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真実は手の中に  作者: 永田一樹
第一章
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第一話 顔合わせ

気づけば那智は一年と一ヶ月間過ごしている自身の教室ではなく何故か図書室の方へ足を向けていた。

この学校ではほとんど授業は大学のようなスタイルをとっていて自らが選択したカリキュラムに従い各々が指定されている場所へ向かう。

だからだろうか那智はあまり教室にいることがない。朝の出席確認と放課後前の担任が諸連絡する時間以外はどこにいても自由なのだから。

そんな思考を巡らせてる内に自分は目の前の人物へと声をかけていたようだった。


「おはようと言えばいいのかしら?」


「もう、こんにちわの時間だよ那智ちゃん」


一年生――と言っても、入学した頃には那智にも数人の友達が出来ていた。

けれど、結局那智の他人を顧みない性格と那智個人の成績が関係したのか彼らはすぐ離れていったのだ。

はっきりと言って友達関係というコミュニティには内心うんざりしてたところもあったので自らも気にしないでおこうと決めたのだった。

しかし、彼女――善谷凛は違った。凛は那智の心情を知ってか知らぬか一年生の1学期も終わろうとしていたところで声をかけられたのだ。


「えっ。何、今日の私何か変かな?」


何時の間にか思い出し笑いをしていたようだ。さて、どうしようかと那智は可愛い凛の事をみるのだった。



「この通りだ頼む!」


そう言って頭を下げたのは無二の親友と言うべきか、神谷白だった。

四月と言えどやっぱり屋上に来ると冷たい風が頬に当たる。それを半分の意識の中で感じていながら自分は彼のことを見た。


「白、いいのか?」

「あぁ! むしろ霧崎さんに誘われたのは奇跡かな。何しろ俺も〝真実は手の中に〟出るための最大の壁がメンバー集めだったからだ」


そんな事は無いと思わなかった。しかし、誰とでも仲がいいのと信用できる者が多いというのは必ずしもイコールではないのだろう。

蓮頼む。と言われてしまったは多分自分――西条蓮には断る理由があまりなさそうだった。


「いいよ。白、というか何時の間に霧崎さんと仲良くなってたの?」

「いいや。喋ったのも今日が初めてだよ。それがどうかしたのか?」


心底不思議そうに蓮を見る白に蓮は自分もこんなところに惹かれているのだったっけと思い出すのだった。


二人が会ったのはもう五年前の事になる。蓮はその少し前から訓練としてある警備会社へ通っていた。

そこで本来守るべき対象の白に会ったとき、蓮は言葉では表せないようなモノを感じた。

今からしてみればあそこで出会って無かったらと思うと何か喪失感を感じられずにはいられないと蓮は思う。

彼を変えたのも自分であるならば自分を変えたのも白だと思う気がするのだった。



「えっと。珍しいわね。こんな時間にここにいるなんて」

「あれ? 私は図書委員だって言ってなかったっけ?」


こんなに取り乱している那智を見るのは久しぶりだと凛は思った。

凛からしてみれば那智はいつも落ち着いていて成績優秀、まるで優等生はこんな感じですと説明されている感じだったからだ。


「そうだったわね。あれ、でもおかしくないかしら今日は月曜日のはずでしょう?」

「今日から二年だよ? 上級生は下級生に教えるのがウチのルールなの」


そう言いながら凛は少し落ち着きがなさそうな女の子を見た。無理もない、まだまだ図書委員の仕事をやらされるのは数回といったところだろう。

そもそも一年間ここを訪れている那智がそんなことに気づいていないはずが無いのだが…………。


「どうしたの? 何か変だよ?」

「もういいわ。単刀直入に言うわ。私と組んで〝真実は手の中に〟出てもらえないかしら」


少し躊躇するような素振りを見せた後、那智はこんなんことを言ったきた。

その名前のゲームはもちろん知っている、優勝賞品がすごいということも。


「いいよ」


その返事は自分でも思ってないほど簡単に出た。

目の前で那智がえっ、いいのみたいな目で自分の事を見ていると凛は感じた。


「いいのかしら?」

「うん。最近はちょっと刺激が足りないなぁって思ってきたところだったし」

「確かに。あのMMO-RPGじゃ、相手出来る人が居なくなってきてるというのは知っているけれど」

「うん。確かあれって操作性が似てるんでしょ。だから、私でも出来そうじゃないかなぁって思ってみたり」


凛の言葉を聞いていた那智の目が強烈な光を帯びていく。


「良かったわ。ここでOKを貰えてなかったら危うく本人さえ知らない癖をみんなに暴露してしまうところだったから」

「えっと。ちなみに聞いていいかなそれ」

「私の口から言わせるなんて………」


演技なのだろうか急にモジモジする那智を見て凛は聞かない方がいいと判断した。


「やっぱなし。言わなくていいよ」

「そう。なら、第二科学講義室へ行きましょうか」

「何でそんなところに行くの?」

「何でって顔合わせに行くのよ。向こうもOK貰えたって返事が来たし」


ちょっと何の事か分かっていない凛を置いていくかのように那智は図書室を後にするのだった。



「初めまして。知ってるかと思うけれど、改めて自己紹介を霧崎那智です」


第二科学講義室に集まった四人の静寂を破ったのはやっぱりというか那智の声だった。

続けるようにして白が自己紹介をする。


「初めまして。神谷白です。白って呼んでもらって構いません」

「初めまして。善谷凛です。よろしくお願いします」

「初めまして。西条蓮です。俺も蓮と呼んでもらって構いません」


それぞれがそれぞれのやり方で自己紹介を済ませた。

白と那智はともかく蓮と凛は緊張しているようだった。


「さて。今日集まってもらったのは〝真実は手の中に〟のチームとしてよ。それで本当に身勝手なんだけどみんなの力を私に貸して貰えないかしら」


いきなりそんな事を言われても混乱するだろうと思っていた白だったが凛と蓮が比較的落ち着いてるのを見て那智に先を促した。


「那智さん。それだけじゃ全くもって何を言いたいのか分からねぇんだけど」

「そうね。私には一人男の子の友達がいるの、でもその子は昔に起きた事件のせいで未だに目を覚ましていないのよ」

「つまり、俺達の力で優勝してその子を助けて欲しいって事でいいんですか?」

「そうなるかしら。いえ、そういうことね。でも、彼を助けるにはもうこれに懸けるしかないのよ」


そんなことを言う那智の姿は数年前に会ったとある女の子を白に思い出させた。

そう、確か彼女の時もこんな感じだったのではないだろうか、と白は慌てて目の前の現実へ意識を戻した。


「そういうことだったんだ。様子が変だって感じてたんだ。もちろん私の返事は変わらないけどね」

「そうですね。はっきりと言ってそこの親友に誘われただけですから、目的が決まるとなればやる気が出るというものです」

「俺もただ出たいっていうだけで明確な目標は無かったし。役に立てるかは微妙なところだけどな」


皆からの言葉を受けて那智は目を潤ませていた。けれど、目には強い意思の力が宿っている。


「ありがとう。皆、ありがとう」


その声は完全下校のチャイムと重なったがチャイムよりも声のほうが大きく聞こえたと白は思うのだった。


第二話投稿完了。さっきアクセス解析見てこの小説も見てくださってる方がいるんだなぁと。そんな皆さんのご期待に添えるかは分からないですが初心者ながらに頑張っていこうと思います。

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