あー、色々と知れたのじゃがな、正直、知りとう無かったわいっ!
どうやら幻想機は、異世界の民がエネルギーを得るための機械であったらしい。
クリーンかどうかは、分からんがのっ!
そして、行き着けとなった小料理屋へ脅威の適合率100%超えの人材が現れたらしい。
うむ、俺じゃな。
こんな人材は、滅多に現れない、どころか、現れたのが奇跡に近いらしい。
だが、国を左右するエネルギー問題へ、性格に問題がある者を関わらせる訳にはいかない。
だから暫くは俺を観察し、色々と調査したみたいじゃな。
したら、ごく平凡なサラリーマンじゃと。
しかも、性格も至って普通。
普通過ぎて、かえって怪しんだらしいわい。
いや、それ、失礼じゃからなっ!
まぁ、我が社のパワハラ気質とか、業務体系に問題を感じ、俺ら社員のためでは無いが、ちと行政経由でチョッカイ掛けたらしい。
いや、シュウさん?
何しとんの?
良いぞ、もっとヤレっ!
まぁ、退職した会社のことは放っておくとして、俺へのアプローチのことじゃな。
あまり、露骨なアプローチは、色々と問題になりそうだったので、とりあえず幻想機を送って様子見を。
本来は、俺が退職してから本格的なアプローチを掛けるつもりだったのだが、俺の適合率が急速に上がったのだとか。
それも、シュウさんを含む、異世界人の同調者を上回るほどにの。
そんな俺に、業務効率が急に上がった俺を手放すのが惜しくなったのか、会社がチョッカイを。
俺の周りへ監視の目を張り巡らせていた異世界の政府が、それを即座に問題視し、転職を促したらしい。
え?
俺、監視されてたの?
コワッ!
で、今に至る訳なのだが、正直、俺の身柄を確保し、危険から遠ざけたいらしい。
この屋敷のセキュリティならば、此方の原始的な方法では危害を与えることは不可能。
しかも、屋敷の滞在者へ与える装備ならば、出先で危害を加えようにも、全て防ぐゆえに不可能らしい。
まぁ、異世界人の持つ機器ならば、方法はあるらしいのだが。
「基本、多羅様のお出かけの際には、ボディガードが着きます。
一人は同行し、二人は離れてのサポートとなりますな。
我々とは別の使用人で、それなりの訓練を受けた者達です。
アチラの機器も貸し与えられておりますゆえ、此方の軍隊相手であろうと負けませんぞ」
いや、戦争でもするのか?
よろしい、ならば、戦争だっ!ってか?
やーめーてぇーだっ!
しかし。
「社宅の内見に来ただけなのに、どうして、こうなったし?」
思わず、頭を抱えてしまう。
そんな俺へな。
「そうそう」っと。
ん?
今度は、なんじゃ?
「失礼とは存じますが、多羅様は独身主義で?」
本当に失礼じゃのっ!
ちゃわいっ!
「いや、そう言う訳ではないのじゃがの。
あいにく、出会いが、のうてのぅ」
一人で結婚は出来ません!
まぁ、互いに気になる相手はおったが、これだけは色々とのぅ。
「ふむ。
ならば、相手が居れば、世帯を持つもやぶさかでは無いと?」
はぁ?
「いやいやいや。
俺は歳ゆえ、これから世帯はのぅ」
何言うだね?
「いや、若返られて居られますゆえ、十分可能かと」
あ゛っ!?
そだった、若返ったんだったわい。
ん?
何故に、若返ったことを知っておる?
『私が報告しておりますもの』
個人情報、ダダ漏れやんねっ!
ヤダァ、もぅっ!!
「宜しければ、ご紹介いたしますが?
っと、言うかですな。
適合率の高い方の御子息へは、同調率が引き継がれる可能性が高いのです。
まぁ、異世界での統計らしいですが。
そのため、アチラの政府から、多羅様の子孫を得て頂けないかとの、ご要望がですな」
あー
エネルギー確保に必要な人員を得たいんじゃな。
まぁ、アチラとしては当然であり、切実なんじゃろて。
「まぁ、籍を入れなくとも、子を設けるだけでも構いません」
「いや、家畜に成り下がるつもりは無いからのっ!」
さながら、幻想機へ同調する者を得るための牧場じゃんか、ヤダぁー




