平凡
私は平凡に憧れていた。
信頼できる家族がいて、友達がいて…
笑ったり、泣いたり、たまにはケンカもしたり…
そんな平凡な生活に憧れていた。
平凡な生活になると願っていれば、いつかこの非凡な日々から抜け出せるだろうと思っていた。
だから、私はこれ以上非凡な生活になることはないと、信じて疑わなかった。
私はユエル・ブランシャール。
幼い頃に両親を亡くし、今は親戚の家を転々としている。
幼いときの記憶なんてほとんどない。
自分の歳も定かではない。
ごめん、今のは嘘。
しかし、そんな私を引き取ってくれる方がいるそうだ。
今はその方の家へ向かっている。
そこでは平穏に暮らせるのだろうか。
私はずっと幼い頃から一人だった。
目は青…だが、左目の色素が薄く、オッドアイ。髪の色も皆は綺麗な金髪だが、私は銀髪だ。
そんなこともあって皆私から離れていった。
しかし、引き取り手がいるということは、親戚の家を転々とすることもなくなる。もしかしたら平凡な生活ができるかも。そんな期待を寄せていた。
物事はなるようになる。なんて軽い考えだけど、これでもいろいろ考えているんだ。だから、少しは考えなくてもいいときぐらいだってあるだろう。
…考えがあまいかな?
そして、今はとんでもないことに、
「ここはどこ…?」
道に迷っていた。
地図にはこの穴に落ちるとかわけわかんないことがかいてあるんだよね…
恐る恐る下を覗き込んでみる。
……なんもない。
下はちゃんと土で固められている。
おかしい穴ではない。
落ちたら抜け出せなさそうだから落ちたくない。
しかし、地図にはこの穴に落ちろ…とかかれている。
…絶対おちたくない!穴をみて落ちたいと思う人はまずいないだろう。
とか考えていたら_____
足を、滑らせた。