕は無理やり地球のコトバと言うのを徹夜で教えられた訳ですね。」
隈があるのはそのせいか。お疲れ様。
「まぁ、そう言うことになるな。今日からこいつにアストニットの言葉を教えてやれ。」
「わかりました。エレナさん。で、貴方の名前は?」
そう言って男の子は私を見てそう言った。
「私はユエル・ブランシャールです。」
「ブランシャール…?聞いたことないですね。」
「ブランシャールはお父さんの名前だったと思う。お父さん、研究家だったんだよ!ブランシャール博士なんだよっ!!」
「そんなことは聞いてないです。」
私が自慢げに話すとあっさり冷たく言い返された。なんかつらい…
「そんなことより、勇者の末裔って言う方が自慢になる気がするけどねぇ…。」
エレナさんもなんか冷たい…。自分のいた世界では自慢になったんだよ!結構有名だったんだよ!!
「僕は、今日から貴方にこの世界のことを徹底的に叩き込むように言われている者です。」
「え、なんて呼べばいいの?」
「…名前はカミル・レイヴァルトです。」
「じゃあカミルンって呼ぶね!」
カミルン…。我ながら良いネーミングセンスをしていると思う。
「やめて下さい。」
「え、わかった、わかったから冷たい目で見るのはやめて!」
「わかればいいんです。」
冷たいなぁ…。もっと優しくしてくれても…。
結構デリケートなんだよ?
…ごめん、嘘、もの凄くメンタル強い。
「こいつはこう見えても14歳なんだよ。」
「え、カミルン年下なの?」
「だから、カミルンはやめて下さい。年下?貴方は何歳なんですか。」
「私?今日誕生日だから15だよ。」
そう、じつは今日が誕生日なんだ。
だから誕生日に一気にいろんなことが起きすぎて混乱…今はしてはないけど、いろんなことに驚いている。
「今日ですか?良かったですね、おめでとうございます。」
「え、デレた?!」
「なに言ってるんですか。祝福しただけでしょう?はやく食べてください。食事が冷めてしまいます。」
ツンデレかぁ!この子可愛いなぁ!
「とりあえず、部屋に戻ったら勉強、ですからね。」
「……。」
気付いたら私は、勉強と言う言葉が怖くて無言で食べ続けていた。