雨のち雨、即ち雨
景色を煙らす土砂降りの雨。その激しい雨脚を見つめる僕は、自分の手に持っているビニール傘が本当に僕を雨から守ってくれるのか不安になった。不安は僕を擁護している法規への不審へと波及する。僕は雨に濡れてしまうことで、すべてを洗い流してしまおうと思った。雨にずぶ濡れになり、傘を叩き折り、清々しさを胸に往来を見渡す僕に向けられたものは、枠組みからあぶれたものへの蔑視だった。そして、悔しさに思わず俯いてしまった僕に声を掛けるものがいた。姿の見えない彼は滔々と妄言を語り、すべてを語り終えると自分は『雨』だと述べた。やがて雨は言った。「生きるために息を止めろ」その言葉に従ってしまった僕は、すべてが雨水に満たされた世界に否応なしに導かれた――。
(1)雨のち雨、即ち雨
2013/04/15 10:25
(改)
(2)雨のち雨、即ち雨
2013/04/16 23:41
(改)
(3)雨のち雨、即ち雨
2013/04/17 01:01
(改)
(4)雨のち雨、即ち雨
2013/04/17 01:05